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なくしたバッグをTileで追いかけた話

PM 1:53
部屋の片付けをして、一息ついてスマホを見ると奥さんからメッセージが来ていた。
「千駄ヶ谷の神社のベンチでバッグなくした」
おそらく千駄ヶ谷の神社のベンチで荷物を整理していた時に置き忘れたかも、って。
1時間ほど経って気がついて、戻ってきたらそのベンチにはない。
社務所に忘れ物でバッグ届いてませんかと問い合わせたんだけど届いてない。
中に入ってるのはスマホの充電器とケーブル類、モバイルバッテリーとか。
一応警察にいって、遺失物の届けを出して、これから帰るってLineのメッセージが来た。
「気をつけようね。これからは無くさないようにTileでもつけとこうね」ってLine返した。

PM 4:31
瞬時に、奥さんから「Tileついてる!」って返事が来た。
「え?なぜ?つけてないよ。どうして」
「PokemonGo++がはいってる!」

Tileは、AppleのAirTagが出る前、一番売れていた無線tag。いまでもそこそこ売れてるかもです。キーホルダーぐらいの大きさのデバイス。スマホとBluetoothでつながります。例えばTileをつけた鍵が見つからなくても、そばにあればスマホのTileアプリの「探す」ボタンが押せるようになってる。これを押すと鍵についてるTileの大音響ブザーが鳴ってカギの場所がわかる。逆に、カギをどっかに落としても、Tileのアプリを入れただれかのスマホがTileのそばを通ると、アプリがこっそりとTileのサーバーに「代々木八幡で見つかりました」と送信してくれて、サーバーがこちらのTileアプリに「代々木八幡で見つかりました」って教えてくれる。そんなしくみ。

PokemonGo++は、大まかに二つの機能がある。一つはPokemonGoのゲームで野良ポケモンの自動捕獲と自動アイテム集め。もう一つはPokemon Sleepの安眠センサー。安眠センサーは夜寝るときに枕元に置かなければ機能しない。寝る前にPokemonGo++どこに行ったって小一時間ハンドバックやカバンをひっくり返して探し回るのが何度かあった後で、すぐ見つかるようにTileをストラップにつけていた。そのPokemonGo++がTileといっしょに、なくしたバッグに入っていたらしい。

「いま浅草橋にいるみたい。今西船だから、浅草橋に折り返す」
「わかった。私も浅草橋いく」
千駄ヶ谷から浅草橋に移動しているということは、おそらく誰かが持って歩いている。その誰かに会ってしまったらどうすればいいんだろう。
浅草橋だから、とりあえず両国の警察所に電話してみた。
バッグをなくした経緯と、Tileがついていてある程度の場所はトラッキングできるということ、もしBluetoothの圏内に入ったらブザーを鳴らせることを説明したあと、
「もしバッグを持ってる人を、このブザーで特定出来たら、どうすればいいんでしょう?」って聞いた。
「うーん。レアケースなので署内で確認して折り返しします」
暫くして、折り返しの電話がきた。
-決して、見つけても他人の敷地や施設にははいらないでください。
-無理やり取り返そうなどとしてもいけません。
-すぐに警察に110で連絡してください。
うーん。そりゃそうだ。

とりあえず浅草橋に車で急行。PokemonGo++のTileの位置情報を私のTileアカウントにシェアしてもらった。これでこちらからもTileの位置がわかる。
浅草橋駅から北にいった、神田橋のたもとで午後4時5分にみつかってる。そろそろ5時になるのに動きがない。奥さんから電話がきた。
「Tileで表示される場所に来たけど、バッグ持ってる人もいないしお店とかもない」
「わかった。もう少しで浅草橋着く。一緒に探そう」
もう少しで浅草橋、ってところでもう一度電話が。
「Tile動いた。今度はコレド日本橋のわき」
「わかった。浅草橋駅で拾ってくから、日本橋行こう」

PM 5:20

TileのアプリはTile発見地点をMapアプリに転送してくれる。Mapのナビ任せで移動すればいいから、発見地点に行くのは簡単。ただ、発見地点に行ったからと言ってTileが反応するかと言えばそうはいかない。発見時点からもう20分近くたっている。
「バッグのTileがスマホのBluetoothの圏内に入ったら、Tileのアプリから通知がくるからね。アプリ開いて少し歩き回ってみて」そう言って奥さんをコレド日本橋に送り出した。

なんか役にたつかと思ってiPadを持ってきたので、iPadにもTileアプリを入れてバックアップにすることにした。マップが大きくて見やすい。緊急事態なのでこれまで加入見送りにしていたTileプレミアムもサブスクしてしまった。プレミアム入れると、どこかに置き忘れて離れるとアラートしてくれるとか他にもいろいろついてくるけど、今の事態で一番必要なのは移動履歴を過去にさかのぼって見えるようになること。それも、プレミアムになってからログがつく、ではなくてプレミアムに加入するとすぐさま過去30日分の履歴が見えるようになる。・・・・プレミアム加入非加入関係なく、tileは会社のサーバーにユーザーの利用履歴を少なくとも30日分はがっつり記録してるんだ・・・・と考えるとちょっと怖い気もするが、ここはありがたく使わせていただこう、と思ったらTileに通知が来た。

