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眞木準のコピーでさ、ちょっと一杯やろうじゃないか。

ライター・編集者をはじめて、気づけば8年目に入りました。私はこの8年でいったい何本の記事を書いたのだろう。と少しおセンチな気持ちになってみたり、いったい何本のコピーをつけたのだろう、と少し遡ってみたときに、眞木準の顔がチラついた。

コピーの事を考えるとき、私は糸井重里でも仲畑貴志でもなく、眞木準が浮かぶ。今回は大大ファンの眞木準のコピーをずらっと並べてみようかな、って思う。

ライターみんなが眞木準になりたいのさ。

ライター1年目などは背伸びして眞木準みたいなコピーを書いてたよ。案の定、クライアントにものすごく"それっぽい"コピーに書き換えられて「つまんないです!」って言ったこともあります。

大卒直後はもう精神的モヒカンだったよね。髑髏のネックレスかつ全身に鋲とかつけてカワサキのバイクに跨ってたよね。精神的には。でも自分でもびっくりするくらい打たれ弱かった。

これって、クリエイティブやってれば誰もが通る道だと思うんだ。誰もが背伸びして、才能がないことを知って、ちゃんと等身大で書くようになる。すると、意外にもすっきりした言葉が書けたり、デザインができたりするわけだ。そこでようやく、マイナスがゼロに戻るわけだね。

私の場合、憧れは眞木準でした。あのとてつもなくおしゃれなコピーを一度は書いてみたい、と常に思っていた、というか今でもまだ思っている。

眞木さんのコピーは「洒落」「恋愛」「覇道」の3種類

眞木さんは3つの顔を持つと言われている。1つは「洒落」、2つ目は「恋愛」、3つ目は「真っ当」。

まず「洒落」。眞木さんといえばダジャレが代名詞だが、眞木準自身は「駄洒落じゃなくお洒落だ」といっている(この言葉すらもコピーのようだ)。

また伊勢丹のコピーなど恋愛の複雑でかわいい感情を1行で表すのに長けている。と、思いきやものすごく真っ当なコピーを書くこともある。つまり「なりきり力」が高いのですね。

そんな眞木さんの作品で、特に好きなのを見てみよう。画像が転がってたやつは、デザインも一緒に貼っています。

恋が着せ、愛が脱がせる。

伊勢丹のコピーです。このコピーから眞木準さんにハマりましたね。おしゃれすぎるでしょう。

好きな人に会うときって、私はいつも服を新しく買ったり、前日に髪を切りにいったりするんです。ワクワクなんですよね。

私自身そんな経験はもう長年ないんだけど(急な陰鬱)、きっと相思相愛のときって、デートの日の夜は愛に身を任せるのでしょう。それがきっと洋服を買うことのゴールなんですよね。特に女性は男性の手で服を脱がしてもらう時間のために、何日も前からおしゃれをするんですね。

そんな幸福を12文字で、しかもこれ以上ないくらいお洒落に書かれる。これはすごいことですよ。

でっかいどお。北海道

眞木さんが長く手がけていた全日本空輸のコピー。もはや、流行語ですな。全日本空輸の眞木さんのコピーはユーモラスでクスッとくる。

ちなみに沖縄編のコピーは「おぉ きぃ なぁ ワッ。」。いやマジで勇気あるよなあ。この余白は半角じゃダメなんだよねきっと。全角1文字だけが正解なんだと思う。

カンビールの空カンと破れた恋は、お近くの屑かごへ。

サントリーの広告コピー。恋の顔ですね。眞木準さんの3つの顔で恋愛の顔が大好きです。個人的にはコピーはビジュアライズできるもの、1行で前後の時間までを思い描けるものが正解なんだろうと思っています。

このコピーなんかその通りですよね。失恋した女性(何故か眞木さんのコピーはいつも女性を想起する)が仕事の帰り道にサントリーのビールを買って、少し赤い顔で、カラン、と屑かごに缶を捨てる。フレーズ自体はネガティブなのに、なんだかとってもポジティブなんですよね。

ハッピーエンド始まる。

伊勢丹ですよ。これは比較的真っ当なタイプで、コピーの技術論としても有名な言葉を逆転させる手法です。しかし嫌味がないのは「終わりが始まる」でなくハッピーエンド、としているからでしょうな。

無敵感がすごいよね。今の優勝したい若い子にウケそうな気がします。今まさに始まる段階なのに、もうハッピーエンドが決まってる。大好きな友だちと遊ぶ日の靴を履くときに、いつも頭に思い浮かぶ言葉の1つ。

恋を何年、休んでますか。

伊勢丹のコピーです。かっこよすぎて、その後テレビドラマのタイトルに採用されたほどのコピー。電通のCD・澤本嘉光さんは「10代の憧れ、20代の共感、40代のドキっ、と年代によって印象が変わる。強いし恐ろしいコピー」と言っています。

確かになあ〜と思いました。今の結婚観だとそうでもないけれど、きっと昭和であれば少し怖いコピーですね。デザインの悲壮感がえげつない。ACの広告みたいなんですが。

四十才は二度目のハタチ。

一転、こんなに甲斐性のあるコピーもかけてしまうのが、眞木さんの凄さです。飴と鞭みたいなね。ポジティブですよね。

つい「もう一度、若い格好でもしようかな」なんて思ってしまう。そんな軽やかになれるコピーだと思います。いうまでもなく伊勢丹のコピーです。

相手しか見えないものを恋と呼び、まわりが全部見えるのを愛と呼ぶ

ホンダ S-MXのコピーです。この車、おもしろくて、運転席と助手席が超近いんです。そしてシートを倒せば枕元にティッシュボックスという、いわゆるカーセックスにもってこいの仕様にしてたんですね。デートカーといわれていたんです。

そこで眞木準さんが「恋愛仕様。」というシリーズでいくつか書いていました。特にこのコピーはパノラマサイドウィンドウの宣伝文句で、会社で徹夜しながら「うっめぇーわー!!」って叫んだのを覚えていますね。片想いから両思いに。恋人から夫婦に。という未来まで予感させるコピーですよね。

人の半分は後ろ姿です。

これもうまいですよね。デザインなかった〜。伊勢丹の洋服のコピーです。

確かに私らは鏡しか見ないんですけど、後ろ姿も半分はを占めているわけですな。当たり前だけどハッとする。「人生の3分の1はベッドの上」と自覚したときの衝撃に似ている。良いマットレスを買いましたもん。

おしゃれを繕うのではなく、心からおしゃれであれ

眞木準は本当に私生活もおしゃれな方だったという。非常に素敵な方で、いつも優しく、周りのことを考えているような方だったそうだ。

だからおしゃれなコピーが嫌じゃない。心からの言葉だから嘘がないのだろう。言葉がするするっと入ってくる。いやしかし、お洒落な人に憧れている私はまだまだお洒落になれないなぁ。

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