本当は恐ろしい日本の昔話⑤ 『したきりすずめ』閲覧注意

こんにちは!本当は恐ろしい日本の昔話のコーナーです。第5話目です!
今回は、『舌切スズメ』ですよ!

注意: 卑猥な表現は私苦手で書けないので、極力省いています。18歳以上推奨です。卑猥度は京極夏彦さんの小説よりも下ですけどね。

卑猥さが問題というよりは、読後感がよくなくて、書いた私自身も、気分が悪くなります。特に、著者を含めおじいさんに殺意を抱きたくなると思うのですが、そういう人でもよろしければ、ぜひお読みください。


昔々、おじいさんとおばあさんが山で暮らしていました。ある日、おじいさんが竹藪に入り、仕事にとりかかろうと思った時、小さな女の子が川辺に立っているのを見つけました。

どこから来たのかわかりませんでしたが、顔立ちがとてもよく、何とも可愛らしい女の子でした。少し着物が破れており、膝からは血が流れています。どこか気品が漂う子です。歳は11歳から12歳ころでしょうか。

「おや・・・。お前、一体どこの子だい?」

おじいさんは女の子にそう尋ねました。

「・・・。」

女の子は黙ったままうつむいています。

おじいさんはまた、こう言いました。

「けがをしているね。私の家へ来なさい。手当てをしてあげよう。お腹もすいただろう。」

おじいさんは女の子を家へ連れて帰りました。

「ばあさんや。道に迷うた子がおってな。少し怪我をしているようだから、連れて帰って来たよ。」

糸を紡いでいたおばあさんは、少し驚いたようでした。少しの間、じっと女の子を見ていましたが、すぐにこう言いました。

「そうですか。怪我を手当てしたら、すぐに元の家に帰してくださいね。」

少しふて腐れたような態度で、きっぱりとこういうと、おばあさんは再び糸を紡ぎ始めました。

おじいさんは、何をそんなにと、いつもとは違うおばあさんの様子を訝し気に見ていましたが、すぐに女の子の手当てに取り掛かりました。

おじいさんは、綺麗な井戸の水を汲み、女の子の膝の汚れを取ってやりました。そして、柔らかい清潔な布を当ててあげました。柔らかい丈夫な紐で軽く止めてあげました。

「お前、どこから来たんだね?」

おじいさんは、再び女の子に尋ねました。しかし、何も答えませんでした。

「そういえば、名前をまだ聞いていなかったな。名は何という?」

女の子は、しばらくだまっていましたが、こう答えました。

「すずめ・・・。」

「すずめか。良い名だな。」

その女の子のほっぺには、泣きほくろが付いていました。それがちょうど、両方についていたものですから、鳥のすずめほど大きくはありませんでしたが、それでもすずめのほっぺのようでした。

しばらく、おじいさんの膝に乗せられて、じっと宙を見つめていました。すずめは、安心してきたのか、次第に口を開くようになってきました。

「人がたくさんいるところから来ただ。おらもどこなのかわからない。おとうと、おかあに、そこへ行けって言われた。誰か知らない人が来て、おらをそこへ連れて行っただ。」

おじいさんは、この話を聞いて、悟りました。

「(・・・この子は、口減らしにされたのかもしれぬ。売られてしまったのだ。)」

そのまま帰すのも、忍びない気がしました。とりあえず、1晩泊めて、それから考えてみようと思いました。

次の日、おばあさんにこの女の子と一緒に暮らすことを相談しました。

おばあさんはひどく反対しました。

「うちには子供を養う余裕などありゃしない!どこの子かもわからないのに!誰かが文句を言いにくるかもしれない。」

「おばあさん。あの子は口減らしのために売られてしまったんだ。そこから逃げ出してきたに違いない。哀れな子だ。しばらくの間でいい。まだ小さいのだから、大人になるまでとは言わない。家でしばらく匿ってあげよう。なぁ?仕事を覚えさせれば、きっと役に立つはずだ。」

おばあさんはそれでも必死に反対しましたが、おじいさんがどうしてもというので、

「わかりました。」

その日から、その子との生活が始まりましたが、おばあさんは大きな心配をしていました。それは、その子がとても可愛らしいので、おじいさんの気持ちが取られてしまうのではないか・・・。とそう思ったのです。

