大井川鐵道の多彩な旧型客車たち
多くの旧型客車が所属する大井川鐵道。近年3両が解体されましたが、現在も多様な形式が合わせて16両が所属しています(休車含む)。今回はそれぞれ形式と形態ごとに分けて1両ずつ紹介します。
スハフ43形
スハフ43形は昭和26年より投入された客車で、昼行急行や夜行急行で使用されました。最盛期ははつかりやかもめ、さくら等といった名門の夜行急行にも抜擢されました。昭和60年頃からは置き換えにより普通列車などへの転用も行われ、一部はJR4社(北海道、東日本、東海、西日本)へと継承されました。スハフ43形自体はJR線上からは姿を消しており、大井川鐵道でのみ見られます。車体色は昭和26年頃の青地に白の帯が再現されています。
大井川鐵道には2と3が在籍しており、3は休車状態となっています。
①スハフ43 2

データ
製造:汽車会社・昭和26年
昭和36年:近代化改造
昭和51年:体質改善
昭和60年:引退
最終配置:小松島(四コマ)
昭和61年:大井川鐵道へ
②スハフ43 3

データ
製造:汽車会社・昭和26年
昭和36年:近代化改造
昭和52年:体質改善
昭和60年:引退
最終配置:高松(四カマ)
昭和61年:大井川鐵道へ
オハニ36形
俗に言う60系客車の仲間で、戦前製の客車を大型使用に改造した車両です。戦後の鉄道需要を支えた車両でもあります。オハニ36形はオハニ63形の台車を振り替えた車両で、高速走行に対応しています。
大井川鐵道にはオハニ36 7が在籍し、旧車番はオハニ63 7。長野工場(現:長野総合車両センター)で改造を受けました。現在は休車中で、長期間運用を離脱している状況です。
オハニ36 7

データ
改造:汽車会社(車体)・昭和33年
昭和32年:台車振替&車番変更
昭和62年:廃車&大井川鐵道へ
最終配置:福知山(福フチ)
オハフ33形
オハフ33形は鉄道省時代の昭和4年から製造が開始された客車で、戦後までの長きに渡り製造されました。その過程でマイナーチェンジが行われており、妻面の形状などが製造時期によって違います。
大井川鐵道では2両が在籍していますが、どちらとも休車状態となっています。このうち215は鵬を務める車両として、片側の貫通路が塞がれています。
①オハフ33 215

製造:川崎車輌・昭和16年(スハフ34934、同年中に改番)
形態:丸屋根・UF38台枠
昭和28年:更新
昭和51年:廃車&大井川鐵道へ
最終配置:酒田(新サカ)
②オハフ33 469

製造:日立製作所・昭和23年
形態:角屋根
昭和30年:更新
昭和39年:近代化改造
昭和51年:廃車&大井川鐵道へ
最終配置:岡山(岡オカ)
オハ35形
上述したオハフ33形と同系列の車両で、1939年から1943年と、1946年から1948年の2度に別れて製造されました。戦前戦中製の車両には被災車も含まれており、一部に欠番が生じています。戦後の復興期や高度成長期を支えた車両でもある他、樺太や中国にも同等の車両が存在します。
大井川鐵道には6両が在籍していましたが、状態悪化により3両が解体。現在は2両が休車中で、1両のみ稼働しています。
また、入線時には2000番台から0番台へと改番されています。
①オハ35 149

製造:鉄道省小倉工場・昭和15年(スハ33 798)
特徴:ノーヘッダー、張り上げ屋根試作車のため外観が他車と異なる
昭和16年:オハ35 2149へ改番
昭和25年:更新
昭和53年:廃車&大井川鐵道へ(車番変更)
最終配置:敦賀(金ツル)
休車
②オハ35 435

製造:昭和16年・日本車輌(スハ35 174)
昭和16年:オハ35 2435へ改番
昭和28年:更新
昭和53年:廃車&大井川鐵道へ(車番変更)
最終配置:金沢(金サワ)
休車
③オハ35 559

