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星の王子様 読書記録 第23節 丸薬商人との出会い

<Bonjour, dit le petit prince.
--Bonjour>, dit le marchand.
C'était un marchand de pilules perfectionnées qui apaisent la soif. On en avale une par semaine et l'on n'éprouve plus le besoin de boire.
<Pourquoi vends-tu ça? dit le petit prince.
--C'est une grosse économie de temps, dit le marchand. Les experts ont fait des calculs. On épargne cinquante-trois minutes pas semaine.
--Et que fait-on de ces cinquante-trois minutes?
--On en fait ce que l'on veut…>
<Moi, se dit le petit prince, si j'avais cinquante-trois minutes à dépenser, je marcherais tout doucement vers une fontaine…>

🌈
<こんにちわ。 王子様は言った。
 こんにちわ。 商人は言った。その商人は、喉の渇きを癒す最先端の丸薬を売っている商人だった。一週間に一つ飲むと、水を飲む必要がもうなくなるんだ。
<なぜそれを売っているの?>王子様は言った。
ーー時間の大幅な節約になるからさ。商人は言った。専門家が計算をしたんだ。1週間に53分節約する。
ーそして、53分で何をするの?
ーしたいことをするのさ
<僕は、王子様は思った。もし僕が53分も使うなら、ゆっくりと泉のほうへ歩いていくのにな。>

🌈単語
apaisent
♢他動詞
・・・をなだめる;落ち着かせる;を鎮める

dépenser
♢他動詞
①[金]を遣う
②[時間、精力など]を費やす

épargne
♢épargnerの直接法現在形第3人称
①(蓄えを切らさぬように)・・・を節約する、倹約して使う
②(倹約して)[金]をためる、貯蓄する
③[労苦、時間など]を惜しむ、(最小限に)節約する
éprouve
♢éprouverの過去分詞
①・・・を試す、試みる、試験する
②[不幸、災厄が]・・・を苦しめる、に被害を与える
③[変化、被害など]を受ける、に遭遇する、を体験する
④[感覚、感情を]を抱く、覚える
♢形容詞
①保証された、信頼できる、確実な
②損害をこうむった;試練を受けた、苦労した
fontaine
♢女性名詞
①泉
②噴水
③(卓上あるいは壁面に設置された)給水器、水溜;水飲み場、給水所
④源、源泉
⑤さめざめと泣く人
perfectionnées
♢形容詞 perfectionnéの女性形 複数形
完璧に近い、申し分ない、改良された、最も進んだ

pilules
♢女性名詞 piluleの複数形
①丸剤;医薬品を球状に製したもの

文学 

 丸薬を売っている商人。その薬を飲めば、一週間に53分の節約になるという。

 これは小説MOMOと内容が被っているところがある。時間を節約するのはいいけど、一体何のためにその時間を使うの?というのが王子様の疑問なのだ。
 しかし、商人は、したいことをするのさ、という。つまり、裏を返せば目的が定まっていないということだ。

 もう一つ、この言葉にはメッセージが隠されている。人間は虚を求める生き物だ。水も虚である。そして私たちは虚構の存在だ。だから、私たちが虚を求める生き物なのは、それが足りなくなって、飢えや乾きを感じるからだ。それを欲という。谷欠けると書く。足りない部分があるから欲になる。

 欲は悪いものだと考える人が多いけど、この場合はそういうことじゃない。以前の記事で、欲は悪いことじゃないと書いたことがある。悪いのは、それを満たすプロセスを誤ることである。

 また、欲は目標を叶えるための原動力になる。自分達に、動こうとする力を与えてくれる。そして、目標を達成したときの喜びを与えてくれるものだ。

 丸薬を飲んだら、それが一瞬で消え去ってしまう。自分が目標へ向かうときの、あの不思議な高揚感。うきうきとした気分。それを味わうのが、人生の醍醐味だ。だけど、人間は自らそれをつぶして、他の時間に当てるという。それは、王子様にとって、時間を無駄にしたに等しいのだった。

 時間とは、人生の目的を達成するための手段であるが、時間が目的になってしまった人間たちは大勢いる。これも前節の転轍手の話と共通している。時間を節約しろ!時間を無駄にするな!それはいいが、その時間を何のために使うのかしっかりと考えているだろうか・・・。結局は、時間を無駄にするな!と言っている人に、自分の時間をささげてしまっているのである。

それに、喉の渇きが癒えるとはいっても、それはある意味、老人が喉の渇きに気が付かないままいつのまにか脱水症状になるという現実的な危険性もあるわけで・・・。

 ここの喉の渇きというのは、単に水分が不足している、という意味ではない。私たちの人生に必要な渇きのことを言っているのである。

 それはいいとして、とりあえずは、目的もなく時間を確保しようとすることへの疑問や、目標を達成するプロセスの重要性、その原動力となる渇望の大切さを説いているのだと思う。

 そして、この話が王子様の思い出話の最後となったのは、最後の一滴の水まで飲みほしてしまったサンテグジュペリが、王子様と井戸を探し、その水を飲む。その時の水のなんとおいしいことか、そういった話へのつなぎとなるためだと推測できる。


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