おじいさんは、その女の子を大変可愛がりました。暇ができた時は、その子を傍に置いて、片時も離さなくなりました。

その子も、おじいさんに大変なつきました。最初は口数が少なかったのですが、意外にも、おしゃべりが大変好きな子であることがわかりました。その子は、おじいさんやおばあさんが仕事に出ている間は、近所の小さい子と一緒に遊んだりして、すぐに仲良くなりました。

おばあさんは、よくしゃべるその子を、小うるさく思っていましたが、おじいさんの前で嫉妬心を大っぴらに見せるのも恥ずかしく思っていましたから、食い扶持を奪う邪魔者としてその子を見ているのだと思わせていました。

おばあさんは嫉妬心に苦しみましたが、何とか耐えることができました。おじいさんはその子を、子供として可愛がっているのだろうと思っていました。なぜならば、二人には子供がいなかったからです。おじいさんは、昔から自分の子を欲しがっていました。

 おばあさんはおじいさんが好きでした。おじいさんはハンサムで、正直で、働き者で優しかったのです。おまけに女性の扱い方もとても上手でしたから、人柄は非の打ちどころがないようでした。後はお金さえあれば文句がないというところで、暮らしは貧しかったのです。

 その子にあまりにもひどいことをすると、おじいさんからも嫌われてしまいます。それに、その子に劣情までは抱いていないだろうと考えていたのです。夜の営みは、おばあさんと行うことが続いていたからです。(おばあさんと言っても、昔は人生50年でしたから、年が行ってても、せいぜい40くらいだと思います。)

一方、すずめはその様子を夜な夜な見ていました。おじいさんとおばあさんがまぐわっているところを、障子の隙間から覗いていたのです。おじいさんもおばあさんを愛していましたし、すずめはすずめで、子ができたかのように思っておりました。しかし、やはり若くてきれいなすずめに、全く劣情を抱かない、ということは難しいのでした。

ある日、おじいさんの品行方正な日常は、あえなく終わりました。すずめは、ある時、単なる好奇心から、全く無邪気に、おじいさんに言いました。

「な。おらにもおばあさんと同じことしてくんろ。」

そうして、着物をはだけました。裸になっておじいさんの前に立ちました。

この時、おじいさんはぞわぞわとして、今まで抑え込んでいた劣情が一気に噴き出しました。そうです。この子の魅力を感じていたおじいさんは、それでも、この子に手を出すことだけはしまいと思っていました。だから、おばあさんで、気持ちを紛らわしていたところもあったのです。時には、おばあさんを抱きながら、すずめをその手に抱きしめているのだと考えていたものでした。

しかし、すずめのこの言葉を聞いてから、おじいさんは、この子に手を出したいと言う欲情を抑えきることができなくなりました。

「どうせこの子は、わしのところにいなかったら、誰かの相手をするんじゃ。それならば、それがわしでもいいじゃないか。きっと、もっと乱暴な男にひどい目に合わされるじゃろう。ならば、そうであるよりも、わしがしてやった方が、よっぽどかこの子のためになるというものじゃ・・・。」

おじいさんは、そう自分を納得させました。そして、ごくっと唾を飲み込むと、その肌理の細かい、暖かく柔らかい体に溺れてしまいました。

しばらく、おばあさんの目を盗み、この関係は続いていました。

しかし、ある時とうとう、この関係はばれてしまいました。火が付いたように怒り狂ったおばあさんは、包丁を持ってきて、すずめに切りかかりました。憎いすずめのした(陰部)を、傷つけてやろうと思ったのです。すずめの下腹部に刃が当たりました。血が少し出ましたが、幸い、深手ではありませんでした。

おじいさんは驚いて、おばあさんを止めようとしました。おばあさんはこう叫びました。

「ただでさえ食べ物がないのに、養ってやった恩を仇で返しおってからに!お前なぞどこぞへと行ってしまえ!」

おじいさんは逃げろと言って、すずめを逃がしました。そして、おばあさんに謝り続けました。色々な言訳を咄嗟にしたものですが、どれも苦しい言訳でした。

おばあさんは、もう少しでおじいさんも包丁で刺すところでしたが、必死で気持ちを堪えていました。目には涙を浮かべていました。

おばあさんは、怒り心頭です。一方、すずめは肌着を抑えつつ、必死で山道を駆けて行きました。

おじいさんは、何度もおばあさんに謝りました。それと同時に、すずめはどこに行ってしまったのかと、心配していたのでした。

それから1年くらいたったでしょうか。おじいさんとおばあさんは、何とか寄りを戻しました。毎日おばあさんに愛情をかけていたこと。そして、何度も事情をはなしたからです。おじいさんは、優しく、我慢強い人でしたし、おばあさんも、それを気に入っていたのでした。おじいさんは素直に自分の劣情があったことも認めました。しかし、あの子のためを思ってしたのだというのも嘘ではないと伝えました。日頃から変な嘘をつかない正直者でもあったし、ずいぶんと時間もたったので、おばあさんも、過去のことは水に流そうか…と思い始めました。

