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日本顕微鏡学会第81回学術講演会に現地参加してきた話

こんにちは、じゅんです。
Hokkaido MotionControl Network (#DoMCN)というHoloLens・VR技術好きの技術者コミュニティの勉強会を運営していて、開発者の知見の交流を促進しています。また、元・物性研究者として、研究機関に所属する若手研究者でxRに興味を持つ人を見つけてはHoloLensを被せに行き、開発者コミュニティへの橋渡しを行う事を続けています。これらを適切に表現する職名が無いので、勝手にScientist/Developer Relations と名乗っていました。2024年はCommunity Relationsと言いながら活動し、今年2月くらいにInterCommunity Communications for Tech/Science (#InCommComm)という職名を思いつきました。コミュニティ間越境を伴う交流を最大化するための活動をしています。

 私の所属学会の日本顕微鏡学会の年次大会が6/9-11の日程で福岡県福岡市の福岡国際会議場で開催されました。関係者の皆さんお疲れさまでした。今回はその会議の参加の話を中心に備忘録を残しておこうと思います。
 去年の幕張での大会参加レポートを書きそびれており、2年のブランクがありますが、差分についても記していこうと思います。

↓おととし


オフライン会場の様子

 会場の福岡国際会議場では、2階に企業展示ブース・ポスターセッションコーナー、3階から5階までのフロアに大小さまざまな口頭発表会場がA~G会場までの7つ、同時開催企画として顕微鏡写真コンクール会場と就職相談コーナーが会期中設置されていました。
 ポスターセッションの討論枠(コアタイム)は16時台に始まり約90分間というのが1日目と2日目で、3日目のレイトブレーキングポスターは11:45-12:15がコアタイムとなっていたようです。前回までと違い、偶数・奇数番号での交代制ではなく、毎日ポスターを貼り替える方式に変更になりました。79件+80件+17件の計176件の発表がありました。
 顕微鏡写真コンクールは以前より数が増えたような気がする一方で(11件)、キャリア支援コーナーは2023年の6社が3社ずつ設置していたものから4社が2日続けて設置に代わりました(2024年は忘れました)。
 

オンライン会場は廃止のまま

 オンラインセッションが2023年に無くなって以来、今回も遠隔参加できる仕組みはありませんでした。
 概要集は事前ダウンロード制になり、大会のHPのリンクからまずダウンロード用のページに飛び、そこでメール通知済みのパスワードを送信することで概要集のデータにアクセスできます。一括でPDFになった500ページくらいのものと、1枚ずつバラバラになっている個別ファイルの集合体を圧縮フォルダにしたものの二通り利用できます。
 私はiPadとノートPCにそれぞれPDFをダウンロードして使っていました。
メモを講演ごとに書き込みたい先生は個別のいくつかをピックアップしてA4印刷したものをバインダーで束ねてメモしていました。
 オンラインセッションが無いのに、ビデオカメラ設備は会場に置いてあったりして不思議に思っていたのですが、第0日目の国際シンポジウムのところでオンラインがあったり、オンデマンド配信を準備しているものもあるようです。

無くなったもの・復活したもの

 概要集の冊子が2024年から発行を取りやめ、PDFのみになっています。そのため毎回追加で3000円払っていた分が浮きました。
 ランチョンセミナーの件数がどんどん増えてきていると感じています(3日間で17件)。おかげさまで毎年チケットを受け取りそびれてカロリーメイトをかじっている生活から脱出し、2日間はお弁当を頂けました。

三日間の過ごし方(会場)

 会場から徒歩3分くらいのホテルに部屋を取り、そこから毎日徒歩で会場に行って朝から参加していました。
 今回は2日目に見たいセッションが集中したので、1日目をブース巡りの日、2日目を講演会場の日、3日目をあいさつ回りの日みたいな感じにゆるく区切って臨みました。
 今回、ポスターセッションのコアタイムに非常に人が集まり、自分のリュックが邪魔すぎてとても落ち着いて議論できる状況ではなかったため、コアタイムの時間にはポスター会場に寄らず、それ以外の時間にポスター内容を見るという形になりました。
 会場の無線wi-fiが参加者向けには用意が無かったため(多分…)、自分で普段から持ち歩いているWiMAXルータを使ってインターネットをしていました。理由はよくわかりませんがルータの電池の消耗が妙に早く、夕方にちょっと必要なタイミングなどで不便な思いをしたので、常時モバイルバッテリーに繋いで運用すべきでした。
 また、会期中にX上で顕微鏡学会に関する投稿をしている人を探していましたが、いいねを返してくれた企業ブースがありましたので、ご挨拶にも行きました。

