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カフカの親子関係


「絶望名人カフカの人生論」は、何の期待もなく読みはじめた。
カフカの否定的な考え方をどのように受け止めるのかは人により大きく違うかと思う。カフカは自身の状態をありのままに感じ尽くし、言葉にしたことにより、感情的にならず、自分の状態を受け容れていったのではと思う。

カフカの言葉で特に驚かされたのは彼と父親との関係性が私と見事に一致していたことだ。

私の備忘録も兼ねて、特に共感したことをいくつか紹介したい

27 罪はないのに罰はやってくる
父親からの振舞いで深く心が傷いたことで生まれてくる罪悪感。私も長年、言葉にならない罪悪感に苦しんだ。

28 巨人としての父親
お父さんの意見が絶対に正しく、他はすべて正常でない意見ということで、次々と他者をやっつけていく。「そうして最後に残るのは、あなたひとりなのです」と父親の状態を冷静に見抜いて言葉化されていることに驚かされた。
私の父もカフカの父親と同様に充分な教育を受けられず、自分だけの力で会社を立ち上げた。本書の解説で成功体験とコンプレックスが同居すると人は攻撃的で独善的になりやすいとあり、思わず唸ってしまった。
まさに私の父そのものであった。

29 まったく噛み合わない価値観
カフカは、お金儲けに走る父親の生き方が自身においては棺桶のふたになると表現している。これは、まさに父が私に自営業を継がせようとしたことを拒否して自分の仕事は自分で選ぶと父に伝えた私の状態と重なった。
私も父と一緒に働く、暮らすことは、生きる屍になるというイメージがあった。

31 「おまえのやることは必ず失敗する」と脅かす親
私も10代に自分が好きなことをしようとすると父に否定されたことが多かった。これも父が私を強く支配したいためであり、残念ながら親としては未熟な態度であった。当時はそこまで私は理解できなかったので、何となく息苦しくなりやがては自律神経系に異常が生じて2か月ほど入院した。

32 自立を願いながら、子供を支配し続ける矛盾した親

まるで二人の子供がふざけあっているようです。
一人が友達の手をきつく握りながら、「さあ行けよ。なぜ行かないんだ?」とからかっているのに似ています。

絶望名人カフカの人生論より引用

このカフカの喩えは、親の無自覚な働きかけとその矛盾に戸惑う子の関係性は私と私の父親との関係性にも驚くほど重なった。

カフカは、本書の中で、自分の父親をあなたと表現し、自分と父親との関係性を深く洞察し、理解することで、否定的な考え方をするカフカ自身を受け容れて行ったのではと受け止めた。

カフカの名は知っていたが、こうしてカフカの父親との関係性を知り、親子関係においては、時代背景、民族は異なっても、普遍的な要素が存在するということをまざまざと認識させられた。


眼光の衰えぬ父蜆汁

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