展覧会がはじまるまで.2
前回↓
江戸幕府によって整備された東海道。
関ヶ原の戦いから間もない1601年、宿駅伝馬制度によって街道沿いに宿場町(宿駅)を指定。そこに幕府や大名が飛脚や馬(伝馬)を常駐させ、人・物・情報をリレー形式で継ぐ交通網を敷いた。初期には主に軍事的な用途で江戸-京都間を結ぶ道としてあった。
1635年、武家諸法度の発布から全国各藩の参勤交代の義務化により東海道の交通量が増加、宿場町の需要が大きく拡大する。
徐々に社会が安定し、人々が豊かになっていった元禄年間(1688〜1704年)頃から、寺社参詣や湯治といった名目での個人旅行が大衆の中で増加する。
1797年に「東海道名所図絵」が、1802年から「東海道中膝栗毛」の刊行が始まった。
1833年、「東海道五十三次」で歌川広重が描いたのは、江戸時代に生まれた新たな交通インフラや制度によって発展した都市景観だった。
更新され続ける東海道の風景には発展も衰退もある。
約290年後の今、東海道新幹線の各駅の風景から東海道の現在地を見る。
・取材記録
京都駅(2025年9月5日、10月7日、8日、10日)
東海道の終着地は京都・三条大橋。
1877年に開業する京都駅も当初は三条大橋の辺りで建設する計画があった。
だが、当時の地元住民にとって既存の建物を取り壊して鉄道なんて得体のしれないもの、と反対に遭い現在の八条通りの北側に建設された。
このように中心市街地から外れたところにその地域の主要駅が作られることは京都駅以外にも多くある。
東海道新幹線17駅の旅の中、最も身近な京都駅。家から自転車で行ける。
京都駅といえば大階段。あとガメラ3。大階段は駅ビル10階の展望広場まで繋がる。
駅内の美術館に行こうと思えば、伊勢丹の中を登っていくか、大階段のどこかから行くこともできる。
巨大な京都駅ビルの内部は複雑で、主要な動線とは別に、まるで京都の細かい路地のように細かい通路が交差している。どことどこが繋がっているのかいまだに把握しきれていない。
駅内に大階段という巨大な斜面を作り、多層的な空間にいくつもの動線が交差する。そこには設計者の原広司による「地理学的コンコース」というコンセプトがあるそうで、初めて知った時、私はとても魅力的に感じた。
そのコンセプトについて私の理解だが、原野の地形のように駅内に山と谷のような起伏を作り、その中で探索するような移動経路を持つ建築。駅内で軽い迷子になる私はこの建築の醍醐味の中にいたのかもしれない。
確かに、完璧に規則正しい合理性のみの空間よりも、思いがけなさが含まれる場所の方が親しみやすい。駅の何処かに自分だけの秘密の景色を見つけられるかもしれない。
かつ、設計時には京都の碁盤の目の空間も意識されているらしい。主要な動線、特に地下街は分かりやすく、東西と南北の通路が直角に交わる明快な空間がある。そこでも私は軽い迷子になるが。
2025年9月5日
そんな我が街の京都駅。
今回はその反対側、駅の南の八条口を主に取材。
まずは、八条通りを西に向かう。

右手前にあるガラス張りの建物は最近までワコールのビルだった。

八条通りを東に進んでいく。

さらに東へ。

ここからも遠くに駅ビルと京都タワー。


映画パッチギで見た東九条、かつての風景を私は知らない。
京都駅周辺では次々と再開発事業が進められようとしている。
集合住宅、小さな商店街、街を歩くと生活の気配がする。今日の風景を見て回る。
目の前の風景には過去が積み重ねられている。
10月8日
再訪。
新幹線高架下から京都駅を遠くに眺めるこの辺りを描こうと思った。
集合住宅と駐車場のY字路。


10月10日

新大阪駅(2025年9月17日、10月17日)
続いて近場の駅へ。
新大阪駅は1964年10月1日に開業した東海道新幹線の終着駅。
大阪のターミナル駅といえば梅田にある大阪駅。
もし、そこに新幹線も通っていたらさぞ便利だっただろうが、当時でも周辺にはもう開発の余地が無く、また後に、山陽新幹線とも接続する計画があった為に淀川を2度渡ることになる迂回経路を避け、東淀川区の現在の場所に新大阪駅がつくられた。
駅ができる以前は農村地域で牛が歩いていたらしい。
2025年9月17日

新大阪駅の1階は在来線ホーム、2階には飲食店や土産物屋、大阪メトロ御堂筋線とタクシー乗り場、3階に新幹線や在来線の改札があり、4階に新幹線ホームがある。
まずは駅の1階、地上から見て回る。






次は駅の2階へ。






引きで全体像を見られる場所を探してウロウロと。



10月17日
新大阪駅、再訪。
すごくいい場所を見つけた。
近くのアパホテルの最上階にレストランがあり、新大阪駅周辺が一望できる!!!
しかもレストランから屋上に上がることができた。


地上32階からだと、大阪平野を見渡せて、地形に沿って建物が詰め込められている様子が分かる。
交通インフラを都市の「大動脈」と言ったりするが、この高度から俯瞰すると、確かに交通網がそのように見えてくる。
レストランの定食はご飯おかわり無料。いい風景を見させてくれて大変有難い。
・制作記録
2025年10月9日
キャンバス貼り

10月10日
ドーサ(にじみ止め)引き

下ごしらえが完了。
制作始め。
