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正論は黙るしかなかった あの時わからなかった里子の気持ち① 

おもちゃを出したら片付ける。
ご飯は残さず食べる。
毎日お風呂に入る。
子どもは早く寝る。

どれも、間違ったことじゃない。

だから私も、
当たり前のように声をかけていました。

「お片付けしようね」
「ご飯ちゃんと食べた?」
「早くお風呂入るよ」
「寝る時間だよ」

最初の頃、里子は
「はーい」
そう返事をして、
ちゃんと動いていました。

でも、
だんだん返事が減っていきました。

声をかけても、黙ったまま。
聞こえているはずなのに、動かない。


そして私は、
少しずつ口調が強くなっていきました。

「さっきから言ってるよね?」

渋々動き出す子どもを見て、
正直、最初は思っていました。

イヤイヤするならやらなくていい、って。

でも、
そのときの固くて暗い表情が、
頭から離れませんでした。


あ、これ、
私のせいかもしれない。

そう気づいたのは、
しばらく経ってからでした。


言っていることは、間違っていない。
いわゆる"正論"だったと思います。

でも、正しいことだからこそ、
子どもは「嫌だ」と言えずに、
黙るしかなかったのかもしれません。

本当は、片付けたくない日もある。

疲れてお風呂に入りたくない日もある。

でも、それを言っても"ダメ"だとわかっている。

だから、
言葉を返さなくなる。


あの頃の私には、
わからなかったんです。

黙っていることが、
子どもなりの答えだったなんて。

今でも、
あの表情を思い出すことがあります。

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