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フランスの初夏はアプリコット色。杏が国民的果物になった理由

6月になると、フランスのマルシェやスーパーにオレンジ色の果物が山積みになります。

その正体は、アプリコット(abricot)。日本語では「杏(あんず)」です。

日本ではジャムや杏仁豆腐の香りとして出会うことが多い杏ですが、フランスではもっと身近な存在です。初夏になると、生で食べるのはもちろん、タルトやジャム、お菓子の材料としてあちこちで見かけます。

フランス人にとってアプリコットは、夏の訪れを告げる果物のひとつ。

今回は、なぜフランスでこれほどアプリコットが愛されているのか、その背景を覗いてみたいと思います。

アプリコットの旬は初夏

フランス産アプリコットの旬は、おおむね5月下旬から8月頃まで。特に6月から7月にかけてが最盛期です。

スーパーに並ぶ量も一気に増え、「夏が来たな」と感じる果物の代表格になっています。

フランスはヨーロッパ有数のアプリコット生産国でもあります。生産の中心は南フランス。


とくにProvence や Rhône Valley 周辺では、大規模な栽培が行われています。

強い日差しと乾燥した気候がアプリコット栽培に適しているためです。そのため、フランス人にとってアプリコットは「南仏の味」でもあります。

実はシルクロードを渡ってきた果物

アプリコットはもともとフランス原産ではありません。

起源については諸説ありますが、一般的には中国から中央アジアを経て西へ伝わったと考えられています。

その後、アルメニアやペルシャ地域を経由し、ローマ時代にヨーロッパへ広まったと言われています。

フランス語の abricot という単語も、アラビア語やスペイン語を経由して現在の形になりました。

つまり、アプリコットは長い旅を経てフランスに根付いた果物なのです。

フランス人はなぜタルトにするのか

フランスでアプリコットを語るなら、タルトは外せません。

6月頃のパティスリーやブーランジュリーでは、アプリコットタルトをよく見かけます。

面白いのは、アプリコットがタルトと非常に相性が良いこと。加熱すると酸味がやわらぎ、香りが濃くなります。さらに、ほどよい酸味がバターたっぷりの生地とよく合うのです。

イチゴや桃のタルトは華やかですが、アプリコットタルトにはどこか素朴な魅力があります。

フランスの家庭でも比較的作られる定番菓子のひとつで、祖母のレシピとして受け継がれていることも珍しくありません。

フランス人にとってのアプリコットタルトは、日本人にとってのアップルパイに少し近い存在かもしれません。

ジャム文化との相性も抜群

アプリコットはコンフィチュール(ジャム)にもよく使われます。

実際、フランスのスーパーに行くと、イチゴやオレンジと並んでアプリコットジャムが定番商品として並んでいます。

これは単に人気だからではありません。アプリコットはペクチンを比較的多く含み、ジャムに加工しやすい果物だからです。

また、甘さと酸味のバランスが良く、パンとの相性も良いため、朝食でバゲットやトーストに塗る人も多くいます。

フランスでは朝食文化そのものは比較的シンプルですが、その中で良質なジャムは重要な存在です。

アプリコットは、その主役のひとつなのです。

日本の杏との違い

日本にも杏はあります。長野県などが有名な産地です。

しかし、日本とフランスでは食べ方がかなり異なります。

日本では、生食よりも加工品として出会うことが多い印象があります。

一方フランスでは、生のアプリコットをそのまま食べる習慣が強く残っています。

スーパーでは量り売りされ、家庭の果物かごに普通に入っています。

また、料理やデザートへの登場頻度も高く、より日常的な果物として扱われています。

同じ果物でも、文化によって立ち位置が大きく変わる好例と言えるでしょう。

初夏を知らせる果物

フランスには季節を感じる食材がたくさんあります。アプリコットは、その間にある初夏の果物です。

旅行中に6月のフランスを訪れる機会があれば、ぜひアプリコットタルトを探してみてください。

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