「いま通知来た!」
「私のにも来た。清澄白河の交差点だ!」
「降りてきて。すぐ行く」

PM 5:46

地下鉄使ってるんだろうか。浅草橋から日本橋は浅草線で一本。日本橋からは門前仲町で東西線から大江戸線に乗り換え。千駄ヶ谷からも中央線ー総武線で浅草橋だし。すべて駅のそばで見つかってる。清澄庭園のわきを通過。清澄白河ならデパートもないから、歩道にいる可能性も高い。これは見つけられるんじゃ?でもさっきの通知からそろそろ20分近く経過してるし移動してるかな・・・・とまた通知が来た。

PM 6:09

また日本橋だ。今度は高島屋まえ。コレド日本橋・高島屋・そういえば清澄白河にはブルーボトルコーヒー。観光客の人が持てっちゃったんだろうか?奥さんは高島屋の中廻って来るって言ってる車からおりた。高島屋の前で待っていると、タイルアプリの「探す」ボタンが点灯した。

「探す」ボタンが点灯してるということは、スマホのBluetooth圏内すなわち半径数十メートル以内ににTileがいるということ。
思わずドアを開けて左右を見回す。
どこだろう。歩道を歩いてる人はいっぱいいるんだけど、だれかが奥さんのバッグ持ってる!
「探す」ボタンは30秒ほどで消えてしまった。
地下から最上階まで、ざっと歩いたけど反応なかった、と奥さんが車に戻ってきた。コレドも歩き回って、高島屋も歩き回ってかなり足に来ているみたい。数日前に軽く足ひねってたし。こうなると、これ以上一緒に探そうというのも可哀そうな気がしてきた。さっき、Tileのボタンが点灯して、もしかするとバッグが直ぐ側を通過したかも、ともちょっと言えなかった。エラーとかノイズかもしれないし。

高島屋から出てきたら反応するかもしれない。前で少し待つことにした。20分ほど待っているとTileに通知がきた。今度は小伝馬町に移動してる。

PM 7:09

ぐるっと逆方向に日本橋小伝馬町に移動した。小伝馬町ならすぐそばだ。もしかしたら位置通知から5分ほどで現地に到着できるかも!

Tileが所在地と表示している場所はホテルの真ん前。歩道にはそれらしき人はいない。やっぱり観光客なんだろうか。ホテルの中だったら出てきてくれればすぐにアプリが反応するはず。ちょっと待ってみることにした。

30分以上動きがない。ホテルの部屋にいる気がすごくしてきた。しびれを切らした奥さんが、「ちょっとフロントに話してくる」と言って降りて行った。そばにパーキングチケットがあったので、車をそちらにおいてホテルに入っていった。
フロントの人に話をすると、責任者の人が出てきてくれた。彼はAirtag使っているらしくて、Tileの事はすぐわかってくれた。親切なことに、「もしよかったらスマートフォンもって、各フロアー歩いてみますか」と言ってくれた。ありがたい。「但し、Tileが反応しても鳴らさないでくださいね」確かに、いきなりお客さんの部屋であれが鳴り出しても、ホテルとしても困るだろう。

8階建てのホテル、最上階からゆっくり歩いてみることにした。責任者の人がうしろからついてきて、西側を回って、次に東側。
反応がないのでエレベータで一つ下の階。
「お客さんいっぱいですか?」
「おかげさまで、海外のお客様も日本のお客様も」
・・・そんなにエキゾチックなバッグでもないはずなんだけどな・・・

7F,6Fと降りていくと、責任者の人もエレベータホールの前で私たちを見張って、奥さんと私とで手分けして、エレベーターから西側と東側に歩いていく。
奥さんがどうしても早く歩いてしまう。わたしが奥さんのところに行って、「ちょっと反応に時間かかるから、ゆっくり目にあるいてね」っておねがいする。
そんなに大きな部屋のホテルじゃないから、ゆっくり歩いていれば、部屋の中にTileがあれば反応するはず。見つかったらどうしよう。
反応があったとして、Tileなので「近くにある」とはわかるんですが、廊下の右の部屋か左の部屋か、隣の部屋か、とかまではわかりません。
見つかったら、例えばその人が部屋から出てくるまで、朝までこのホテルで待ってるしかないのか?フロントで待ってれば何とかなるかも?でもそこまでする?

順々に階を降りていくがどのフロアーでも反応は無く、1Fに戻ってしまった。ホテルの人もちょっとほっとした顔をしていた。確かに反応が出たらそこそこの事態に発展するかもしれないし。ホテルの人にお礼を言って、奥さんに「もう今日は動きないかもね」と言った。「ちょっと新宿で買い物して帰りたい。エスニックの食材ほしい」
ホテルを上から下まで探してあきらめもついたみたい。ちょっとお買い物に付き合うことにした。

新大久保のアジア食材のスーパーで買い物をして、スマホのナビで帰宅ルートを設定しようとしたら、Tileの通知が来ていた。15分ぐらい前、今度は浅草だ!これはやっぱり観光客か?

