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路地裏旅行社: 「ホームベース作戦」 |同じ都市に3泊して旅をする

▌「ホームベース作戦」とは

「ホームベース作戦」とは、同じ都市に3泊以上して、そこを旅の本拠地にする方法です。

一カ所に宿を決め、そこに荷物を置いたまま、日帰りで周辺の町や村を訪ねる。夕方にはまた同じ街、同じ宿に帰ってくる。これが、私のいう「ホームベース作戦」です。

毎日宿を変えながら移動する旅も楽しいけれど、少し疲れる。荷物を持って駅へ行き、列車に乗り、次の町でまた宿を探す。それを毎日繰り返していると、旅そのものより移動の方が忙しくなってしまう。

その点、ホームベースを作ると旅程がぐっと楽になる。宿は一つ。荷物は置いたまま。朝は身軽に出かけ、夜は「帰る場所」に戻ってくる。旅程をスムーズに、簡単に、効率よく作るための、なかなか賢いやり方である。

フィレンツェから日帰り

たとえば「フィレンツェ」をホームベースにすると、ピサ、シエナ、サン・マリノ、ボローニャ、チンクエ・テッレなど、古くて魅力的な町に日帰りで行くことができる。

ボローニャへは列車で約38分。シエナへはバスが頻繁に出ている。フィレンツェに泊まりながら、トスカーナやその周辺の町を少しずつ広げて歩くことができる。

ミュンヘンから日帰り

「ミュンヘン」をホームベースにすれば、ザルツブルク、アウクスブルク、バンベルク、ノイシュヴァンシュタイン城など、バイエルン地方の町や名所へ日帰りで行ける。ダッハウ強制収容所跡も日帰り圏内だ。

隣国オーストリアのザルツブルクへも、鉄道で1時間半ほど。国境を越える日帰り旅行もできる。

ロンドンから日帰り

「ロンドン」からは、オックスフォード、コッツウォルズ、ストーンヘンジ、ドーバー、ポーツマスなどが日帰り圏内に入る。

大都市に泊まりながら、大学町へ行く。田園地帯へ行く。海辺の町へ行く。古代遺跡へ行く。ホームベースを一つ決めるだけで、旅の範囲はかなり広がる。

▌ホームベース作戦で「宿」の時間を短縮

毎日、良い宿を探して歩き回るのは疲れるし、時間もかかる。

ホームベースを作れば、宿を探し回る必要がない。これだけで、通常一日2時間から3時間は得をする。何より、今晩どこに泊まるかを毎日考えなくて済むのがありがたい。

ホテル側も、長く泊まってくれる客には親切になることが多い。連泊割引があることもあるし、顔を覚えてもらえるとサービスもよくなる。B&Bや民宿では、そもそも一泊だけの宿泊をあまり歓迎しないところもある。

同じ宿に数日泊まることは、旅行者にとっても宿にとっても、都合がいいのである。

▌荷物から解放される

荷物をホテルに置いて出かけられる。

これは、何ものにも代えがたい喜びである。それだけで気持ちまで軽くなる。

毎朝パッキングする必要がない。毎晩荷物をほどく必要もない。洗面道具も、着替えも、本も、充電器も、部屋に置いたままでいい。

小さなバッグ一つで駅へ行き、近くの町へ出かける。帰ってくれば、そこには自分の部屋がある。これは本当にありがたい。

▌ホームベースタウンは「我が家」だ

同じ街に続けて滞在していると、そこがだんだん我が家のように思えてくる。

駅から宿までの道を覚える。朝食の店を覚える。スーパーの場所が分かる。夕方、どの通りに人が多いかも見えてくる。二日目、三日目になると、その街の中で自分の位置が少しずつ定まってくる。

この感覚は、一日か二日ごとに宿を変えながら移動していると、なかなか味わえない。

この「定着感」が、なんとも心地よい。旅の中に、少しだけ日常が生まれる。観光客として通り過ぎるだけではなく、その街にしばらく身を置くことができる。

つまり、「住民のように旅をする」ことができるのだ。

▌昼は田舎で、夜は街

ホームベースを作ると、昼は周辺の町や田舎へ出かけ、夜は大きな街に戻ってくることができる。

これは、とても便利だ。

田舎の小さな町に泊まるのも悪くない。ただ、夜8時を過ぎると店が閉まり、町全体が静まり返ってしまうことも多い。食事をするところも少ない。行く場所もあまりない。

その点、大きな街に戻れば、夜も食事の選択肢がある。店も開いている。散歩もできる。劇場や音楽会に行けることもある。夜の時間を有効に使うことができる。

昼は田舎で、夜は街。

この組み合わせは、ホームベース作戦の大きな利点である。

▌同じ場所に何回も行ける

ホームベースの街に気に入った食堂を見つけたら、毎日通うことができる。

これも連泊だからこそできることだ。

同じ店の同じカウンターに座る。店主と少し話す。昨日も来た客として迎えられる。メニューの中で気になっていた別の料理を頼んでみる。

一度だけの食事では見えないものが、二度目、三度目で見えてくる。

いいなあ、と思う。


▌移動も楽になる

ヨーロッパなどでは、近隣の町へ出かける鉄道やバスが頻繁に走っている。時間も比較的正確だ。地方の町や田舎へバスで出かけるのも楽しい。

ホームベースがあると、移動は基本的に日帰りになる。行きと帰りのルートを決めればいい。荷物を持って乗り換える必要もない。遅くなっても、戻る場所は決まっている。

もしレールパスを持っていれば、対象区間の列車には追加料金なしで乗れることが多い。目的地によっては、往復割引のきっぷを買えることもある。

こうした小さな便利さが、旅を楽にしてくれる。

旅は、できればゆっくりしたい。

一カ所に腰を据えて、その周辺を見て回る。同じ場所を訪ねるにしても、ホームベースから身軽に出かけるのと、荷物を持って毎日宿を変えながら移動するのとでは、疲れ方も、気持ちの持ちようもまるで違う。

一つの街に「ホームベース」を作る。

これは、個人旅行を楽に、深く、面白くするための、おすすめの方法である。

そして、ホームベースとホームベースをつないでいく。

三つか四つの街を拠点にして、その間を少しずつ埋めていく。そうすると、旅はただの移動ではなくなる。いくつかの拠点から、周辺の町や村へ枝を伸ばしていく旅になる。

ホームベースを作り、そこから旅を広げる。

それが、賢い旅というものだと思う。


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新さん|いつか行く旅の旅行社 Shin-san|Journeys Before Departure 応援、ありがとうございます。 いただいたチップは次の旅行の切符代にさせていただきます。 次は「中欧」「北欧」「東欧」に行きたいなあ。