路地裏旅行社: ホンナーム(タイトイレ)事情|尾てい骨はこのためにあったのか
タイ語で、ホンは「部屋」、ナームは「水」である。
ホンナームとは、つまり「水の部屋」。タイでは、トイレのことをこう呼ぶ。水の部屋というだけあって、タイのトイレはシャワーと兼用になっているところも多い。
タイのトイレは、思っていたよりずっと清潔で使いやすい。
写真は、典型的な田舎のトイレである。
奥に見えるのが、水を汲むための桶である。右手で水をすくい、左手で洗う。用を足したあとも、この水を使って流す。いわば、手動水洗トイレである。
ちなみに、便器には前を向いて座る。日本の和式トイレに慣れていると、つい後ろ向きに座りたくなるが、どうやら後ろ向きに座るのは日本くらいらしい。

「ええっ、手で洗うのか」と思うかもしれない。私も最初はそう思った。
けれども、慣れてしまえば、これは手動ウォシュレットである。水で洗うのだから、実に気持ちがいい。
世界には、水で洗う文化の国がたくさんある。これに慣れてしまうと、紙だけで済ませる西洋式のやり方には、なかなか戻れなくなる。
さて、水でお尻を洗うにも、ちょっとした作法がある。
右手で水を汲んだら、その水を尾てい骨のあたりに当てる。
「尾てい骨とは、このためにあったのか」と思う。
そこに水をちょろちょろと流す。すると、あら不思議。水が自然に一か所へ集まり、実に見事に流れていく。大まかに水で流したあと、左手を使ってさっとぬぐう。そんな感じである。
これであなたも、タイ、いや東南アジアのホンナームで、もう怖いものはない。はは。
とはいえ、やはり左手は、もう食事には使いにくい気がするなあ。

▌紙を流さないでください
タイでは、「トイレットペーパーを流さないでください」という貼り紙をよく見る。
そして、たいてい便器の横に紙を捨てるための箱や籠が置いてある。どうしても紙を使いたい人は、そこに捨てる。
水で洗ったあとに拭くのだから、安心してください。たいしたことはありません。もっとも、そもそもトイレットペーパーが置いていないところも多いのだけれど。
では、なぜ紙を流してはいけないのか。
タイの田舎のトイレには、流した水を地中にしみ込ませるタイプのものがある。大きな穴を掘り、そこに椰子の繊維などを敷きつめ、水を流し込んで濾過するように作られている。
そこにトイレットペーパーを流すと、溶けた紙が繊維に引っかかり、層を作ってしまう。そうなると、水がうまく流れなくなる。
だから、紙を流してはいけないのである。
もっとも、これは昔の田舎のトイレの話でもある。今では、下水が整備されている場所のほうが多いだろう。
ただし、水に溶けないウェットティッシュなどを流して、下水管を詰まらせてしまう人もいるらしい。これはどこの国でも困った話である。

これがあればこわくない
▌これがあれば怖くない
町のトイレでは、便器の横に小さなシャワーがついていることがある。
庭の水撒きホースの先のようなものである。これが、実にすぐれものだ。
これぞ、元祖ウォシュレットである。
このシャワーを、やおら尾てい骨のあたりに向けて、しゃーっと流す。これが便利で、しかも気持ちがいい。
ただし、水の勢いがかなり強いことがある。下ろした下着を濡らさないように注意したほうがいい。まあ、濡れても、そのまま履いていれば、タイの暑さですぐ乾いてしまうのだけれど。
これは本当にいい。
日本のウォシュレットは、自分の位置を少し動かしながら洗うことがある。しかし、このタイ式シャワーは、自分で狙ったところに直接当てることができる。まさに一発必中である。

▌田舎のホンナーム
田舎のホンナームは、庭先や浜辺にあることもある。
生け垣で囲まれているだけの小さな小屋のようなものだが、便器の周りが砂できれいに清められていたりして、これが実に気持ちいい。
土地によっては、水汲み用の大きな瓶が置いてあるところもある。
降るような星を眺めながら、トッケーの声を聞きつつ、静かに用を足す。
そういうホンナームも、なかなか悪くないのである。

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