新生活。正しい敬語が使えない若者から学ぶことだってあるのだ。
直近の職場が同世代ばかりだったこともあり、この春から働きだした飲食店に、当たり前のように歳の離れた子たちが在籍していることにアラサーは少しビビっていた。なかには10個近く歳下の子もいる。
いまのところ、大きなジェネレーションギャップを感じる瞬間はないけれど、気になることがゼロなのかと言われれば、それはそれでウソになる。
ときどきシフトが被る、8歳下の女の子がいる。
慣れない作業でもたつくわたしを颯爽とフォローしてくれ、自分の業務もテキパキとこなすシゴデキ(=仕事ができる)女子だ。
ただ、そんな彼女の言動で1つだけ引っかかる点がある。
それは、相手に聞き返すとき「え?」と言ってしまうところ。普段、敬語を使っている先輩に対しても同じなので、見ていて少しヒヤヒヤする。
ほんっとうに小さなことだけど、それ以外が完璧すぎて逆に目立つし、仕事ができるからこそ、そのギャップが勿体ない。
こんなとき、わたしはどうすればいいのだろうかと考えた。
アラサーにできることはまだあるかい?
まず第一にわたしが気を付けるべきは、その子に対して「偉そうな気持ち」を湧かさないこと。「今どきの若い子は」などど非難するのはもっての外だ。
そして次に大切なのが「むかしの自分はどうだったか」を振り返ること。ここに解決のヒントが隠れていることもある。
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「えぇ!すごい!ハタチそこらで店長やってたんですか??」
これ、若い頃のわたしの発言。当時22.3歳。
職場の先輩がそのむかし、アパレルショップで店長をしていたと聞いて驚いた。すると、となりでこの会話を聞いていた別の先輩が穏やかな口調で教えてくれた。
「あのね、光野ちゃん。目上の人に対して、ハタチ”そこら”って表現は失礼にあたるんだよ」
誠に恥ずかしながら、若かりしわたしは知らなかった。光の速さでお姉さんに謝罪すると、お二人は優しく笑ってくれた。
「お釣りがでる場合は、お預かりします、ちょうどの金額を頂く場合は、頂戴いたします、だから覚えておいてね。」
レジでの正しい言葉使いを教わったのも、その職場だった。
こうしてわたしは、学校では教えてくれないそこんトコロをバイト先のお兄さん、お姉さん方から学んだ。みなさん、丁寧に、分かるまで指導してくれる人ばかりだった。
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話を現在に戻そう。
歳下のシゴデキ彼女について、正しく言葉添えをするのが、同じ店で働く歳上の役目なのかもしれない。とはいえ、入社したてで関係性も築けていない中、それをやってのけるほどのコミュ力を持ち併せてもいない。ある程度、相手のことを知り、自分を知ってもらい、ラフな距離感で伝えられるのが一番だと個人的には思っている。
そんなことを考えながら、食材を仕込んでいた。年齢こそ下だけど、この店での経験はむこうの方が長いので、工程はすべて彼女の説明に従った。
完成したものを念のため味見する、すこし薄い気がした。
「あのぅ…できたんですけど、ちょっと味薄い気がして」
わたしの相談に、分量を確認する彼女。
つぎに出た言葉がとても印象的だった。
「ほんとや!間違えてお伝えしてしまってました!
”気付いてくれてありがとうございます”」
彼女はさらっと「お礼」を告げた。
あまりにも自然に、そして爽やかに。
これ、大人になると、難しかったりする。
いつものクセで、流れ作業のように謝罪してしまったり、ややもすれば要らぬ言い訳もセットにしてしまう。
それを彼女は素直に、サラッと言ってのけた。きっと根が素直な子なんだろう。彼女のことを少し知れた気がして嬉しくなったし、尊敬の意が爆増した。
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新生活。知らないことを教わる機会がグンと増える。それは若い人や、経験の浅い人が必然的にメインだ。
でも、今回の件を通して気が付いた。
知らないことを教わるのに、年齢や立場の上下は関係ない。
重ねてきた年齢と、経験から伝えられることがあるのはもちろんだし、それはそれで素敵なことだ。でも忘れちゃいけないのは、若い子や、新しい子から教わることだってあるということ。
それを素直に受け止めて、自分のモノにする器をいくつになっても持ち併せていたいと感じた出来事でした。
