廃業した蔵と消えた銘柄─日本酒「寿老」を復刻へ
酒の七福神をネットで探し、
七福神にゆかりのある酒蔵を巡っていく中で、
どうしても一つだけ見つからない銘柄がありました。
——寿老。
他の七福神にちなんだお酒は、全国各地で見つかる。
それなのに、寿老様の銘柄だけが、いくら探しても出てこない。
「やっぱり、ないのかぁ」
そう思いながら調べ続けるうちに、
寿老がかつて実在していた日本酒であることを示す、いくつかの痕跡に辿り着きました。
コトバンクには、寿老について次のように記されています。
兵庫の日本酒。
平成5年度全国新酒鑑評会で金賞受賞。
蔵元の「鍬田」は万延元年(1860)創業。現在は廃業。
蔵は姫路市飾西にあった。
https://kotobank.jp/word/%E5%AF%BF%E8%80%81-529590
寿老は造られていた。
さらに検索ワードを変えながら調べていくと、
寿老のラベル写真が掲載されたサイトにも行き着きました。
https://www.kankido.co.jp/showa/hyogo/hyogo11.htm
そこには、確かに「寿老」という名のお酒が存在していた証が残っていました。
「ない」のではなく、
「失われてしまった」 の銘柄なんだ。
もし寿老が存在しないままであれば、
酒の七福神は揃わない。
——それなら、自分で造るしかないのではないか。
——復刻させる?
そんな思いが頭を離れず、
答えの出ないまま、約一年ほど悶々と考え続けていました。
そして 2025年3月、出雲大社を訪れました。
いつかは行こうと思っていた場所。
けれど、行けるタイミングでなければ行けない場所でもある——
そんな不思議な引力を持つ地です。
出雲は、須佐之男命(スサノオ)が
八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治するために
八塩折の酒を醸したという神話に象徴されるように、
「お酒発祥の地」とも言われています。
お酒発祥の地。
そして、八百万の神々が集う国・出雲。
これから本格的にお酒造りに関わっていく決意として、私は出雲を訪れたんだと思います。