文化を乱さない参加方法(毎年同じ)

 悪目立ちして出禁になるのがイヤなので、会期中のコミュニケーション内容に関してはほぼ顕微鏡の話題のみ議論する形で参加していました。
 ただ、マスク着用だと私だとわかる人が少ないので、HoloLens 2の首掛けスタイルでした。去年の様子を知ってる人から声をかけてもらえました。
 毎回ながら機材を全部持って行っていますので、いついかなる時でもデモが出来る状態ですが、今回も前回同様、HoloLensの電源すら入れずに普通に過ごし、首のデバイスを気になって訊いてきた人にだけウェアラブルPCですよと簡単に説明して様子を見ていました。

Network Tele-Microscopy 研究部会 第5回研究会

今回の記事のキモの部分になります。
 2022年秋のシンポジウムで第0回のセッションが行われて以来、Network Tele-Microscopyという遠隔運用のセッションが春と秋それぞれの顕微鏡学会イベントの中に定着してきました。私も初回からのメンバーです。
 今回がその第五回目の研究部会で、2日目の9:30からのセッションでは、①阪大-川崎医科大学間の遠隔TEM、②オペレーション、VR、画像解析の遠隔運用(カールツァイス)、③兵庫県での教育向け遠隔TEM活用、④長崎大学病院における遠隔医療支援の現状について発表が行われました。
 私の記憶が確かであれば、この研究会においてVRの実運用事例が講演中に発表されたのは始めてであったと思います(群馬での第二回研究会は欠席したのでタイトル以上の情報は知らない)。
 顕微鏡操作・原理理解・メンテナンストレーニングの文脈でそれぞれVR空間での学習コンテンツが開発され、社内教育に使われ始めているとの事でした。オリバーチャレンジというプロジェクトでは、非エンジニア職のオリバーさんをVRで訓練してTEMの装置メンテできるかどうかを試す、という挑戦を行ったとの事でした。非常に踏み込んだ活用法だと思います。
 発表内容もさることながら、この内容の発表が顕微鏡学会の場で行えるようになったことが私にとっては感慨深いと思いました。私がVR活用に取り組んだ2017年当時は顕微鏡学会のセッションにこのような内容を取り扱える場所は無く、リコーインターンの時に実証試験したライブストリーミングのネタは情報通信学会で発表するくらいしか思いつきませんでした。その後大学を去って、その年の生体解析分科会のテーマが「失敗から学ぶ顕微・可視化技術」だった事で一応発表をまとめる機会があったものの、その場観察のコミュニティには届きませんでした。2019年にコロナ禍がやってきて、遠隔実験の需要が高まった事を機に2020年の応用物理学会で実装報告をしました。ただこの時の発表のジャンルが教育法で、顕微鏡に詳しい先生方というよりは応物一般の教育者が主な参加者層でしたので、自分に対して問い合わせが集まるなどの変化は起きませんでした。
 今後、私が顕微鏡分野で何か遠隔支援の事例を作った場合は、Network Tele-Microscopyのセッションに持ち込めば話を聴いてくれる先生がいるかもしれないという点で希望が少し出てきました。
 昔から実践を経て、新しい技術の現場導入のハードルの主原因は機材ではなく新技術リテラシーのケア不足だと私は半分確信しており、そのための解決策として知見共有コミュニティの研究を続けてきています。仕組みまわりの知見を活かせるキャラとしてVR・AR活用のプロジェクトにぜひ混ぜてもらえる事を期待しています。どなたかお誘いください。