しかし、おじいさんはすずめの行先が気になっていました。おじいさんのすずめを思う気持ちも、もう心の中に入り込んで、しっかりと根を張ってしまっていたのでした。

ある日のこと、おじいさんが竹細工を売りに、少し遠くの町へ出かけたところ、大きな遊郭がありました。なんと、そこにあのすずめがいたではありませんか。

おじいさんはすずめを見るや嬉しくなり、

「すずめ!」

と声を掛けました。

すずめはおじいさんを見ると、飛び上がって喜び、駆けてきて抱き着きました。

「すまなかったな。あれからもう一度会って謝りたかったのだ。そして、お前が元気であるかどうかを確かめたかった。どうだ。元気だったか。」

すずめはこくりとうなづきました。

すると建物から、1人の男が出てきました。

「おや、あなたはひょっとすると、すずめの言っていたお爺様でしょうか。初めまして・・・。私は・・・。」

その男はおじいさんの前に歩み寄ると、深々とお辞儀をしました。

「こんなところでは何でしょうから、どうぞおあがりくださいまし。」

おじいさんは、すずめの今が気になって仕方がなかったので、男の申し出に応じることにしました。

おじいさんはその男と二人で、座敷の上に、向かい合って座りました。
すずめは別の部屋で遊んでいました。

おじいさんの思った通り、すずめは口減らしのために遊郭に売られてきた子でした。怖くなって逃げだしたのだと言うことです。

しかし、しばらくして、すずめの居場所がわかったため、すずめを再び引き取ったのでした。

「どうも、すずめをしばらくの間面倒見てくださっておられたようで、大変ありがたく思っております。すずめは、お爺様のところを出てから、方々を彷徨っていたようでして。この子を見て、泊めてくれる男もいたのだそうですが、皆あちらの方が目当てでしてな。ひどいこともされたそうでございます。一人であぜ道を歩いて居るところを、うちの者が見かけまして、いや、いきなりいなくなった時はどうしたものかと・・・。」

「そうでしたか。」

「はい。すずめはあなたのことをよく話してくれました。あなたは大変優しく、自分を大切に扱ってくれたと。あなたのところから出た後に出会った男たちとは雲泥の差だったと・・・。出来ることならまた戻りたいが、おばあさんに嫌われてしまったから、もう戻ることはできないと。」

「なるほど・・・。」

「それと・・・大変お聞きしにくいのですが・・・。その・・・。すずめはあちらの方も大変扱いがうまかったと聞きました・・・。そのためでしょうか。あの子は他の子と違い、既にてなれたものでして・・・。元々器量もよいですから、家では評判の娘になっておるのでございます。」

おじいさんは、恥ずかしさや、罪の意識を感じておりましたが、その男が、とても敬意をこめた態度で話をするので、一方で、どこかとても誇らしげな、不思議な気持ちがするのでした。

「あの子が来てから、家の店も前より評判もあがったようでして・・・。あのような子がもう2~3人いれば、家も助かるというもの・・・。それに、私共としても、初物の子の扱いには少々手を焼きましてな。他の商売敵というのもおりまして・・・。どうでしょう。すずめだけでなく、他の子にも、手ほどきをいただけないでしょうか。」

おじいさんは大変驚きました。

「いや・・・お断りいたします。家には妻がおりますし、仮にそれができたとしても、帰ってくるのも遅くなりますので。あのすずめの件は、実はこれこれこういう事情で・・・」

「そうでしたか・・・。もちろん、私の家の者が子を道の途中まで連れていくことにします。お爺様は近くまで足を運んでくだされば結構。私たちもこのことは内密にしておきたいため、できれば目立たぬところでしたいのです。」

おじいさんは、再びこのような考えに至りました。

「・・・。何だかおばあさんに申し訳ないのぅ。しかし、このような哀れな娘たちが、恐怖と不安におびえながら、自分の体を慰みものにする、というのも何とも忍びないのぉ・・・。」

