私は参謀、もしくは番頭を必要としている・・・
中小企業の社長、とりわけ創業社長や現場叩き上げの経営者は、事業において圧倒的な強みを持っています。
抜群の営業力、現場での技術力、商品開発力、etcそれこそが会社を立ち上げ、これまで牽引してきた原動力です。
しかし、事業が拡大するにつれて、経営者の時間を奪う大きな壁が立ちはだかります。それが財務・資金繰り・労務などの管理業務です。
「事業の現場に立ちたいのに、財務対応や支払い調整で一日が終わってしまう」そんな悩みを抱える経営者は少なくありません。
本来の強みを発揮すべき領域に集中できず、苦手な管理業務に忙殺される。これは会社にとっても大きな機会損失です。
そうした社長の負担を、内側から間近に見て、実際に肩代わりした経験が私にはあります。
過去にある企業で役員を務めた経験があります。
最初は「経営の一助になれば」という認識で引き受けました。
特別に給料が増えるわけでもなく、当初は自分の立場が大きく変わるものではないという認識でしたが、実態は会社を回すための泥臭い現場仕事でした。
大きな転機となったのは、専務が担っていた業務を一手に引き継ぐことになった場面です。
管理部門の統括として、営業面に少し触れつつも、お金や人に関わる実務、さらには外部との提携業務へ深く踏み込むことになりました。
税理士との折衝や打ち合わせ、銀行との融資・返済に関する調整、税務署や社会保険事務所への対応、外部提携業務にかかる契約・資金調整、など、具体的には語り尽くせないほど大変な思いをしましたが、関係各所へ足を運び、資金の確保と調整を重ね、会社を回していきました。
心身ともに非常にハードな時期でしたが、この「黒子」としての奔走が、現在の私の実務の基礎となっています。
この実務経験を通じて痛感したのは、「社長が社長になった理由」と「管理業務が得意かどうか」は全く別問題であるという事実です。
社長がそのポジションにいるのは、そのビジネスにおいて最も秀でているからです。
財務や会計のプロだから社長になったわけではありません。知識や経験が少ない領域で、資金繰りや機関対応などの重責を負うのは、精神的にも非常に強い負担となります。
社長が苦手な管理業務に忙殺されると、次のような悪循環に陥ります。
「本業である営業や商品開発への集中力が削がれる」
「資金繰りの不安から、攻めの経営判断が鈍る」
「税理士や金融機関とのコミュニケーションに後手が回る」
社長が苦手な分野で悩む時間を減らし、得意な現場で思う存分本領を発揮できる環境をつくることで、会社が成長できると考えます。ただし、私が経験したように専務の後任として深く実務に入り込める人材が社内にいるかどうかは、会社によって事情が異なります。では、管理業務や財務のサポートをどのように体制化すべきでしょうか。
社内で優秀な右腕(番頭役)を育成・採用できれば理想的です。しかし、リソースの限られた小規模事業者において、財務や管理全般を任せられる人材を正社員として雇用し続けるのは、コスト面でも採用面でもハードルが高すぎます。
そこで有効な選択肢となるのが、「社外参謀(外部の番頭役)」の活用です。
社外取締役、あるいは継続的な支援を行う外部のコンサルタントとして、実務と経営の双方を理解できる人物を配置するアプローチです。
社外参謀を置くメリットとして以下が挙げられます。
「正社員採用に比べて固定費のリスクを抑えられる」
「銀行や税理士、行政機関との対応を客観的な視点で整理・サポートできる」
「社長が本音で資金や管理の相談ができる『受け皿』ができる」
経営者の仕事は、本来、会社を成長させ、事業を通じて社会や顧客に価値を提供することです。
資金調整や管理業務のプレッシャーでその情熱が削がれてしまうのは、あまりにも勿体ないことです。
だからこそ、自社で抱え込むのではなく、外部の専門知見を頼る仕組みをつくること、これが特に小規模事業者における現実的な解決策だと考えます。
泥臭い現場で資金確保に駆け回り、機関対応の厳しさを身をもって知っているからこそ、財務や管理で孤独に悩む経営者の気持ちが分かります。
私が中小企業診断士として経営支援を行う際の大きな柱は、この役員時代の原体験にあります。
「お金や管理のことは任せて、社長は事業の最前線で本領を発揮していただく」そのための相談相手・社外参謀として、今後も中小企業の現場に寄り添い、伴走を続けていきます。
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