PM 8:30

あきらめたつもりが、こんな風に反応されるとやっぱりどうしても見つけたくなる。首都高に入って浅草に向かうことにした

通知からかなり時間がたってしまったので、助手席の奥さんにtileをつけっぱなしにしてもらって、状況確認をしてもらいながら浅草に急ぐ。と、環状線に差し掛かったところで「あ!うごいた。岩本町」

PM 8:58

「神田須田町」

PM 9:00

「今度は小川町」

PM 9:01

1分おきぐらいに移動検出してる。どうしたことだろう。地下鉄の新宿線かな?
ぐるっと環状線を回ったところで、今度は水天宮前の位置情報が来た。

PM 9:16

岩本町-神田須田町-小川町って、てっきり新宿線だと思ったらいつの間に日比谷線?

箱崎でおりて位置情報の場所に行くと、大きなホテルの前。
あれ?小伝馬町のホテルに泊まってたんじゃないの?晩御飯でも食べに来たんだろうか。もう9時廻ってる。さすがにこのホテル、各階回りきれるホテルじゃないしどうしよう。
奥さんは降りて、ロビーとか、カフェとかレストランの前を回ってきたけど反応無し。
フロントの方に経緯を説明すると、副支配人の方が対応してくれたんだけど、やはりホテルのお客様を疑うわけにはいかないので、あくまで忘れ物として残っていたら連絡するので、バッグの写真などあったら送ってくださいと名刺をいただいてきました。ホテルの車寄せに止めて、よろしくお願いしますとバッグの写真をメールした。そのまま待ってるけど動きがない。
さっきの小伝馬町のホテルに戻って、待ち受けてみることにした。

30分経過。移動なし。
なんかおかしい。確かに観光客が行きそうな目的地が多いけど、なんか脈絡が無さすぎないか?
それと、目的地での滞在時間が短すぎる気がする。

「なんか変だと思わない?」
「ちょっと動き過ぎじゃない?この人」
「今までの地点、全部駅のそばだけど、電車乗ってるんじゃないかも」
「誰かが持って歩いてるんじゃないかもしれない」


恐る恐る、奥さんに聞いてみることにした。
「これ、タクシーの運転手さんが持ってるとかじゃない?」
奥さんの顔がぴかっと光った感じがした。「日本橋の三越でお土産買って、秋葉原までタクシーでいって総武線乗って千駄ヶ谷行った。でもGOtaxiで払えなくてスマホのSUICAではらった」

「荷物を整理したのは確かに千駄ヶ谷の神社のベンチだったけど、確かにそこで忘れたかどうか、言われてみるとはっきりしない」

モバイルSuicaには利用履歴が残ってるはず。奥さんのスマホを調べてみる・・・1100円の履歴はあったんだけど、タクシーの情報はない。
「タクシーの会社とか覚えてない?それか領収書とか?」
「もらった気がする。ちょっと待って」
ハンドバッグの底に領収書はあった。連絡先もしっかり。電話してみる。
「今日、9:30ごろ三越から秋葉原にそちらのタクシー乗ったのですが、もしかして車の中にバッグおとすか忘れるかしたかもしれないんです」
「領収書はおもちですか」「はい、あります」「そこに車両番号が」
車両番号を伝えた。
「そんなに大きなトートバッグではないんですが、パッチワークみたいな感じで。中にモバイルバッテリーとか入ってます」

ビンゴだった。

「運転手が確保していると連絡が来ています。ただ、今運転手がお客さん乗せてまして」
「ええ、大丈夫です。もしよろしければ行き先の方に取りに行かせていただきます。いま運転手さん門前仲町あたりにいらっしゃいますよね」
ちょうど位置情報の通知が来たところだった。 
「いえ、もしそこでお待ちになれるのであれば運転手が持って伺いますのでお待ちください。」
運転手さんを待つことにしました。申し訳ない限りです。

PM 10:16
まずさっきの対応してくれた、ホテルのフロントの方に「見つかりました、お騒がせしました」と挨拶に行って、それから水天宮のホテルの副支配人さんにもお礼のメールを送って、奥さんが運転手さんへのお礼の缶コーヒーとかグミとかをコンビニに買いにいった。
タクシーの行き先はこの小伝馬町のホテルのそばだった。ついでに届けてくれることになった。

PM 10:40
Tileが反応して、しばらくしてタクシーが目の前に停車した。そうか。高島屋の前で、このタクシーさんとすれ違ってたんだ。
運転手さんにお礼して、7時間の鬼ごっこが終わった。
無事すべて見つかって、ちょっと疲れたけど幸せな気持ちで家に帰った。

家に帰ってからTileのアプリで位置履歴を見ると、帰り道では2分間隔ぐらいで位置情報が登録されてる。Tileアプリが入ったスマホのそばだったらほぼリアルタイムで場所わかる。岩本町から水天宮まで一分おきに場所が分かったのは、きっとタクシーに乗車したお客さんがTileのユーザーだったってことかも。2019から2022までは、JapanTaxiに搭載されてるCM流してたり料金払ったりするタブレットにTileアプリが入っていた。3年前だったらもっと精密にトラッキングできたのに。残念。

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