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aoi_soryu
【毎週ショートショートnote】月見バーバー 天国の探し人
「探している人がいるの」
この度新しく住人になった小林さんは、開口一番そう語る。
「職人気質な仕事一辺倒。三十年前に死に別れたきりだから、気付いてくれるかは自信ないわ」
女房の顔もろくに覚えてないんじゃないかしら、と目尻に刻まれたカラスの足跡を更に深めて笑う小林さんは、可愛らしいおばあちゃんだ。
彼女も生涯現役の美容師で、若い頃は髪結い小町なんて呼ばれていたとか。
天国の門の受付天使は、最近の言い方だとカリスマ美容師ってヤツかと首をひねっている。最近でもない。
「そうそう、夫も理容師だったのよ。無口だけど腕の良い人でねぇ」
「ああ! それならあの人かな、月見バーバーのカズさん」
天国は人が多い。ここまでスムーズに探し人が見つかるのも珍しい。
「満月の夜だけ理髪店を開いてる人で」
「それ以外はあっちこっちフラフラしてて」
「まぁ、何やってるのあの人」
憤慨する奥さんに天使が笑う。
「歴代の髪型が揃ってるから、研究しがいもあるのでしょう」
こちら参加させて頂きました。(本文410字)
花魁さんとかルネッサンス期の盛り盛りっぷりとか、直で見れたら職人冥利じゃないかな。
