インタビューって緊張しません?緊張しいのライターが心掛けていること
「人の話を聴くのが好き」「それを言葉にして伝えたい」。
インタビュー中に、既出記事にはない情報が出てきたときには、心のなかでガッツポーズをするし、話し手と一緒に“言葉になっていないもの”を明らかにしていく感覚を味わえたときは、ライターをやっていてよかったと心から思う。
それでも、インタビューは緊張する。
ライターを始めたばかりの頃に比べれば、遥かにマシになったけれど、4年目になった今でも、インタビュー前にはそわそわするし、相手が著名な方だったり、難しいテーマだったりすると、「ちゃんと話を聞けるだろうか」と不安になる。
今日は、そんな緊張しいの私が、インタビューの前や最中に心掛けていることを書いてみたい。
その前に、ひとつだけ前置きを。「良いインタビューとは何か」を語り出せばキリがないし、私がそれを語るのも、とっても恐れ多い。
だから今回は、インタビュー術というよりも、私が少しでも落ち着いて相手の話を聴くために、どんな準備をし、どんな心持ちで臨んでいるのかをまとめさせていただく🙏
なぜ緊張するのかを考えてみる
そもそも、なぜインタビューになると緊張するのだろう。
私の場合、緊張の正体は「ちゃんとできるかわからない」という不安からきている気がする。
インタビューは、始まってみないと何が起こるかわからない。
どれだけ質問を用意しても、想定していた答えが返ってくるとは限らないし、思わぬ方向に話が進むこともある。相手が話すことに慣れているとも限らないし、逆に話が盛り上がりすぎて時間が足りなくなることもある。
予定調和でないことから生まれるおもしろさはあるけれど、「自分でコントロールできないことが多い環境」に負荷を感じる。
でも、待てよ。
これって、矢印が全部自分に向いていないだろうか。
「うまく質問できるだろうか」
「ちゃんと話を聞けるだろうか」
「時間内に必要なことを聞けるだろうか」
考えてみれば、どれも主語は「私」。けれど、インタビュイーにとってはぶっちゃけどうでもよい。そう考えるようになってから、自分に向いていた矢印が、少しずつ目の前の相手に向くようになった。
インタビュー中に緊張する人は、「この時間は誰のためのものか」を俯瞰的にみると良い気がする。
それでも緊張するから、事前準備をする
とはいえ、心持ちを変えただけで緊張がきれいになくなるわけではない。
だからもうひとつ、物理的にできることとして大切にしているのが「事前準備」だ。「インタビューは事前準備が9割」。インタビューに関する指南書を読めば、たいてい書いてあることだし、私自身もその通りだと思う。(気になる方は、「聞く技術」を読んでみてください!)
ただ、緊張しいさんにとって大切なのは、「事前準備が大切だからやる」だけではなく、準備したことが当日のインタビューにどんな良い影響をもたらすのかを、自分なりに理解しておくことだと思っている。
じゃあ事前準備をしておくと、何が変わるのか。「相手」と「自分」、2つの視点で考えてみる。
1.「私のことを知ってくれている」が、“良い空気”をつくってくれる
そもそも、見ず知らずの相手にいきなり深い話をしてほしいというのは、仕事であっても結構な暴挙な気がする。
専門性の高い仕事をしている方や、複雑なキャリアを歩んできた方ならなおさら、「この人はどこまで知っているんだろう」「どこまで噛み砕いて話せばいいんだろう」と、余計な気を遣わせてしまう。
だからこそ、事前に相手について調べ、「あなたについて、ここまでは理解しています」と伝わる状態をつくっておく。たとえば、
・「〇〇という経歴をお持ちですが、そのなかでも今のキャリアに大きく影響している経験はありますか?」
・「以前の記事で〇〇についてお話しされていたのを拝見しました。今回は、そこからもう少し踏み込んで△△について伺いたいです」
そんなふうに会話を始めれば、相手もこちらの理解度を探りながら話す必要がなくなる。それに、自分についてきちんと調べてきてくれたことを、不快に思う人はそう多くないはずだ。