製造:昭和17年・日本車輌(オハ35 2559)
昭和18年:一部ロングシート化
昭和25年:原型へ
昭和29年:更新
昭和38年:電気暖房仕様へ
昭和47年:体質改善
平成2年:廃車&大井川鐵道へ(車番変更)
最終配置:水戸(水ミト)
オハ47形
1951年から1955年にかけて製造された車両で、スハ43形の改造で登場しました。
大井川鐵道には4両が在籍し、3両がトーマス号の客車などで活躍しています(1両休車状態)。
①オハ47 81

製造:日立製作所・昭和27年(スハ43 140)
昭和38年:オハ47化(オハ47 2081)
昭和39年:近代化改造
昭和40年:電気暖房化
昭和44年:台車振替
昭和58年:廃車
最終配置:清水(静シス)
昭和59年:大井川鐵道へ(車番変更)
②オハ47 380

製造:川崎車輌・昭和29年(スハ43 380)
昭和31年:スハ46へ編入(スハ46 380)
昭和40年:近代化改造
昭和49年:体質改善
平成2年:廃車&大井川鐵道へ(車番変更)
最終配置:福知山(福フチ)
③オハ47 398
写真なし(恐らく現在入場中)
製造:川崎車輌・昭和29年(スハ43 398)
特徴:昭和50年代にアルミサッシの窓枠に交換
昭和31年:スハ46へ編入(スハ46 398)
昭和39年:近代化改造
昭和46年:体質改善
平成2年:廃車&大井川鐵道へ(車番変更)
最終配置:西鳥取(米トリ)
④オハ47 512

製造:川崎車輌・昭和29年
昭和31年:オハ46へ編入(オハ46 512)
昭和41年:近代化改造
昭和46年:体質改善
平成2年:廃車&大井川鐵道へ(車番変更)
最終配置:浜田(米ハマ)
休車
スハフ42形
スハフ43形と同様に、昭和26年に投入が開始されました。スハフ43とは兄弟とも言える車両で、一部の設計が共通となっています。一部は急行銀河や彗星、特急はとやつばめなどで三等車としても使用されました。現代から見たら遜色特急とかの域を超えていますね。
大井川鐵道には4両が在籍し、休車となっている2両以外が活躍しています。
また、入線時には2000番台から0番台へと改番されています。
①スハフ42 184

製造:汽車会社・昭和29年(スハフ42 2184)
特徴:昭和50年代にアルミサッシの窓枠に交換
昭和37年:電気暖房化
昭和42年:近代化改造
昭和46年:体質改善
昭和59年:廃車&大井川鐵道へ(車番変更)
最終配置:清水(静シミ)
②スハフ42 186

製造:日本車輌(本店)・昭和28年(スハフ42 2186)
昭和36年:電気暖房化
昭和39年:近代化改造昭和47年:体質改善
平成5年:廃車&大井川鐵道へ(車番変更)
最終配置:盛岡(盛モカ)
休車
③スハフ42 286

製造:日本車輌・昭和29年(スハフ42 2286)
昭和39年:近代化改造
昭和40年:電気暖房化
昭和58年:廃車
最終配置:清水(静シミ)
昭和59年:大井川鐵道へ(車番変更)
休車
④スハフ42 304

製造:日本車輌・昭和29年(スハフ42 2304)
昭和39年:近代化改造
昭和44年:電気暖房化
昭和48年:体質改善
平成5年:廃車&大井川鐵道へ(車番変更)
最終配置:盛岡(盛モカ)
まとめ
ここまで総勢16両の旧型客車を紹介してきました。現在残っている客車の多くは、近代化改造や更新工事を受けた、比較的痛みが少ない車両が多いです。
一方で、既に廃車となった3両は共通して、近代化改造を受けていない車両でした。恐らくこの工事が運命を分けたのかもしれませんね。
また、予想以上に休車が多いことにも驚きました。旧型客車の部品などは現在手に入りにくく、一度悪いところが見つかればそのまま休車になってしまうといった流れなのかもしれませんね。
また、盛岡や静岡、浜田、高松など、日本各地から集められており、それぞれ全く違う経歴を持っているというのも面白いですね。車両ごとの違いも細かく、見ていて飽きません。今度訪れた際は、急行券を買って乗るのもアリですね。
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