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世界のデジタルノマドが、日本の地方に注目し始めた

観光客が数日で去るのに対し、デジタルノマドは1か月以上、長ければ数か月をひとつの地域で過ごします。観光以上、移住未満。 人口減に悩む地方にとって、これは新しい「関係人口」の入口でもあります。
みなさん、こんにちは。一般社団法人 日本デジタルノマド協会(JDNA)理事のエレナ(塚田絵玲奈)です。
このnoteは、自治体・観光協会・DMOのご担当者さま、宿泊やコワーキングといった地域事業者さま、そして「デジタルノマド」という働き方に関心をお持ちのみなさまに向けて、海外のデジタルノマド界や、日本での受け入れの“現場”で起きていることを、ノマド本人の声や事例とともにお届けしていく場です。
最初の記事では、JDNAが何者で、なぜ「いま、日本の地方こそ」デジタルノマドに取り組む価値があるのかをお話しします。


2023年「日本のデジタルノマド元年」から始まった3年間

ここ3年で、デジタルノマドをめぐる日本の状況は大きく動きました。
JDNAは、2023年を「日本のデジタルノマド元年」と位置づけました。そして翌2024年4月、日本でも在留資格としての「デジタルノマドビザ」の運用が始まり、最長6か月の滞在が可能になったことで、これまで観光ビザの枠でしか滞在できなかった海外のリモートワーカーが、より腰を据えて日本に滞在できるようになっています。

※デジタルノマドビザについて👇

行政の動きも具体化しています。観光庁は2024年度に「地域におけるデジタルノマドの誘客に向けたモデル実証事業」として5事業、2025年度も5事業を採択しました。2026年度は4事業が採択され、デジタルノマド誘致はもはや一部の先進地だけの話ではなくなりつつあります。

世界に目を向けると、市場の規模感はさらに大きくなります。デジタルノマドビザを発行する国は2025年時点で60か国以上にのぼり、世界のデジタルノマド人口は約4000万人。10年後には数千~数億人規模に拡大すると見られています。

ここで押さえておきたいのは、デジタルノマドが「観光客」とは滞在の質が違うという点です。観光客の滞在が数日単位であるのに対し、デジタルノマドは1か月以上、長ければ数か月を1つの地域で過ごします。観光より深く、移住より軽い ── この「関係人口」を生み出す新しいグローバルな入り口として、デジタルノマドは注目されています。

「TADAIMA 2025」(提供:ELENTO合同会社)にて

JDNAとは

JDNA(英名:Japan Digital Nomad Association)は、2022年8月8日に設立されました。所在地は秋田県山本郡三種町です。
掲げているビジョンは、ひとことで言えば 「Location independent ── 場所にとらわれず生活しやすい世界を」。働き方や暮らし方が多様化し、個々の価値観が尊重される社会を、デジタルノマドという切り口から実現しようとしています。

なぜ "いま、地方こそ" デジタルノマドなのか

「なぜ、地方こそデジタルノマドなのか?」── これには、代表理事であるMOE(中野智恵)自身の原体験が紐づいています。
横浜出身でフリーランスのデザイナーだったMOEは、2011年にタイのタオ島へ移り住み、2016年に同地でコワーキングスペース「TAOHUB」を立ち上げました。世界中のデジタルノマドの暮らしを支える日々のなかで、コワーキング/コリビングという文化の力を実感します。

TAOHABにて(提供:Moe)

その経験を日本に持ち帰り、2019年、秋田県三種町の空き家を活用したコリビングスペース「TANEHUB(タネハブ)」をスタート。人口減少・空き家・高齢化といった“日本ワーストクラス”の課題を抱える地域で、ほぼ初期投資ゼロから、地元の人と海外の人が一緒に壁を塗り、床を直す ── そんな現場の積み重ねの先に、2022年のJDNA設立がありました。「大きな予算がなくても、地方は一歩動かせる」。協会の姿勢は、この原体験に根ざしています。

TANEHUBにて(提供:Moe)

「デジタルノマドは都市の話で、自分の地域には関係ない」── そう感じるご担当者は少なくありません。しかし、データはむしろ逆を示しています。
日本には1,700を超える自治体があり、その多くが数万人規模の小規模自治体です。人口減少が進むなか、打ち手として真っ先に挙がるのは「移住」と「観光」ですが、移住はハードルが高く、観光はオーバーツーリズムなどの副作用も抱えます。その“あいだ”にあるのが、観光以上・移住未満の長期滞在者=デジタルノマドです。

その経済効果は、すでに国内事例で見えています。JDNA理事・大瀬良亮(株式会社遊行)が手がけた福岡市のデジタルノマド誘致事業「Colive Fukuoka 2025」では、57か国から496名が参加し、平均23日間滞在。推定約1.4億円の地域経済効果を創出しました。

Colive Fukuoka 2025(株式会社 遊行 プレスリリースより)

福岡だけでなく、静岡県下田市「TADAIMA SHIMODA」(代表 塚田絵玲奈 / ELENTO合同会社)でも平均滞在が21日と、大都市・小規模都市に問わず長期滞在の傾向が出ています。

