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【ハチミツは】赤子厳禁 〜王様と従者の昔話〜

ハチミツはアルトス王が覚えている限りの中で、人生最初の記憶である。乳母の瞳の色だ。
この国では碧眼が最も多く、次いで緑眼。アルトスら王家の血筋であればスミレ色。
乳母は異国の生まれであったらしい。

「それ故父上が私をどのように扱っているのか、家臣達もどう捉えるべきか意見が割れたそうだ」

乳母の息子、乳兄弟たる従者の瞳を見つめながら王は懐古する。
第二妃から産まれた第一王子。正妃である第一妃は不妊に悩んでいたとか。

「私を蔑ろにしているだとか、将来の国交を視野に入れての事だとか」
「母が先代様にお情けを頂いた、などと嘯く輩もいましたねぇ」
「あれは出来た女だが、父上の好みとは言い難いだろうに」

くすくす笑う従者は年々母親に似てきている。当然息子の彼も異国の血を受け継ぐ者なので、中性的な容姿は年齢さえ不詳の域に達しつつあった。

「お妃様には決定打となってしまったのでしょうけど」

アルトス王は懐古する。
乳母の瞳の色ーー当時の彼がそう思ったかは定かではない。だって彼はまだ一歳にも満たない乳児だったのだ。
幼い彼を抱き、スミレ色の瞳を暗く染めた女が揺らす、小瓶の中身。人を害する毒物とは違い、簡単に入手出来たであろうその液体。だってそれは、大人にとっては甘いだけのよくある食品なのだ。

「まったく……自分の暗殺未遂の場面なんぞ、今更覚えていても何の役にも立たんというに」


こちら参加させて頂きました。(本文574文字)

ハチミツにはボツリヌス菌が含まれている可能性があり、腸内環境が未発達である一歳未満の乳児が摂取すると腸内でボツリヌス菌が増殖。産生された毒素により筋力低下等の症状が出て最悪の場合死に至る事もあります。


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