おじいさんは、自分の劣情を正当化したように思い、2重の苦しみを感じました・・・。

「もちろん、お礼は致しますので・・・。今までの分も合わせて」

そういって、男は数十枚もの小判を差し出しました。

「娘を1人扱っていただくたびに、稼ぎから一部を・・・。」

おじいさんはお金に困っているおばあさんの苦労を思い、また、売られた女たちが少しでも気が楽になるならということで、この話を受けることにしました。

あのすずめの顔を見ていると、自分がそうそう、悪いことをしたようにも思えなかったのです。

おじいさんは、貰ったお金を秘密の場所に隠しておきました。そして、この男の手引きに従って、仕事の合間を縫って、すずめと同じように娘を扱うことにしました。

お金はどんどんたまって行きます。一人では不安だと思う子もいました。そんな場合には、すずめが付き添ってくることがありました。

ある時のこと、たまったお金をどうしようかと考えていましたが、まさかこうしたことで稼いだとは言えません。正直者のおじいさんも、これには大変困ってしまいました。

そこで、遊郭の男に相談したところ、

「ああ、それでは私が参りましょう。おばあさんのところへ行き、私がすずめの面倒を見ており、すずめの世話をしてくれて大変助かったと、感謝の意を伝えましょう。そして、そのお礼として、あなた様にお支払いした礼金を見せてはいかがですか。」

おじいさんは、それは名案だと思い、男と共にこのことをおばあさんに伝えました。

おばあさんは驚いて、おじいさんが持ってきたお金を見て目の色を変えてしまいました。

「いえ、そんな大したことはしておりませんよ・・・。」

といいながらも、おばあさんの心は、大金というものに魅せられてしまったようでした。

おばあさんは、おじいさんにすずめのことを謝りました。

「おじいさんも悪いんですよ。ですが、私もあの子にはひどいことをしてしまいました。深く反省しております。」

おじいさんは、この言葉を聞いて安心しました。そして、おじいさんは、男から言われた一言を言ってみました。

「実はな・・・。あの方から、すずめと同じような子を相手にしてほしいと頼まれたことがあるのじゃ。断ったのだが、礼は弾むと言われてな・・・。参ったものじゃ・・・。ははは。」

 おばあさんは、しばらくじっと考えていました。そして、おじいさんがびっくりするようなことを言ったのです。

「もし、すずめのような子を相手にしたら、あれだけのお金がもらえるだか?」

「ん?ああ、そう聞いとるよ。」

「そうだか・・・。」

おばあさんは、少し考えこんでいたようでした。

ある時、おばあさんは珍しく、遠くに物見に出かけると言ってきました。
おじいさんは不思議に思いましたが、お金も十分にある今だし、

「楽しんでおいで」

と言って、おばあさんを送り出しました。

おばあさんの目的は、あの遊郭でした。そして、あの男に出会い、話をしました。

「どうじゃろう。私が女子の手ほどきをしてみようと思うのじゃが・・・。同じ女じゃから、女のことはよくわかる。それにほれ、あのおじいさんの妻じゃしの。」

おばあさんは、これ以上おじいさんに子をあてがわせたくないという思いもあり、自分が女の子の世話役を買い、お金を稼ぎたいと思ったのでした。

男は、すずめからおばあさんのことを聞いていました。また、他の子たちが、おばあさんにうっかりとおじいさんとの関係を話してしまったら大変だ・・・とも思い、この話を断ることにしました。すずめはおしゃべりで、口が軽いのがたまに傷なのです。

「おばあさん。おじいさんに断られてしまったので、その申し出はとても嬉しく思っております。しかし、こちらもよくよく考えれば、無理なお願いであったなと・・・。家はすずめのおかげで大変助かっております。そのお礼を以前は差し上げたつもりでしたが・・・。お金が足りないと言われるのならば、もう少しお支払いしましょう。」

そして、おばあさんに小判を10枚ほど渡しました。

おばあさんは、それを見て、しつこく男に食い下がりました。

「どうか・・・考え直してもらえんじゃろうか・・・。」

余りにもしつこいので、男はとてもうざったく思い始めました。その日はとにかく帰ってもらうことにしましたが、おばあさんは、日を改めては何度も足を運んでくるようになりました。