 Network Tele-Microscopy 研究部会の過去の開催履歴と発表タイトルなどのまとめを大阪大学のチームが作っているらしいので、他の遠隔支援の活用具合を知りたい場合はこちらを読むと概要が分かります。

http://www.uhvem.osaka-u.ac.jp/network_tele-microscopy_jsm/archive.pdf

成果

 今回の顕微鏡学会では、国内でのVR活用に繋がりそうな話ができるチームと直接知りあえた事が何よりの成果でした。
 以前、工場訪問を行った樹研工業さんの皆さんともまた新しい話題で盛り上がる事ができ、ものづくり業のワクワクを分けてもらいました。
 また、以前からコメントにスタンプを押しあっていた先生とも現地でお話でき、課題についてディスカッションする事も出来ました。
 今後、面白い話に繋がっていけばよいと思っています(自分の収入減がいま崖っぷちな件については目を逸らしている)。


投稿したくてうずうずしているのをひたすら我慢している問題

 顕微鏡学会が基本現地参加のみに変わって、現地での忙しさが格段に上がったのは去年と同様ですが、今学会での現地の情報発信は相変わらず少ないままです。学会自体が撮影行為を禁止している事も多く、マナーとしてSNS発信は奨励されていないのが現状です。
 きわめてグレーゾーンな中での綱渡りとして、私も時々画像投稿をしていますが、入り口の様子、プログラムのタイトル、ランチョンセミナーのお弁当とスライド表紙、許可がもらえた企業ブース、撤収作業、などに留まっています(知られても誰も困らないものと既知の公開情報のみ)。
 以前Network Tele-Microscopy 研究部会の第0回目(2022年の秋シンポ)ではSNS投稿の活用の講演もありました。遠隔地に非同期で情報を届ける手段として非常に有効であるため、例えば投稿OK講演などの区分を付けることで現場での内容の面白さなどを拡散する試みについて許可検討してもらえないかな~と考えています。
 現地参加のみに変わったことで、オンラインでの非同期交流をするよりいかに現場で先生方と議論できる機会を増やせるかのルールに変わってきているため、SNSの重要性が上がることがあまりなさそうなところがすこし悲しいところです。

他のコミュニティとの活動は大充実だった

6/7 長崎スペシャル! 第5回 Unreal Engine 九州 in 長崎 #UE九州

↓あぶちさんによるツイートまとめ。

 長崎県の長崎スタジアムシティ内の長崎大学NUTICで行われたテクノバながさきという技術お祭りイベントの中で、Unreal Engineユーザの集会イベントが行われました。このイベントの発信のお手伝いをするために6/6から長崎に入り、現地参戦してきました。
 昨年冬のXRKaigiにて長崎の場所の相談が出来そうな @haldime を紹介し、その後も長崎開催の企画の浅いところで関わっており半年後に現地開催が実現しました。いま最も地方XRコミュニティでイベント開催頻度の高い #XRm鹿児島 の運営メンバーが #UE九州 の運営も兼ねている構造になっています。このイベントキャラバンの実際の様子を見て札幌に活かすことが当面の目的でした。
 配信機材の山に埋まって作業している鮫さんと盛り上げ担当で進行役をしているあぶちさん・まいけるさんのチームワークに感動しながら、自分はいつも通り現地のトークをツイート実況していきました(100ツイートくらい?)。Youtube配信とのハイブリッドですので、現地会場でYoutubeをXREAL Air2で見ながら切り抜きスクショしていく手法を取りました。



6/8 各自遠足 in 長崎 #UE九州

 本編での懇親会を遠慮し1人で部屋に帰った私は翌日のチェックアウト後に軍艦島デジタルミュージアムに向かいました。6年前の札幌HoloLens Meetupに登壇しに来てくれた方々の展示がここにあると当時教えてもらえたものの長崎に来る用事がなかなか作れずに今に至り、せっかく徒歩圏なので寄ってみようと思って行ってみました。Looking Glass(裸眼立体視ディスプレイ)の展示は、入場の階段上がってすぐの2階の一等地に置かれており(行きも帰りも必ず通るポイント)、ハンドトラッキングを用いたガンショーくんとのふれあい体験のわかりやすさも相まって老若男女の訪問者に人気でした。
 私1人で回っていたのですが、#UE九州 に参加していた人たちも近所に来ていたようで、気づいたら博物館の各所にXRエンジニアがいる状況になっていました。勉強会ではお話しできなかった人ともちょっとお話できたので、街をプラプラする余地があるのは良いなと思いました(UE九州のDiscordサーバでは、長崎を回るためのおススメ情報共有スレッドがあります。これもよいです)。

