代表電話の取次対応はビジネスチャンス!?
先日、ある会社に問い合わせの電話をかけたときのことです。
呼び出し音が何度も鳴った後、ようやく出た相手は「もしもし」とだけ言い、社名を名乗ることもありませんでした。
用件を伝えている途中で言葉を遮られ、担当者へ取り次がれるまでの間、こちらの話をきちんと聞いているのかどうかさえ分からない対応が続きました。
電話を終えた後、「もうこの会社に電話することはないかな」と思った次第ですが、電話の受け手側の心理に思いを馳せてみました。
多くの現場社員にとって、代表電話の呼び出し音は、自分が今取り組んでいる作業を強制的に止められる合図として受け止められています。
営業や勧誘の電話であれば対応が面倒だという思いもありますし、取り次ぎという行為が自分の評価には結びつかない雑務だと感じている人も少なくありません。
こうした後ろ向きな気持ちのまま受話器を取れば、その感情は無意識のうちに声のトーンや言葉遣いに表れてしまいます。
ただ、電話をかけてくる相手は、既存の顧客や取引先とは限りません。
これから重要な関係を築くことになるかもしれない、未来の取引先である可能性も十分にあります。
最初の受電対応がどうであったかによって、その後のビジネスの展開は大きく変わってきます。
電話の対応ひとつが、会社の信頼や印象を静かに左右しているのです。
現場が電話を「仕事を止める厄介なもの」として捉えている限り、対応の質が根本から変わることは難しいのではないでしょうか。
現場の受け止め方を変えていくために欠かせないのは、経営トップ自身が受電の重要性を自分の言葉で語ることだと考えています。
現場や管理部門に任せきりにしている限り、この状況はなかなか変わりません。
現場は日々の実務を優先することを当然だと考えているからです。
代表電話は会社の印象を決める窓口であること、丁寧な対応そのものが会社の信頼を高める行為であること、一方的に会話を終わらせるのではなく次の関係につなげる話し方を意識してほしいということ。
これらを、精神論としてではなく、会社の利益や信頼に直結する話として、経営陣自身の言葉で組織に伝えていくことが求められます。
自社の電話対応を見直す際、手っ取り早く、かつ効果のある方法のひとつに、高い水準の接客で知られるホテルなどの受電対応に実際に触れてみるということがあります。
私がこれまで見聞きした会社の中には、社長自身が一流ホテルや高級レストランに電話をかけ、宿泊の問い合わせなど簡単な用件を通じて、その対応を体感してみたところから改善が始まったという例がありました。
第一声のトーンや名乗るタイミング、こちらの話を聞く際の間や相槌、担当部署へ取り次ぐ際の言葉の運び方など、細部に注目してみると気づくことは多いものです。
気持ちの良い対応をされると、こちらも自然と気持ちよく応じたくなるものですが、その感覚を自社の基準として持ち帰ることには意味があるように思います。
対応の基準が見えてきたら、次は現場が迷わず動けるよう、簡単な受電の流れを整理しておくとよいでしょう。
ただし、ここで大切なのは、型通りの言葉を覚えさせるためのマニュアルを作ることではありません。
決まった言葉をなぞるだけの対応は、かえって機械的な印象を与えてしまうこともあります。
大切なのは、何のためにこの流れを使うのかという目的が現場と共有されていることです。
単に用件を聞き取るだけでなく、会社の印象を良くし、次の機会につなげるためのものであるという理解があれば、流れそのものはシンプルなものでも十分に機能します。
この通りに対応すれば会社の価値を高める役割を果たせるのだという実感を、現場が持てるかどうかが分かれ目になるように思います。
消費者との接点が多い業界では、電話対応の良し悪しがそのまま売上に響くという感覚が、現場に自然と根づいていることが多いように感じます。
一方で、企業間の取引が中心となる会社では、受電対応への意識が薄れ、丁寧さを欠いた対応がそのまま放置されているケースを見かけることもあります。
それは見えにくいところで、静かに機会を失っている状態なのかもしれません・・・
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