結局、マイホーム借上げ制度って何?運営組織の代表が解説【大垣尚司】
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マイホーム借り上げ制度、再注目されています
こんにちは。一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事の大垣尚司です。
今日は「マイホーム借り上げ制度」についてご紹介します。
実はこの制度、2006年からスタートしており、すでに20年が経ちます。本来であればもっと広く知られていてもよいのですが、これまであまり利用が進んできませんでした。しかし最近になって「ぜひ使いたい」という方が急増しているのです。
というわけで本日は、マイホーム借上げ制度がどのような制度なのかを紹介させてください。
団塊世代の高齢化と住宅事情の変化
背景には、日本最大の人口層である団塊世代の存在があります。
戦後のベビーブームで生まれたこの世代が、ついに75歳を超え、2025年現在、800万人以上にのぼっています。
個人差はありますが、この年齢になると「今まで住んできた家に暮らし続けられない」というケースが増えてきます。その結果、高齢者向け住宅や介護サービスのある施設、病院への入院、あるいは子どもとの同居などの事情で住み替える方が増え、家が空く状況が生じているのです。
制度をつくった当初は「退職後、団塊の世代が田舎に移り住むのではないか」と考えていました。
そうすれば都市部の3LDKが空き、若い人が入居できるだろう、と。バブル崩壊後の不景気な時期で、広くて安い住宅を提供できるのではと期待したのです。
ところが実際には、団塊の世代は動かず、多くの方が3LDKに住み続けました。
空き家のリスクと深刻化する問題
人が住まなくなった家は急速に傷みます。
特に最近の猛暑では、家に空気が通らない場合、わずか3週間~1ヶ月で壁に黒カビが生えることも。こうなると次の入居をする際には、壁紙をすべて張り替えるなどの対処をする必要が出てきます。
傷んだ家は「空き家」となり、修繕しなければ住めなくなります。
放置すれば「管理不全空き家」として自治体から指導を受け、さらに「特定空き家」とされれば固定資産税が上がり、取り壊しを命じられることもあります。
こうした背景から、「住まなくなった家をどう活用するか」という問題意識が高まり、マイホーム借り上げ制度が改めて注目されています。
制度の仕組み
マイホーム借り上げ制度を運営しているのは、移住・住みかえ支援機構(JTI)という非営利法人です。
非営利というのは何かといいますと・・・。
利益を出してもよいが、その利益は誰にも配分されないという組織形態のことをいいます。つまり、貯まるだけ。でも、貯めてもしょうがないので、できるだけギリギリでコストを賄えるぐらいで運営していこうという考え方で運営されています。
移住・住みかえ支援機構は、国からの資金を得たモデル事業として、私が発案して設立しました。
JTIが皆さんの家を借り上げ、主に若い世代(10〜20歳下の世代が多い)に貸し出します。
仕組みはシンプルです。
JTIが大家さんから家を借りる
借りた家を入居希望者に転貸する
入居者から得た家賃から経費(積立と管理費)を差し引き、残りを大家さんに支払う
なぜ自分で貸さずにJTIを通すのか?
入居者からの家賃は、一度JTIに入り、そこから経費を引いた残りを大家さんに支払います。
「それなら自分で貸せばいいのでは?」と思うかもしれません。確かにそれは可能です。しかし、実際にやってみると想像以上に手間がかかります。
入居者募集
修繕・清掃の手間
家賃滞納やトラブルの対応
訴訟など専門的な対応
プロであれば対応できますが、素人が賃貸経営を行うのは大変です。
制度開始から20年間でわかったのは、不動産賃貸は思った以上に手間とリスクが大きいということです。私自身、制度を始めるときはもっと簡単だと思っていましたが、20年やってみると、ありとあらゆることが起きます。相当面倒くさいのが実情です。
JTIが全て引き受けます!
そこで、JTIがすべてを引き受けます。
皆さんから家を直接お借りしているのはJTIです。このため、たとえば入居者から家賃が入ってこなくても、JTIはちゃんと、皆さまに家賃をお支払いします。
また、入居者トラブルなどによる家の損傷などについても、現場復帰したうえでお返しします。
賃貸に出すと、どんなトラブルが起こるのか気になりますよね。
たとえば、入居者が家をめちゃくちゃにして出て行くなんてことがあります。こういう入居者トラブルって交通事故みたいなもので、ときどき起きてしまうんですよね。こういった場合、JTIがきちんと修繕して返却します。
また、入居者が居座って出ない場合はJTIが弁護士を雇って訴訟をして退去いただきます。費用はJTIが負担します。
預からせていただいたお家については、経年劣化以外は、預けていただいたときよりも悪くならない形でお返しするということですね。
さらに、入居者が退去して空き家になっても、次の入居者が見つかるまで家賃を保証し続けます。
家賃の仕組みと実績
家賃収入のイメージは以下の通りです。
入居者からの家賃(例:10万円)が入る
10%を「空室保証のための積立」としてJTIに拠出
5%は、管理を実際に担当する不動産会社さんに支払い
残り85%を大家さんに支払い
「15%も引かれるのか」と思うかもしれませんが、その代わりに空室になっている間でも、保証家賃がずっと支払われます。
これまでに1,500件ほどの実績があり、10年以上続けた方の平均手取りは約1,100万円です。
国の基金によるバックアップについて
当然、入居者がいない時にも支払いをするということになると、結構思い切ったことをやっているわけです。そこで、万が一の時に備えて、国にお願いして基金という形で、お金を積んでいただいています。
つまり、制度には国の基金によるバックアップがあり、万一JTIが支払えなくなった場合も、国の基金から保証が行われる仕組みになっているということです。
年齢制限は緩和、相続した家も活用可能に
当初は「50歳以上」という利用条件がありましたが、現在は実質的に年齢制限がありません。
高齢者が亡くなり、相続で若い世代が家を引き継いだ場合にも活用できます。
相続した住宅を放置すれば「負債」になりますが、この制度を使えば月7〜8万円の収入源になることもあります。自分の家はあるけれど相続してしまったという場合、うまく使うと結構な収入が入ってきます。
空き家を放置すれば社会的な迷惑につながりますが、活用すれば「資産」として家計を支える存在になります。
まとめとこれから
マイホーム借り上げ制度は、
空き家を防ぎ、家の価値を守る
大家さんの安定収入を保証する
公的な基金で安全性を担保する
という三つの強みを備えています。
老いも若きも、とにかく余っている家があると、放置すると空き家になりますが、空き家にせずにちゃんと活用すれば、結構な財産になります。これをお手伝いする仕組みに、公的なフォローが付いているのがこの制度です。
開始から20年を迎え、今ようやく社会的な必要性と制度の仕組みが合致し、多くの方から注目を集めています。
今後は、制度を利用する側の「お得な使い方」や、実際の事例も紹介していきたいと思います。どうぞ次回もご期待ください。