おばあさんは、どうしても諦めきれず、

「もし飲まなんだら、年端も行かぬ子を売りに出しておるとゆうど・・・。」

ということを伝えました。

男は、しばらく黙っていましたが、ようやく。

「わかりました。では、この日に、このお時間で。」

と条件を出しました。

おばあさんが嬉々として家路についた時のことです。

おばあさんは、男の放った刺客により、滝に突き落とされてしまいました。

おじいさんは、おばあさんが家に帰ってこないので心配になり、いろいろと探しましたが、ついに見つかりませんでした。

すずめの宿に行き、男におばあさんのことを尋ねましたが、知らないと答えます。そして、男はこのような提案をしてきました。

もしおばあさんがいなくなれば、すずめでも、誰でも、身受けする気はありませんか? あなたなら、きっとどの子でも喜ぶでしょう。

おじいさんは、いつまでたってもおばあさんが帰ってこないので、男の話に乗ることにしました。そして、男からもらった金のほとんどを男に支払い、それからは引き取った女の子と幸せに暮らしましたとさ・・・。

したきりすずめ あらすじと解説

お読みいただきまして、ありがとうございました。

舌切すずめのお話です。この物語は、おじいさんに可愛がられたすずめを、おばあさんが、とあることをきっかけとして追い出すことから始まります。

おじいさんはすずめが心配になって探しに行ったところ、すずめの宿を見つけ、宝を貰って帰る。すると、おばあさんもその宝を見て欲を出し、大きな宝を選んで、ひどい目に合う、というそういうお話でしたね。

まともな(笑)ストーリーだと、欲張ったおばあさんを通して、欲を出しすぎると痛い目にあうぞ・・・という教育を込めたお話になっています。

しかし、本当のところはどうでしょうか。すずめには、「おしゃべりな人。ある物事によく通じている人」という意味もあるようです。

そして、舌を切られた、という「舌」は「下」と同じ読みであり、「下」は陰部の隠語になっております。

物語だから、おじいさんとすずめが仲良く暮らしている、という非常にほほえましい場面が展開されていますが、この物語をリアルに近づけると、夢を壊すようですが、すずめがそれほど人になつくとは思えません。

また、舌切すずめの実際のお話にあるように、おばあさんがおじいさんとすずめの関係を快く思っていない、というところからも、嫉妬心があったことが読み取れます。

スズメのめは、「女」とも書けますので、鈴女、という女の子の隠語ではないかとも考えました。すると、他の女の子を可愛がるおじいさんに、奥さんであるおばあさんが嫉妬する、という構成も、無理なく成立するように思います。

さて、おばあさんが障子を張るために作った、米の糊を全て平らげてしまうことによって、すずめはおばあさんに追い出されてしまいますし、舌をきられてしまいます。

この障子の糊は、米でできていたものですから、鈴女だろうが、本当の雀だろうが、食べても悪いものではありません。壁に耳あり、障子に目あり、ということから、部屋の中が見えないようにするための障子の、重要な部分である糊を食べてしまったと言うのは、部屋の中を覗ける状態にした、ということなのではないかと考えました。

となると今度は、おばあさんにとって、見られたくないものを見られてしまう、ということになりそうです。

じゃあ、それは何なのかというのが、本編のあらすじに書いた通りのことですね。

雀の宿ですが、これは売春宿にしました。この当時であんなつづらをお土産に出せる場所といったら、裏の商売をしているところしか考えられません。

本当の物語では、金銀小判、赤サンゴなどの装飾品もあったように書かれていますが、これは全てひっくるめて、金銭的価値の高いもの、ということでいいでしょう。

おじいさんは、社会的・道義的には非難されるような稼ぎ方をしてしまいましたが、それでも、確かに、おじいさんの悪は、一種の必要悪、他の悪よりは善と評価されるような悪でした。おじいさんのような人に体を好きにされるのと、嫌らしい乱暴な男に一方的に好きにされるのとでは、女の心と体に残るダメージも、全く違うものになったでしょうから。

そしてお爺さんのすごいところは、性の快楽を感じ、それに溺れることはあったとしても、やはり、後戻りをしようと思えば、後戻りできるだけのストイックさも持っていたことです。これは、麻薬依存から自力で戻れるくらいの強い精神力があることがうかがえます。

一方、おばあさんは、他者の性的快楽に批判をする一方で、お金という別の快楽にころりと心を奪われてしまいました。性の快楽に弱い人間ばかりが非難の対象になることがよくあるのですが、人には快楽の耐性というものが、人それぞれで違うものです。

性的な欲望に弱い人もいれば、お金に弱い人もいて、名誉感情に弱い人もいる。名誉感情に弱い人が、お金に弱い人を非難し、お金に弱い人が、性的な欲望に弱い人を非難し、性的な欲望に弱い人が、名誉感情に弱い人を非難する。酒に弱い人が、大食いの人を非難し、大食いの人が、たばこに弱い人を非難し・・・という形で、ぐるぐるぐるぐると他人を批判しているのも、人間世界の一つの姿ではないでしょうか。

