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「私家版」 20世紀のオーストラリア・ラウンド記(その82)

4月22日 Wednesday Townsville (Yabulu)の続き
 タウンズビルの車を駐車した場所へ向かって歩いていたら、レコードショップがあったので入ってみる。新譜のカセットテープが$13.99であれば買ってもいい、と思ってそれとなく見ていたら、店員の兄ちゃんが、やけに親しく声をかけてきた。

なぜか親切だったレコードショップ店員の兄ちゃん

観光案内パンフに載っていたタウンズビルの市内図。
手書きながら分かりやすかったので重宝した

 一度、「Just Looking」と断ったにもかかわらず、だ。それなら聞いてやろう、とシドニーで見て気に入ったオージー映画「Malcom」のサウンドトラックはないか、と尋ねた。

 すると、わざわざカウンターから出てきて、陳列された在庫を自分で探し始めた。「あったハズだがなぁ」と言いながらね。5分ほど探してくれたが、結局見つからない。

 発売されてるのか、と聞くと、そのハズだ、と言う。続けて、「モールの向こう側に大きい店があるから、そこへ行くといい」と言う。
 我々の恰好を見てだろう、彼が聞く。「旅して回っていて、どこが良かったか」。「そりゃあ、ノーザンテリトリーが良かったね」と答え、礼を言って店を出た。妙な兄ちゃん。

 車へ戻ってキャラバンパークへ向かうべく、走り出す。その前に、街を見下ろせるルックアウト(見晴らし台?)が近くにあるというので、寄ってみることにした。
 向かった先は、モールからも見えた巨大な山。異様な姿で驚いたのは、まるでハリボテというか絵に描いたように見えたから。

「ブレーキランプが点いてないわよ!」と怒鳴られる

 山へ向かって街中を走っていたら、信号で止まった時に、後についていた車が、いきなり我々の右横へ来て運転席からオバちゃんが何か言った。聞き直すと、どうやら、愛車のブレーキランプが点かないらしい。

「ブレーキランプがつかないわよ!」とオバちゃんに
怒鳴られた愛車のキングスウッド。ランプが切れていたらしい

 怒りつつ、大声で教えてくれたことに礼を言ったが、ホントかいなと思ったのも確か。オバさんは、逆光か反射があったかで点灯しているのが見えなかったんじゃない? と、この場は楽観視して山を登っていった。

 眼前の山、ということは急斜面なわけで、愛車のキングスウッドはエンジン音を大きく響かせながら登っていった。コバさんのハンドルさばきのせいか、道のくねりのせいか、気分が悪くなりかけた時、頂上へ到着。

 車を降りて眺めたのは、「絶景かな、絶景かな!」というほどの景色。四方八方というのは大ゲサながら、ほぼ全方向を見渡せる。雲が少しあるものの、白い家並みが遠くに続く景色や、家々の間を縫うように通る道もハッキリ見えている。

Townsvilleの街が見下ろせる丘、絶景かな‼ 絶景かな‼

タウンズビルのパノラマルックアウトから見た眺め。
天気もよかったので、遠近ともはっきり見える絶景に感心した

 そんな道を移動している車もとらえられ、久々に見る良い眺めだった。街並みや橋はもとより、海、島、半島を含む地勢のすべてが、この高みから見渡せた。絶好の景勝地と言えよう。

 この丘(パノラマ・ルックアウトと後で分かった)からの展望はおススメだね。頂上から見る足もとと、そこへ続く斜面は岩で構成され、そこがまた愉快だった。オーストラリアならでは、というか「らしい」眺めだった。

 見学後、来た道を戻って、ケアンズ寄りのキャラバンパークへ行くべく、ブルース・ハイウェイを北上する。その前にブレーキランプの点灯を確かめてみる。なるほど確かに点かない。

 参った弱った、こんなんじゃ、あぶなっかしくて走れない。日も暗くなってきた。とにかく市内から25㎞ほど北のキャラバンパークまでブルース・ハイウェイを走って向かう。

 市の中心から7㎞ほど走ったら、ガイドブックに載っていない、キャラバンパークを見つけた。ここでもいいじゃん、と止まって尋ねる。すると、テントサイトはないとの回答。ギャフンってなもんで、引き続きブルース・ハイウェイを進むことにした。

Townsville(Yabulu)のキャラバンパーク目指して走る

 ハイウェイを25㎞走ってきたが、それらしきキャラバンパークはない。ガイドには「Yabulu」とカッコ書きしてある。路上の看板に矢印と、その地名を見つけ、ここだろうと見当をつけて走っていったが、行き止まり。

