秋風につたう香り
キンモクセイの花が咲いた。
町じゅうがキンモクセイの香りに包まれた。
朝、足早に駅に向かいながらも、どこからにおいがするのか探してしまう。すると知らないお宅の庭木にオレンジの小さな花を見つけた。あちらにも、こちらにも。その向こうに青い空、うろこ雲が遠く高く流れている。
なぜ、キンモクセイは一斉に香るのだろう。
静かに、そっとそばにいてくれるあまい香り。風が吹いても消えることなく、気持ちを落ち着かせてくれる。
今はキンモクセイの香りが人気で、アロマもハンドクリームも種類多く販売されている。商品によって微妙に香りは違うのだが、どれも「キンモクセイ」だ。
でも私はこの時期のほのかな香りに癒される。
やっと訪れたちいさな秋の祝福と、これから来る冬の寂寥のはざまを感じるのだ。
