短影温
-追憶のフラグメント #32 -
足元に、
2つの小さな影が並んでいた。
太陽は高くて、
影はほとんど自分の下にある。
隣で揺れるもうひとつの影。
その形を見て、
ふと思い出す。
あの頃の帰り道。
友達と並んで歩きながら、
意味のない言葉を繰り返して、
それだけで、
どうしようもなく笑っていた。
理由なんてなかった。
ただ、
隣にいることが面白かった。
影はもっと長かったはずなのに、
覚えているのは、
笑っていた時間の方だった。
今、
2つの短い影が並んでいる。
隣にいる人は違うのに、
あの頃と同じように、
どこか安心している自分がいる。
影の長さは変わっても、
並んで歩く時間の温度は、
ずっと変わらないのかもしれない。
後書き
『短影温(たんえいおん)』
太陽が高くなるほど、
影は足元に近づき、短くなっていきます。
その短い影を見たとき、
ふと重なった、あの頃の記憶。
並んで歩く誰かとの時間や、
理由もなく笑っていた帰り道。
影の長さは変わっても、
そこにあった『温度』は、
形を変えて、今も残っている気がします。
その感覚を、
「短影温」と名付けました。
〜4410〜
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