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透析食と宅配弁当

は学生の頃、腎炎と診断されてから実に20年以上、腎機能の悪化を抑えるために食生活へ注意するよう医師から指示されてきた。

実家で暮らしていた頃は、家族が徹底して塩分やたんぱく質を抑えた食事を用意してくれていた。だが自立し、一人で生活するようになると状況は一変する。仕事の忙しさや付き合いが重なり、食生活を維持することは難しくなり、気がつけばコンビニや外食に頼る日々が続いていた。

そんな時に出会ったのが、冷凍の宅配弁当である。

何気なくホームページを眺めてみると、想像以上に充実したラインアップに驚かされた。試しに問い合わせてみたところ、栄養士の方が応対してくれ、私の症状に合わせたメニューを丁寧に提案してくれたのをよく覚えている。

「前回メールにてお伝えさせていただきましたが、IgA腎症とのことですので、たんぱく制限と同時に十分なエネルギー摂取が必要となります。『カロリー・たんぱく調整食』ではややエネルギーが不足する可能性もございますが、ご希望の場合はまず2ヶ月程度ご利用いただき、その後の体重や血液検査の結果を踏まえて、『たんぱく調整(9g)食』への切り替えをご検討いただくのがよろしいかと存じます。」

某宅配弁当会社の栄養士さんからのメールより

この丁寧で親身な対応に背中を押され、しばらくの間、その宅配弁当を利用していた。率直に言って、味は非常に良かった。実家で薄味に慣れていたこともあり、塩分控えめの味付けに不満はない。それどころか、毎日異なるメニューが楽しめること、そして調理の完成度の高さは、透析予備軍であった自分にとって、まさに“ご馳走”だった。

ただ、引っ越しを機に生活環境が変わったこと、そして同じ会社のメニューを続けるうちに飽きが来たこともあり、定期利用は一度中断してしまった。


その後、私は透析治療を開始した。食事制限の内容も変わり、水分、リン、カリウムを意識する生活へと移行した。

当時の反省を踏まえ、できるだけ注意して生活していたつもりだった。しかし、仕事と通院に追われる中で外食やコンビニに頼る日も多く、検査ではリンの値が極端に上昇することがあった。そのたびに「あの時食べたあれだな」と思い当たる節があり、反省を繰り返してきた。

だが結局のところ、同じ過ちを何度も繰り返してしまう。

そんなある日、知人の自宅に招かれ、手作りの食事をご馳走になった。どれも美味しく満足感のある食事だったが、驚いたのはその後の検査結果である。数値が基準内に収まり、明らかに良好だった。

そのとき、改めて食事の重要性を実感した。

そして思い出したのが、かつて利用していた宅配弁当である。
当時は正直、割高に感じていた。しかし現在は材料費の高騰もあり、外食やコンビニでも一食1,000円前後は珍しくない時代になった。そう考えると、この価格帯ももはや特別高いものではない。

むしろ、自分の体調を安定させるための“コスト”と捉えれば、十分に合理的な選択だと感じる。

そう思い、改めてオーダーしてみた。今週末届くので楽しみである。

しばらくは、この宅配弁当を続けてみようと思う。
——定期検査の数値を安定させて、いつも親身に相談に乗ってくれる栄養士さんを、いい意味で驚かせてやろうと思う。



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