天才Soto、不調の要因
お久しぶりです。最近noteネタがなくなり、観戦記もやる気がなくなって「しれーっと引退するか」などと考えていたぜろです。
私は自分の中で特定の選手、球団に関するnoteを書くことを御法度にしていた(合同noteをやっている方に失礼だと思っているため)のですが、1番好きな選手くらいは許してください()。
※今回指標ニワカが珍しくSavantを使うので暖かく見てください。
はじめに
MLBが開幕して50試合、つまり1/3程度を消化しました。春先の快進撃や大不振等もある程度落ち着いてきて球団、選手のスタッツ共に大体実力が出てきているのが見受けられるのではないでしょうか?
その中で特にメッツ・ファンだけでなく、全MLBファンの視線を集めている選手がいます。もう言わなくてもわかりますね。稀代の天才打者Juan Sotoです。今回のnoteはSotoの不調の要因について様々な角度から分析してみたいと思います。
現状
Sotoは昨年オフ、それまで大谷翔平が所持していたMLB契約最高額を超える15年7億6千5百万ドル(765M/15yr)のプロスポーツ史上最高額でニューヨーク・メッツに移籍しました。しかし、ここまでは元の期待値を考えるとお世辞にも素晴らしいとはいえない数字を記録しています(日本時間5/21時点)。↓
・デビューから昨年までの成績(OPS.953,OPS+160)←カッコいい

・今年の成績(OPS.815,OPS+133)←ぼちぼち

大型契約に見合わない活躍により、当然ながら見切り発車の得意な現地ファンの不満も爆発。様々な根拠なき憶測が飛び交い、ついにあのJeff Passanが声明をリリースするにまで至りました。(余談ですがSoto擁護派の現地ファンは「Sotoは自閉症だ」という謎のブラックジョークor陰謀論?で楽しんでいます。意味わからん。)
To clear up what others have asserted: Juan Soto does not fly separately from his New York Mets teammates on a private jet. He flies on the team plane. There is no private-jet provision in his contract for him or his family.
— Jeff Passan (@JeffPassan) May 19, 2025
なぜこんなことになってしまったのでしょうか?
at batを見ていて感じること
無論、後でデータの観点からも触れますが、まず彼の全ての打席を見ている私(有識者w)の所感を述べさせていただきます。Sotoの現在の不調の要因は「ゾーン内におけるmiddle~highのファストボールがフェアゾーンに飛ばない」ことです。どういうことか説明します。
そもそもSotoは20歳の頃から野球界最高のハイボールヒッターと言われるくらい高めのボールが得意な打者です。フライボール革命によって低めのボールをゴルフスイングでスタンドにバコバコ入れまくる打者が大半を占めている現代のMLBにおいて非常に特異な存在と言えます。以下の画像からもそれがわかるでしょう。↓

しかし今年のこれ↑は昨年までと全く別のものになってしまっています。

9分割されたストライクゾーンの特に高めの部分がOBP,xOBP,wOBA等で明らかに昨年より悪化していることがわかるでしょう。それは実際の映像からもわかります。
↑こういう場面が今年非常に多いなと感じます。去年とかであれば、
↑のようにしっかり前に飛ばせている場面が多いように感じます。もちろん、あくまでも見ている感覚に過ぎませんが。ただ、ずっと見ている人の感覚は案外馬鹿にできないと思います。
従来のSavantから見えてくるもの
上が昨年、下が今年のものです。


ぱっと見だと「そんな変わらんくね?」と思いませんか?私もそう思います。基本的には赤いですよね。ただ明確に1つ青いものがありますよね。LA Sweet-Spotです。「なんだそれ」と思われた方の為にMLB公式から定義を引用します。
Sweet Spot
Definition
Colloquially, a player who hits the ball solidly is said to have gotten the "sweet spot" of the bat on the ball. The sweet spot classification quantifies that as a batted-ball event with a launch angle ranging from 8 to 32 degrees.
A player's sweet spot percentage -- or how often he produces a batted-ball event in the launch angle sweet-spot zone of 8-32 degrees -- is presented on Statcast leaderboards under LA SwSp%.
Why it's useful
Sweet spot percentage can be used in concert with hard-hit rate -- the percentage of a player's batted balls that have an exit velocity of 95 mph or higher. For a batted-ball classification that takes into account both launch angle and exit velocity, check out barrels.
英語が読めない方のための和訳です。↓
定義
口語的に、ボールをバットの芯でとらえることを「sweet spot(スイートスポット)で打った」と言います。Statcastではこれを定量的に定義し、打球角度が8度から32度の範囲にある打球を「sweet spot」に分類しています。
「スイートスポット率(Sweet Spot %)」とは、打者が打球をこの8〜32度の角度で飛ばした割合を指します。この指標は、Statcastのリーダーボードで「LA SwSp%」として掲載されています。
なぜ役に立つのか
Sweet Spot %は、**Hard-Hit Rate(打球速度が95mph以上の割合)**と組み合わせることで、より打者の能力を理解する手がかりになります。
一方で、「バレル(Barrel)」という打球の分類指標は、打球角度と打球速度の両方を考慮した理想的な打球を示します。スイートスポット率はあくまで「打球角度」のみに着目した指標であるため、打球の質をより正確に知るには他の指標との併用が効果的です。
簡単に言えば「極端に打球角度の低いゴロと上がりすぎのフライが多い」ということになります。それは勿論データにも表れています。↓