私たちの一般常識でいえば、麻薬に弱い人=性に弱い人<お金に弱い人<名誉感情に弱い人<お酒に弱い人

これが正しいかどうかはわかりませんが、こんな感じの階層が成立しているようにも思います。

今回、読者の皆さんは、おじいさんの性的な気のゆるみを非難したくなったかもしれません。それはおばあさんが代弁してくれました(笑)。しかし、その性的なだらしなさを非難しているはずのおばあさんも、お金という別の快楽にはとても弱かったのです。

快楽に弱い人間は、別の快楽に弱い人間を叩くことが普通にある、ということです。皆さんも、自分が弱いなぁ~と思っている快楽に向き合い、それに対処することを考えるとよいのではないでしょうか。

自分の中にある、快楽に弱い心。それは、男女の肉体関係と同じなのです。それがお金、お酒、たばこといった、別のもので満たされているだけです。例えその人が性については品行方正であったとしても、別の快楽にはちゃんと弱かったりする・・・。ただそれだけなのかもしれません。

そうであるとすれば、自分は、さも性の快楽に耐性があるのをいいことに、性の快楽に弱い人間を叩く。これは、自分を棚上げしているのではないか…ということも考えられますね。自分にとって誘惑的な欲に抗うことができてこそ、他者が自分の欲に負けてしまうことを非難できる。別に非難しなくてもいいですけど、少なくとも、そうでなければならないのではないか、と思います。

嫉妬も性欲の一種だとすれば、おばあさんもおばあさんで、嫉妬の感情に自分が飲み込まれることもなかったのかもしれませんし、お金に目がくらむこともなかったでしょう。

さて、この物語は、性の経済こそが、最もお金を回す・・・という今の世界を反映したメッセージも含まれています。

人間から人間へ流れる単なる電気信号の移り変わり。お金を稼ぐ種は、元をたどればこれだけです。

性風俗がいつまでもなくならないのは、お金稼ぎというのが、その根源では、性を基調としているからこそなのです。

おじいさんはすずめへの性欲を、すずめは他人の秘密や、他人の大切にしている物を奪いたいと言う性欲を、そして、おばあさんはお金や、他者から愛されたいと言う性欲を、それぞれに持っていました。皆の性欲が回転し、ルーレットのように人は流れに翻弄されて行きます。

したきりすずめは、こうした性的経済の流れを、暗に示したものなのではないでしょうか。

雀の宿が、お土産として、大きなつづらと小さなつづらを選ばせるのは、単につづらを選ばせたかったからではありません。そして、実際にそういうものがあったわけでもありません。小さなものよりも、もっと大きなものを狙いたいと言う欲があれば、それを狙おうとするものです。

そして、小さなつづら(お金やその時ばかりの人の評価、お酒、たばこ)などは、実際は大きなつづら(人の持つ有象無象のぐちゃぐちゃの欲望の根源があることを利用した収益獲得の仕組み)があるからこそ存在するものであり、だからこそ、物語にはその二つが並べられているのです。その二つは、どちらもなければならないのです。

本物のストーリーでも、大きなつづらを選んでしまったおばあさんは、その中にある人間の有象無象の欲望が、妖怪や魑魅魍魎と表現された上で、降りかかってきてしまったのでした。

これはおばあさんの欲望の大きさから、私たちには、あまり出過ぎた欲望は持たないようにしましょうね・・・という教訓を込めた物語だと評価されていますが、私は違うと思います。

経済的な成果物(小さなつづら)は、人の有象無象のぐちゃぐちゃの欲望(おおきなつづら)があるからこそ存在するのだと言うことを、暗に示しているのではないでしょうか。

そして、それに触れてしまったおばあさんは、とてつもなく恐ろしい目にあってしまうのです。

私のストーリーだと、おばあさんを最後どうしてやろうかな~って思いましたが、殺しちゃいました。殺さないで!って思う人がいればコメントくださいね!いくらでも書き換えますから(笑)

でも、最後の最後に、すずめの宿の男は、結局おじいさんからお金を取り、ほとんど金銭的な損失もなく、自分の宿を繁盛させることに成功しています・・・。ここもまた、恐ろしいところですね。

この物語が気に入ったら、バックナンバーもよろしくお願いしますね。









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