第三章|新人看護師編⑥日々の学習
勤務が終わっても、私の一日は終わりませんでした。
新人看護師は、
何をするにも、まずは見学から始まります👀
清拭や食事介助などのケアは、学生時代の実習でも経験してきました。
けれど、看護師として病棟で働き始めると、それ以外にも覚えなければならないことが次々と出てきます。
採血、処置、薬剤投与、点滴。
回診時の清潔操作や医師の介助、必要物品の準備、処置の手順、患者さんの観察項目。
先輩たちは、患者さんの状態を見ながら必要なものを判断し、迷うことなく動いていきます。
一方、新人の私は、
一つひとつ考えなければ動けません。
先輩の手の動きを見ながら、必死にメモを取ります📝
何を準備していたのか。
どのような順番で行ったのか。
なぜ、その処置が必要なのか。
どこを観察しなければならないのか。
見学しているときは、先輩についていくだけで精いっぱいでした。
そして、分からなかったことや初めて見た手技は、その日のうちに自宅で学習します。
寮へ戻って教科書や資料を開き、
病棟で見た場面を思い出しながら一つずつ確認していきました。
翌日になると、学習した内容をプリセプターに報告します。
手順だけではなく、処置の目的や注意点、観察しなければならないことまで説明する。
プリセプターから「大丈夫」と確認をもらえたら、今度は先輩の見守りのもとで実践します。
見学して、家で学習して、翌日に報告する。
確認を受けて、ようやく実践する。
新人の頃は、毎日のようにこの流れを繰り返していました。
一つ学び終えたと思っても、
次の日には新しい処置や技術が待っています。
病棟を出ても、頭の中にはその日に見たことや、分からなかったことが残っていました。
寮へ戻ってからも勉強。
翌朝になれば、
また緊張しながら病棟へ向かいます。
今振り返ると、
家で何も考えずに休んでいた時間は、ほとんどなかったように思います。
それでも当時の私は、
それが新人看護師として当たり前のことだと思っていました。
もっと覚えなければならない。
明日、きちんと報告できるようにしなければならない。
一度教えてもらったことは、
次にはできるようにならなければならない。
誰かに言われたわけではないのに、
自分で自分に高いハードルを置いていました。
ただ、先輩たちはとても手厚く指導してくれました。
プリセプターも、私が理解できるまで丁寧に教えてくれました。
私は先輩たちから、
可愛がってもらっていた方だと思います。
人間関係に悩んでいたわけでも、先輩から冷たくされていたわけでもありません。
そういった意味での負担は、
少なかったはずです。
それなのに、
私は少しずつしんどくなっていきました。
疲れていても教科書を開く。
分からないことが残っていれば、
そのまま眠ることができない。
もっと頑張らなければ。
早く先輩たちのように動けるようにならなければ。
そんな思いが、少しずつ自分の中に積み重なっていきました。
周りの人に追い詰められていたわけではありません。
誰かに責められていたわけでもありません。
今になって振り返ると、
あの頃の私を一番追い詰めていたものが見えてきます。
一番自分を追い詰めていたのは、自分自身でした。
学ぶことは、患者さんの安全を守るために必要です。
新人看護師として、
努力することも必要だったと思います。
けれど、休むことまで否定する必要はありませんでした。
今日できなかったことが、
明日すぐにできるようになるとは限りません。
それでも少しずつ経験を重ねれば、
できることは増えていきます。
あの頃の私は、
立ち止まることも、力を抜くことも知りませんでした。
ただ必死に、
毎日を走り続けていました。
頑張ることと、
自分を追い込むこと。
その違いを、あの頃の私はまだ分かっていなかったのだと思います。
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第三章|新人看護師編⑦
初めての受け持ち
遠回りでも、看護師になれた。
