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kazumaogiso
【シロクマ文芸部】ひとりごと #創作怪談
「ひとりごとが増えたら気をつけなさい」
上京して一人暮らしを始める際、母方の祖母に言われた事がある。
「寂しかったら帰っておいでって意味じゃないよ。理由なんか無くたっていつでも帰ってくれば良いんだから」
「そうだね、うん、そうするよ」
ついほっこりする自分に対して、祖母はどこまでも真剣だった。ふと、子どもの頃に“あの祠に触れるな”なんて諭された時を思い出す眼差しだ。
「回文とかしりとりとか、終わりのないものは魔除けになると教えたのは覚えてるでしょ」
いわく、流れ続ける水が清いように、流動し続けるものには浄化の力がある、と祖母は言う。だから風通しと水場は清潔に、と掃除の重要性を骨の髄まで叩き込まれたのでよく覚えている。
「そういう意味じゃ、ひとりごとも簡易の結界みたいなもんだけどね。獣だって孤立してる獲物から狙うだろう?」
「仲間がいるように見せかける、みたいなこと?」
「でも、大抵の場合は無意識にやってるからいけない。無意識ってのはこわいんだよ、黄昏時と同じで境界線に位置するものだから」
黄昏時。誰そ彼。禍に遭遇する逢魔が時とも呼ばれる時間帯。
「アンタが話しかけてる無意識上のお仲間が本当に良いモノかなんて、誰にも分かりゃしないんだから」
以上、520字。こちら参加させて頂きました。
そうのうち、ひとりごとに答える声が聞こえだすかもしれない。