「この人は、自分のことをある程度理解したうえで話を聴こうとしてくれている」。そう感じてもらえれば、初対面の相手との間にある壁も少し低くなるし、一歩踏み込んだ対話に入りやすくなる。
限られたインタビュー時間のなかで、その人にしか語れない話を聞くためにも、「安心して話せる空気」を相手に感じてもらうことは、意外と大切だと思う。
2.想定外の話にも、落ち着いて対応できる
もちろん、いくら事前に準備をしても、インタビューは想定通りに進むとは限らない。それに、想定していなかった方向に話が転がっていくほうが、おもしろい記事になりやすかったりもする。
けれど、経験が浅い&緊張しいのライターが、「インタビューは生ものだから、流れに任せればいい」などと考えていると、間違いなく事故が起こる。
だから、想定外を楽しむためにも、事前準備が必要なのだと思う。
相手の経歴や事業についてほとんど知らない状態でその場に座るのと、必要な情報を頭に入れ、自分なりの仮説を持って臨むのとでは、想定外の話が出てきたときの対応力がまったく違う。
思いがけない方向から話が飛んできたときも、「そういえば、この人は以前こんなことを話していたな」「この経験と、今の話はつながっているのかもしれない」と、自分のなかに引き出しがあれば、そのパスを拾ってもう一歩踏み込むことができる。
結果的に、想定外の話が出てきても必要以上に慌てず、相手との対話に集中できる。事前準備は、インタビューを予定通りに進めるための台本ではなく、予定通りに進まなくても大丈夫と思えるためのお守りなのかもしれない。
事前準備としてやっていること3つ
じゃあ具体的に何をしているのか。当たり前のことばかりだけれど、少しだけご紹介を。
1.2週間ほど前に概要を調べて、直前にもう一度チェックする
インタビューの日程が決まれば、2週間ほど前に、一度その人についてざっと調べる。過去のインタビュー記事やSNS、書籍があれば書籍にも目を通す。
一度その人について調べておくと、その後の2週間、日常生活のなかで関連する情報が不思議と目に入ってくるようになる。そのうえで、前日や当日にもう一度情報を見返し、頭に入れ直す。
2.覚えることが多すぎるときは、「時系列・転機・価値観」をメモする
インタビュー相手によっては、経歴が複雑だったり、世の中に出ている情報が膨大だったりする。全部頭に入れるのが難しい場合は、最低限押さえておきたい情報を絞る。
私がよく整理するのは、「時系列」「転機」「価値観」の3つ。
いつ、何をしていたのか。
どこで大きな変化があったのか。
その人が大切にしていそうな価値観は?
この3つが頭に入っているだけでも、相手の話を現在地と結びつけながら聞きやすくなる。
3.当日慌てないために、インタビュー環境を整える
そして最後は、とても地味だけれど大切なこと。当日、余計なことで焦らない環境をつくっておく。たとえば、
・オンラインインタビューなら、10分ほど前にはURLにアクセスする
・レコーダーや文字起こしアプリがきちんと起動しているかを確認する
・Wi-Fiに不安があれば、スマートフォンのテザリングなど、別の通信手段も用意しておく
自分で潰せる不安要素は、できるだけ事前に潰しておく。「ちゃんと話を聞く」ことだけに集中できる状態をつくっておくことが、いざという時に効いてくる。
結局、インタビューは「相手を理解したい」に尽きる
ここまで偉そうに書いてきたけれど、インタビューは結局のところ、「相手を理解したいと思うこと」「相手への好奇心」が原動力となるのかもしれない。
事前にその人について調べるのも、過去の発言を読むのも、質問を考えるのも、「この人はどんな人なんだろう」「何を大切にしているんだろう」と知るため。
だから、緊張したら、「あなたを知りたいんです!」という思いを全身全霊で伝えてみるのもありなのかなと。きっと、その熱量は、話し手に届くと思う。
そう自分に言い聞かせてみる。