タウンズビルの北にあるサバーブ、Yabuluにある
キャラバンパークのチラシ。ここを目指して走った

 変だな、とUターンして戻って、スタンドで聞いたら、あと8㎞ほど北になる、という返事。親指を立ててみせる兄ちゃんに礼を言い、さらに北を目指した。

 8㎞も走らずに、おそらく3㎞ほどの距離で、目指すキャラバンパークを発見! ドでかいキャラバンパークで、行き過ぎてから反対方向から見える看板を見て確信し、Uターン、ブレーキランプの不具合を考えつつ敷地内へ入り、オフィスへ向かう。

 オフィス内には中学生ぐらいのネエちゃんが店番のように構えて応対してくれたが、すぐに奥へ引っ込み、オバちゃんに代わる。テントサイト利用で$5を払ってたら、2人の娘が入って来た。

キャラバンパークで乗馬体験ができる?

 娘の一人が「Hello」と声をかけてきたので、ボクは「Hi!」と答えて、入れ違いにオフィスを出て、車に乗り込んだ。彼女らを見ていたら、オフィスを出て、柵の方へ歩いて行く。

 柵の中には小さめの裸馬がいて、それに乗ろうとしている様子。鞍をつけたのかどうか見えなかったが、移動する車中から、しっかり乗りこなしているのが見えた。たいしたもんさ。

Yabuluという街にあって、泊まったキャラバンパークのチラシ。
かなり大きな敷地があって、キャビンのほかにもテントサイトがあった

 テントサイトで車を止める。テントを張り、エアマットを膨らませ、メシの用意ってとこで小雨がパラつきだした。テントサイトにはボクらを含めて3組しか滞在していない。

 我々以外は親子連れの家族で、そのうちの一組は定宿らしかった。ボクらを見て陽気に話しかけてきた。ダンナは「Max」、奥さんは「Margaret」と紹介された。もちろんボクも名前を告げ、コバさんも名を言ってた。

 彼らには小さな子供が2人いて、ひとりは赤ん坊で奥さんが抱いてた。もうひとりは2歳くらいか。Maxが言うには「ビールはあるかい?」「ああ、1カートン近くあるよ」「そうか、この辺りに酒屋はないらしいんでね」とアルコール好きな若い感じのMaxは照れるように、しゃべってた。

隣のテントから2歳の男の子が来襲、跳ねまわる

 会話を終え、テント内でメシの支度をしていると、Maxの2歳ぐらいの息子が中へ入って来た。膨らませたエアマットの上を跳ねまわり出した。テントが傾いて倒れそうなほどだ。そう言うと、「Wa?」と聞き返した。

 どうやら、これが彼の「Perdon?」つまり「何?」なのだ。名を聞くと「Frank」とこたえた。トシは2歳。やんちゃそうで、大いに暴れ回り閉口したよ。

 コバさんは気にいったらしく、「Wa?」を連発する彼に、持っていた電子ミニミニピアノを上げてた。彼は我々が何か尋ねると、決まって「Wa?」と言うんだよね、あどけない口ぶりでさ。

 オヤジであるMaxの口ぐせのマネなんだろうな。Frankは、すっかりこのテント内が気に入っちまったようで、父親が呼ぶまでテントを去らなかった。

タウンズビルの内陸側にあった小高いルックアウトから。海岸沿いを
見下ろせる景色を背にしたボク。下痢のせいか表情にも元気がない

 感心したのは、家父長制度というか、親父絶対、みたいな雰囲気があって、子供たちは父親が呼ぶと何があろうと、呼ばれた父の元へ戻っていくんだよね。そうしたシキタリが、ちゃんと残っているようだったな。

下痢バラで、スンナリ眠れず、図らずも夜更かし

 Frankがいなくなってからコバさんと夕食を食べた。下痢バラで腹が張って少し苦しかったが流し込んで、食器を洗う。テントへ戻り、エアマットに横になる。しかし、ケツが気になってスンナリ眠れない。

 のこのこ起きだして、トイレへ行けばいいのだが、同じサイトの2組の家族にもう1組加わって、外で話し込んでいる。ボクは顔を合わせるのが面倒なんで、テントにとどまっていた。

 22:00を過ぎて家族らの井戸端会議はお開き、会話は聞こえなくなった。いまだ眠れないボクは、22:30ごろまで待ってトイレへ駆け込んだよ。戻ったら、スゥーっと眠れてよかったわい。食後の19:00ごろから降り出した雨は、夜も降り続き、翌朝まで降っていた。

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