「ママ任せて!」と部屋に消えた2歳長女が、夜21時半に起こした奇跡
0歳の次女は、寝てもすぐ起きる。
その夜も、ようやく寝てくれたと思った直後のこと。
寝室から「ふえぇぇん」と切ない泣き声が聞こえてきた。
放っておけば寝るかなと思ったものの、泣き声は大きくなっていく。
「はーい、ちょっと待ってねー」
腰を上げ、次女のもとへ向かおうとした私の横を、疾風のごとく駆け抜けていく影がひとつ。
「ママ任せて! (長女の名前)がいるから大丈夫よー!」
そう言い残し、一目散に次女のもとへ駆けていく2歳の長女。
せっかくのやる気だ。
私がすぐ後ろを追うのも野暮かなと思い、物陰から少し様子を見ることにした。
ところが。
長女がどれだけ顔を近づけても、次女の泣き声は一向に収まらない。
そりゃそうだ。
いま次女が求めているのは、100%「ママの抱っこ」である。
さあ、どうする長女……?
ハラハラしながら見守っていると、彼女が突然「ピコーン!」とひらめいた顔をした。
「アレクサ、電気つけて!」
するとアレクサは、いつも通り空気を読まない素直さで答えた。
「はい」
パッと明るくなる寝室。
(電気つけたら覚醒しちゃうじゃないか…と思いながらも、うるさい泣き声の中でもよく聞き取れるなぁとちょっと関心。)
そして始まる、真夜中の一発芸大会。
長女がおもちゃを振り回して全力であやし始めると、次女もつられてキャッキャとご機嫌になりだした。
さっきまでの悲痛な泣き声は、どこへやら。
見事に、泣き止んだのである。
……いや、待って。 いま、21時30分。
今からフルパワーで遊ぶの?
さっきまで目の前に見えていた「寝かしつけのゴール」が、マッハの速さで遠ざかっていく。
私はたまらず、長女に声をかけた。
「ねえ、寝かせてくれるから『任せて』って言ったんじゃないの?」
すると長女は、これ以上ないほど誇らしげに胸を張って答えた。
「私は、泣き止ませるために向かったヒーローなのよ!」
なるほど。
言われてみれば、彼女は「寝かせる」とは一言も言っていない。
ミッションはあくまで『妹を泣き止ませること』。
結果として次女は泣き止み、ご機嫌に遊んでいる。
たしかに目的は達成されている。ぐうの音も出ない。
母としては「おいおい今夜は何時に寝られるんだ」と白目を剥きそうだったけれど、妹のピンチに全力で駆けつけた彼女の優しさは、間違いなく本物だ。
頼もしいような。
ちょっと困っちゃうような。
でも、やっぱり愛おしくてたまらないような。
そんな、にぎやかな夜だった。
ありがとう、我が家のちいさなヒーロー。
