推し活に年齢制限はなかった。60代おばさんがハロプロの客席で見つけた真実
夜中に布団の中で、「ハロプロ ライブ 年齢層」って検索する。
実はそれ、少し前の私です。
画面の明かりで顔を照らしながら、知恵袋の回答を何往復も読んで、結局そっとスマホを伏せる。
申し込みページまでは行くのに、最後のボタンだけが押せない。
「男性ばっかりだったらどうしよう」
「コールもペンライトも知らないのに、行っていいの?」
「私みたいなおばさん、浮くんじゃない?」
その不安、わかる!
全部、私が通ってきた道だから。
今日は、60代の私が実際にハロプロの客席で見てきたものを、そのまま話しますね。
データでも一般論でもなく、この目で見た景色の話。
「おばさんが行くなんて恥ずかしい」と思っていた頃の私
そもそも私の第一声は、「いやいや、女性アイドルのコンサートなんて、おっさんしかいないでしょ」だった。
息子の余りチケットでハロコン(ハロー!プロジェクトの合同コンサート)に誘われたときも、正直、心のハードルは高かった。
「私みたいなおばさんが見たところで、何が楽しいのよ……」
でもね、一番のブレーキは「楽しめるかどうか」じゃなかった。
「おばさんがアイドルの現場に行くなんて、恥ずかしい」
これ。
この一言が、ずっと頭の中に住み着いていた。
オタクの聖地に、場違いな年寄りが一人紛れ込む図。
想像しただけで、入口で回れ右したくなる。
だって私のアイドル知識、モーニング娘。の「LOVEマシーン」あたりで完全に止まってたのよ。
今のハロプロに誰がいるのかも知らない。
コールなんて呪文にしか聞こえない。
ペンライトは持ってないどころか、どこで売ってるのかも知らない。
「何も知らない人間が行っていい場所じゃない」って、勝手に入場資格を作り上げていた。
それでも「まあ、一度くらいは見てもいいかな」と、とりあえず行ってみることにした。
この一歩が、恥ずかしさの正体を暴くことになるとも知らずに。
客席の年齢層、この目で確かめてきた
会場に着いて、まず予想以上だった。
見渡す限り、中年以上の男性、男性、男性。
どっからどう見ても年季の入った、生粋のオタクと呼べる人たちがほとんどだった。
女性は40代前後の人が多いのかな?
若年層は少なめで、いや、古参が多すぎて埋もれてる?
そして見つけちゃったの。
50代くらいの女性が、お母さんらしき人と2人で来ている姿を。
親子で推し活。
なにそれ素敵じゃない。
Juice=Juiceの単独ライブも、客層は中年以上が多め。
最近は少しずつ若い子が増えてきた感じはあるけど、それでも「おばさん一人が目立つ」なんて状況には、一度もなったことがない。
だってね、周りのオタクたちの存在感が強すぎる。
気合いの入ったTシャツ、タオル、ペンライト。
全身で「好き」を表現している人たちの圧の中では、60代のおばさん一人なんて、風景に溶けるレベル。
浮くどころか、埋もれる。
いい意味で。
コールもペンライトもわからないまま、開演
とはいえ初参戦の私は、丸腰だった。
ペンライトなし。コールの知識なし。メンバーカラー? 何それ。
だから開演したら、手拍子だけしてた。
それだけでも、実は十分楽しめていた。
ステージはちゃんと見えるし、音は体に響くし、手拍子はどの曲でも間違いじゃない。
そしたらね、隣の男性がすっとこっちに手を伸ばして、一言。
「これ、どうぞ」
ペンライトを1本、貸してくれたの。
なんて優しいオタクさん!
「一緒に楽しみましょう」って言ってもらえた気がして、暗い客席の中で、なんか胸がアツくなったのを今でも覚えてる。
振り方もわからない。色の変え方もわからない。
だから手拍子の延長みたいに、手渡されたままの色で振っていた。
初めは振るだけでも緊張してた。
「変な振り方してたら笑われるかな」って。
でも周りを見たら、誰も私のことなんて見ていなかった。
みんなステージに夢中で、オタクの熱量が圧倒的すぎて、私の緊張なんて一瞬でかき消された。
客席で一番自意識過剰だったのは、たぶん私だった。
帰る頃には、借り物のペンライトを握りしめながら「次はメンバーカラーを覚えて、素早く切り替える技を身につけなきゃ」って考えてる自分がいた。
行く前は「行っていいのかどうか」で悩んでいたのに、帰り道はもう「次はどう楽しむか」で悩んでる。
悩みの種類が変わった瞬間、人は沼に落ちてるのよね。
恥ずかしさは、客席に置いてきた
あの日から、私は変わった。
近場なら一人で参戦できるようになった。
グッズの買い方も覚えた。
メンバーカラーも覚えた……いや、正確に言うと「覚えたつもり」。
曲中に素早く色を切り替える技はまだ修行中で、今でもたまにわからなくなる。
でも、それでいい。
誰も減点してこないから。
どのくらい図太くなったかというとね。
この前、前の席の大きな男性が、2席の真ん中に仁王立ちして完コピダンスを始めたの。
おかげでステージが全然見えない。
昔の私なら、つま先立ちで我慢して、モヤモヤしたまま帰っていたと思う。
でも今の私は言った。
「すみません、席はどっちかにしてください」
言えちゃったのよ、おばさんだから。
「浮いたらどうしよう」って布団の中で震えていた人間と同一人物とは思えない進化。
恥ずかしさなんて感情は、とっくの昔に客席のどこかに置いてきた。
体力面の心配をしている人にも、正直なところを言っておくね。
私の初参戦はコロナ期だったから、席に座ってゆっくり見られた。
ある意味、初心者には優しい時代だった。
解禁になってからはスタンディングが当たり前で、前に大きな人が来ると、少しずれたり、つま先立ちしたり、60代の足腰にはそれなりの奮闘がある。「今日はちゃんとステージが見えるかな?」は、毎回のささやかな不安要素ではある。
でもね、それは「若くないから」の問題じゃなくて、背の順の問題。
小柄な20代だって同じ戦いをしてる。
それに、座って見られるファミリー席という選択肢もちゃんとある。
無理のない場所から始めればいい。
年齢制限、探したけど、どこにもなかった。
あるのは「行くか、行かないか」だけだった。
推し活に興味がない人には関係ない話。
でも、行きたいのに「もう若くないから」を理由に止まっている人がいるなら、気にしなくていいですよ。
あなたの申し込みボタンの向こう側には、ペンライトを貸してくれる優しいオタクさんがいて、親子で来ている50代がいて、風景に溶けている60代がいる。
私の席は、もう客席のどこかに用意されてる気がしてるのよね。
あなたの席もきっと、その隣あたりに。
今夜、気になるライブの申し込みページを開くだけ開いてみて。
押すかどうかは、明日の自分に決めさせればいい。案ずるより産むが易し!だよ。