長期滞在になるほど消費は「暮らし」へと移り、地域のスーパーや美容院、ジムにまでお金が落ちていく ── 観光消費とは波及の“深さ”が異なります。
重要なのは、デジタルノマドの受け入れに「5つ星ホテル並みのホスピタリティ」も「完璧な英語」も必須ではない、という点です。
求められるのはむしろ、情報の整理と発信、手の届く価格の長期滞在先、そして何より地域と来訪者をつなぐ“人”(コミュニティマネージャー)の存在。設備(ハード)だけでなく関係づくり(ソフト)が要になります。だからこそ、規模の大きくない地方都市にも十分に勝機があるのです。

地域事業者からネイルを受けるBianca(提供:ELENTO合同会社)

JDNAの活動 ── 6つの柱

JDNAは、次の6つの柱で活動しています。いずれも「現場で実際に役立つこと」を起点にしています。

  1. オンラインコミュニティ(Discord)/JDNA 88 ── 日本に関心を持つ国内外のデジタルノマドとつながる場。毎月8日20:00から、無料のオンラインイベント「JDNA 88」を開催しています。

  2. デジタルノマドサミット ── 年に一度の国際カンファレンス。2023年・2024年・2025年と開催を重ねています。

  3. 年刊『デジタルノマドブック』 ── 自治体・事業者・デジタルノマド本人に向けた年刊資料。本noteの記事も、この蓄積をベースにしています。

  4. デジタルノマド向けコミュニティマネージャーアカデミー(CMA) ── 地域と来訪者をつなぐ人材を育成・認定する英語のオンライン講座。これまで5期を実施し、卒業生は約50名以上にのぼります。

  5. 視察ツアー ── 台湾・ベトナム・チェンマイ・バリ・バンスコなど、海外の受け入れ先進地を実地で学ぶプログラム。

  6. エリアサポート ── 自治体や地域事業者様に伴走し、受け入れ環境の整備や誘致を支援するコンサルティング。

チェンマイ視察ツアーにて

「受け入れのコツさえつかめば、デジタルノマドの誘致はどこの地域でもできる」── これがJDNAの一貫したスタンスです。

これまで連携してきた自治体

JDNAは、すでに各地の自治体・地域と連携を重ねてきました。

  • 宮崎県日向市

  • 福岡県福岡市

  • 長崎県(五島市を含む)

  • 静岡県下田市

  • 石川県金沢市

  • 山口県下関市

  • 和歌山県那智勝浦町

加えて、一般社団法人 白馬村観光局が賛助会員として参画しています。
2025年のデジタルノマドサミットは、10月に福岡、11月に下田という2部制で開催しました。「都市部の大規模イベント」から「人口2万人規模の地方都市のモデル」まで、規模も地域特性も異なる事例が積み上がってきているのが、いまのフェーズです。

Colive Fukuoka 2025(株式会社遊行 プレスリリースより)

このnoteで発信していくこと

このnoteでは、月に4本ほどのペースで、行政担当者・地域事業者の方、そしてデジタルノマドに関心をお持ちの方に役立つ情報をお届けしていきます。主に、次のような切り口です。

  • 2023年以降の受け入れ事例、政策・研究の論考

  • 海外のデジタルノマドから日本へ宛てた“手紙”

  • オンラインミートアップ「JDNA 88」のまとめレポート

  • 世界のデジタルノマドイベントの最新事情

私たちが大切にしているのは、実際のデジタルノマドの視点から現場をお伝えすることです。2023年から会員向けに発行してきた『デジタルノマドブック』、毎月のオンラインミートアップ「JDNA 88」、そして海外視察ツアーで蓄えてきた事例などを、ここで少しずつご紹介していきます。

このnoteの主

一般社団法人 日本デジタルノマド協会(JDNA)公式noteです。 「Location independent ── 場所にとらわれず生活しやすい世界を」をビジョンに、2023年「デジタルノマド元年」から、日本各地で受け入れ環境の整備と政策提言を続けています。
📍秋田・三種町/設立 2022.8.8

まずは、毎月8日のオンラインイベントへ


毎月8日 20:00〜、JDNA会員と現場のプレイヤーが集う JDNA 88 を無料で開催しています。 👉 [JDNA 88に参加する]

JDNA会員になる

JDNAでは、日本の地域の魅力や相互の交流を通じて、場所をとらわれない生き方をするデジタルノマドが日本で過ごしやすい社会を目指し、JDNA会員の入会を受け付けています。
デジタルノマドの方だけでなく、デジタルノマドというライフスタイルに興味がある方、デジタルノマド市場に向けたビジネスに関心がある企業・地方自治体等、法人、個人問わずご参加いただけます。以下のページからお申込みをお願いします。

特典:視察ツアーの優先案内/CMAへの優先参加/月例イベント/メールマガジン/コミュニティへのアクセス など👇

このnoteを書いている人

(一社)日本デジタルノマド協会 理事 塚田絵玲奈
外資系PR大手エデルマンを経て、2020年にELENTO合同会社を創業。静岡県下田市を拠点とする地方発のコミュニケーションエージェンシーとして、PR事業とグローカルデザイン事業を柱に、外資系テクノロジー企業や大学・NGO等への広報支援の他、友だち作りを軸にローカルとグローバルの境を越える関係人口創出プロジェクト「TADAIMA SHIMODA」を展開。「試住・試職」の 1カ月 "暮らし" 体験プログラム「Nomad Experience」を運営。Digital Nomads Tokyoの共同創業者。(一社)日本デジタルノマド協会 理事。
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