やはり目を引くのは引っ張り時のゴロ率であるPull GB%が24.3%でキャリア最悪であることでしょう。Sotoを普段からよく見てる方ならもうお気づきでしょう。そうです、Sotoの不調時あるある、「打球が異常に速いセカンドゴロ量産体制」です。↓
新機能Swing Pathから見えてくるもの
先日、Baseball Savantに新機能としてSwing Pathなるものが追加されました。
🚨Big news from the Statcast factory🚨
— Mike Petriello (@mike_petriello) May 20, 2025
New release on Baseball Savant:
⚾Swing Path
⚾Attack Angle
⚾Ideal Attack Angle
⚾Attack Direction
It's all here: https://t.co/U4SUbkCcv3
Let's 🧵 what all this is and means: pic.twitter.com/uk4huImJ0r
MLB.comの説明を一言で表すと、「打者のスイングを4つの指標(Swing Path:Tilt, Attack Angle, Ideal Attack Angle, Attack Direction)で表してみたよ」ということになります。(めちゃくちゃ誤解を招きそうなのでMLB.comの説明を読むことをお勧めします。↓)
これらから何がわかるんでしょうか?試しにJuan Sotoを2023,2024,2025年の3人分で比較してみたいと思います。↓
それぞれ多少ズレはありますが、やはりBat Speedの低下は非常に大きいでしょう(4つの新指標関係ねーじゃねーか!)。2023,2024年ともに75マイルあったのが今年は73マイルと2マイルも低下しています。Bat speedが打球速度に大きな影響を与えることはかの有名なDriveline Baseballも指摘しています。↓
もう一つ個人的に気になったのがAttack Directionの部分です。今年のSotoは去年と比べて2°逆方向におっつけています。少し振り遅れているのではないでしょうか?ただこれに関しては何の確証もないので(誤差レベルかもしれないし、逆方向の打球を意図的に増やしているかもしれない)参考程度に。
個人的には不調であることを自覚しているため、なんとか三振しないようにより球を見ているのではないかなぁと思っています。
復調するか
皆さんが結局気になっているのはここでしょう。「あーだこーだ御託を並べてきたけど今後打てるんかい」と。結論として私は復調すると考えていますし、全く心配する要素もないとも考えています。その理由はこれです。

これだけ叩かれているし、目に見えて不調ですがxwOBAはMLB全体4位です。xwOBA-wOBAを表すDifferenceは-0.076でMLB全体5位です。要はめちゃくちゃ不運だということです。個人的にSotoの強みというのは圧倒的な打球速度とアプローチであると考えています。今年も全くそれ(平均打球速度は94.2マイルで去年と全く同じ)は失われていないし、いつも通り三振<四球です。今年1年最後までもしかしたら調子が完全には上がりきらないかもしれませんが、それは根本的な衰えではないのでいつかより戻しが来るだろうと考えています。
[番外編] Sotoポジポジコーナー
最後に個人的にSotoに関して面白いなと思った記事等を貼ります。良かったらどうぞ。もちろん推しを広める啓蒙活動です。全員見なさい。
・ちょっと古いですがFoolish BaseballによるSotoの凄さ解説(ちなみに彼は現役最強打者にSotoを挙げています(曲解)。見る目あるぅ!)
・Sotoとのインタビューから考える神がかったアプローチの根源
・みんな大好きMichael Rosenの迷(?)記事
・Which opposing hitter do you least want to face with the game on the line?ーShelton: I would probably still say Soto -- just because of the quality of the at-bat, and you have to throw strikes. He can do damage in a bunch of different places, but he makes you throw the ball over the plate.
・ That might be the greatest at bat I've ever seen!
・WSH時代のものになってしまいますが、「ノーボール2ストライクからの四球集」という変態向け動画です。
挙げすぎたらキリがないのでここら辺で切り上げますね。最後までお付き合い頂きありがとうございました。さあ今回のnoteで私は何回Sotoという文字を使ったでしょう?