夜中の海外イベントが色々

6/10-14 WWDC25 apple 

6/11-13 Augmented World EXPO 

突然イベントが生える現象 今年も発動

6/11 AIミーティング 北海道 in 福岡エンジニアカフェ会場

 顕微鏡学会の3日目が夕方に終了した後、元エンジニアカフェスタッフの田中さんとお茶するべく天神に向かいました。近況を交換した後、その日に予定されていたAIミーティングの運営をするためにエンジニアカフェに向かいました。セカンドディスプレイをそこで借りてツイート実況をしようと思っていたら、たまたまそこに居た #福岡XR部 の上田さんがエンジニアカフェの大型スクリーンに配信を映してくれた結果、福岡現地会場が爆誕しました。田中さんの他、エンジニアカフェで作業していた数名の方も発表に耳を傾けてくれたりして、コミュニティイベントを個人で持ち運べることの利点を強く感じました。配信を集まりの場で流すだけの簡単設置でもイベントは作れますので、こういう勉強会を利用して地方の勉強会運営メンバーをゆっくり募っていくのもいいと強くおすすめします。


6/22 #医療XR札幌

 Holoeyes株式会社の杉本先生からの久しぶりの連絡が6日の深夜にあり、6/21-22の札幌滞在中に体験会付きセミナーをやれるかどうかとの内容でした。6/22の会場をとにかく市内で確保するべくSapporo Engineer Base (#SEBSapporo)の西村さんにも相談し、マッハな紆余曲折を経て13LABO会場が確保できた段階でイベントを公開しました。講師と参加者の距離感の近い会場になったので、参加者同士での会話もしやすくなるように現在各方面に声掛けを続けています。当初はセミナーと体験会のみの想定でしたが、札幌のエンジニアからのLTも受け付けられるようにしました。


参加できなかったイベント

6/10 DevRel/Radio 
お便りを書くヒマが無くなってしまい、この会は欠席になりました。

6/13 コミュニティマーケティングカンファレンス2025
今回福岡→長崎→福岡→札幌のチケットを取ってしまっており、福岡→東京の飛行機を取れる期間を逃していたので参加を断念しました。膨大な数のツイートまとめが生成されており、これから少しずつ読み進めていくと思います。

準備中のイベント

6/18 XRミーティング

6/20 DevRel/Book #3 (5章、6章)

 5月から始まっている、書籍の輪読会イベント(オンライン)の第3回目を今度の金曜日に開催します。今回は書籍『最高の集い方 (プリヤ・パーカー著)』の5章と6章のポイント共有をします。私の担当が5章なので、これからエッセンスをまとめていきます。

まとめ

 顕微鏡学会に参加して、前回・前々回との違いについてまとめました。いよいよVR技術の活用があらわになってきており、研究現場にもこれから入り込んでくるといいなと思っています(手伝いたい)。
 長崎のイベントが見学できたのも大きな収穫でした。現在の九州勢の練度の高さを間近で見ることができ、まだしばらく九州のイベントが継続しそうな安心を得ました。札幌も見習わなければならないです。
 6,7,8,9月と、札幌でのXRイベントが続いていきます。今までひと月置きに大きなイベントが行われる事は無かったため(しかも運営の主体が別)、界隈の盛り上がりを感じます。
 私の出張も交互に入っていきますので、全国の地方コミュニティイベントと札幌のイベントの接点が増えるように立ちまわって行きます。

以上です。
(2025/6/16 初稿 7077字 300 min)

おまけ

・旅について(飛行機・宿・電車・おみやげなど)

・InterCommunity Communications for Tech/Science (#InCommComm)