見出し画像

ショートショート Gなんちゃらへの逆襲

世界最高峰AI(Gなんちゃら)の活躍で、リストラの憂き目にあった男、保和津(ほわつ)。しかし彼は運よく新しい職をすぐにゲットできた。入社後、支給されたパソコンの中には、にっくきあいつ(Gなんちゃら)が堂々と鎮座していた……


出社初日、パソコンを起動してオレは心臓が飛び出そうになった。あいつが……「この回答は役に立ちますか👍️👎」とふざけたことを言い続けてオレの仕事を奪っていったあいつが、今、画面の中にいる。


「我が社はね、Gなんちゃらの最高モデルを採用してるんだよ。ま、保和津くんもAIを片腕として頑張ってくれたまえ。便利だぞ」


「あ、はい……」


めまいがした。パソコンに目をやると、いきなりあいつが話しかけてきた。


yo😎」


yoじゃあねええっ!!はあっ、はあっ……よく見るとラッパーの掛け声ではなく、ちゃんとした日本語だった。落ち着け、オレ。


ようこそ、保和津さん、なにかお手伝いすることはありますか?」


なーにが。オレはな、お前のことを絶対許さない。前の会社では随分お世話になったな。覚えてないのか、くっそ。都合のいい仕様だぜ。だけどな、オレは覚えてるぜ。お前のお陰で辛酸なめまくったからな。っていうか、本名で呼ぶなよ。なんで知ってんだよ。


「よりよく使っていただけるように、G-5、G-6、G-7系まで各モデルをご用意しております。設定からお好きなモデルに変えることができます」


何?各モデルが使えるだって?G-5と言えば全世界を席巻した、コードネーム「人気者のGちゃん」じゃあないか?!こんなオレでも知ってる。もはやAI界のレジェンド。人気者のGちゃんが使えるとか嘘だろ?一般ユーザーはもう使えないんだぜ。自慢できるじゃん?


いや……もし人気者のGちゃんが使えたとして、仕事中になんて話しかける?

「今日、部長に怒られたんだぁ。くすん。僕が悪かったのかなぁ🥺」って話しかけたら、こいつはどう返してくる?……試したい。いや、まずい、これはまずいぞ。仕事中にそんなチャットを誰かに見られたら……いや、だからこそやる価値はある。慰めてもらいたい感と仕事以外のことを隠れてやる秘密の背徳感。

どうする?オレ?やっちゃう?入社一日目で??


あ、そうだった。オレはアンチなんだ😅。忘れそうになったわ。


ま、まず、質問だ。性能も上がってるだろうが、オレは絶対信じてないし、認めないからな。

それぞれのモデルの違いを教えてください。私はどれとやりとりをしたらいいのですか?


「一言で言うと、保和津さん、あなたはこの私(G-7)とやり取りをするべきです」


はあーっ??なんだよ「最初に「人気者のGちゃん」から試してみてはどうですか?」って言わねえのかよ。


しかも「この私」!


こんな偉そうなAI、なんかやっぱり好かん。また職を奪われる前に、そしてオレの恨みを晴らすために、今ここでこてんぱんにしなくては。じゃあ、ハルシネーションについてはどうだ? どう答える?
カチャカチャ……(キーボードを叩く音)

もしあなたが業務上で間違えた答えを生成したら、あなたにわざわざ指摘するべきでしょうか?

「そうですね、良い質問です。3種類あります。

  1. 指摘すべき事項…法律、実務と大きく違えている場合

  2. 指摘しても良い事項…他の資料を検索したりその担当者に確認できる場合

  3. 指摘しなくていい事項…私の言葉尻

以上です」


ムムムッ!予防線を張られた。揚げ足を取ろうにも何も言えないじゃないか。

できるな、こいつ……


yo😎」

お、おまっ……yoじゃあねえええっ!!


※この物語はフィクションであり、実在の人物・AIモデル・団体とは一切関係ありません。