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「鼻炎と私、そして時々オーストラリア」

鼻が詰まると、人生もうまくいかない気がする。

物心ついたときから、私は“鼻”と闘ってきた。

一番古い記憶は、3歳の頃のプール帰り。楽しかったレッスンの翌日に中耳炎で緊急手術。そこから慢性副鼻腔炎のキャリアがスタートし、気づけば人生の半分以上を「鼻水」とともに生きている。

幼い頃に通っていた地元の耳鼻科は、毎回ごった返していて、名前を書いたら母とスーパーで時間を買い物してから戻る、というのが定番ルーティン。週1の通院ペース。もはや第二の家だった。

診てくれる先生は、昭和感あふれるワンマンタイプのおじさん。診察を30-40分くらいすると、5分ほどタバコを吸いに行くようなスタイルで、子どもの私は正直ちょっと怖かった。薬も苦くて大きくて、飲みたくなかったし、飲まないから当然、治るわけもなく。

そうして私はイビキをかく小学生になり、顔立ちも「アデノイド顔貌」と呼ばれる下膨れ系に……。これはもう一生、この鼻と付き合っていくしかないんだと思っていた。

でも、人生には意外な転機がある。

――オーストラリアに着いた途端、鼻の症状がピタリと止まったのだ。

あれ?治った? 空気がいいのか、アレルゲンが少ないのか、何にせよ、鼻が通るって最高じゃないか!

…そう、猫を飼うまでは。


鼻水の再来と、猫の誘惑

子猫時代、可愛いです♥️

英語力ゼロのままオーストラリアに渡り、IELTSやら永住権申請やら、夫婦で乗り越えた精神的修行時代。ある日、夫が通っていた英語の先生の家に、猫がいた。

もともと私は動物好き。でも旅行しにくくなるし、お金もかかるし……と「飼う側」になるのは避けていた。でも当時、学生ビザで友達もおらず、寂しそうだった私を見て、夫も“魔が差した”らしい。

そして保護猫との暮らしがスタート。最初は何の問題もなかった。

……けれど、猫が成長するにつれ、私の鼻もムズムズし始めた。

ああ、これは……まさか。

はい、猫アレルギーでした。 オーストラリアの空気に勝った猫の毛。

現在は、鼻洗浄と点鼻薬、時々抗アレルギー薬を服用することで、なんとか「猫と共存」できています。 愛とは、鼻水を超えるものなのだ(多分)。


妊娠中が一番つらかった

副鼻腔炎が最大の力を発揮してきたのが、妊娠中。

薬はほとんど飲めない。かといって鼻水は止まらない。鼻詰まりなのに鼻水は出るという、どう考えてもバグってる状態で夜も眠れず、頭痛がひどく、あの頃は“命がけで呼吸していた”記憶しかない。

出産後も左鼻だけがずっと詰まっていて、ようやくGP(かかりつけ医)に紹介してもらい、2年越しに耳鼻科の専門医の予約が取れた。

そう、ここはオーストラリア。 待ち時間もスケールがデカい。


2年待って「綺麗だから手術いらないです」って言われた日

期待していた耳鼻科の診察。

鼻の中にカメラを入れてもらい、「左側が狭いから切開して鼻腔を広げましょう」と言われ、ほっとする私。ようやく、あの詰まりとさよならできる日が来るかもしれない。

と思ったら、CTスキャン後、電話診察に切り替わり(コロナ時代真っ最中だった為)、別の医師に、

「うーん、キレイですね。手術は不要です」

とアッサリ却下。

2年も待ったのにーー!

きっと前回の医師から、引き継ぎがちゃんとされてないんだと思い(公立病院なので、担当の先生は選べないし、日ごとに先生も変わります)、1から10まで全部説明したけど、

「貴方の鼻は正常です。今後も鼻洗浄と点鼻薬を頑張ってくださいね☆」

というエールをいただき、電話を切った私はもう、笑うしかなかった。

オーストラリアあるある。期待してはいけない。 とはいえ、これが無料で受けられるのだから文句も言えないのが現実。


今日も私は、口にテープを貼って寝ています

鼻洗浄して、点鼻薬をさして、寝る前に口にテープを貼る。

そんな日々を送りながら、ふと考える。

「鼻がスッと通るだけで、人生って変わるよね」って。

オーストラリアの医療制度、猫との生活、妊娠と育児――。 全部が鼻炎とリンクしていて、もはや私の人生の登場人物のひとつが「鼻」なのでは?と思ってしまう。

日本に長期帰国できたら、鼻の粘膜を焼きに行きたい。 そんな願いを胸に、今日も片鼻詰まりで眠りにつく。


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