【 心には、順番をつけられない 】──介護現場が抱える優先順位の葛藤──【 認知症 / 介護 / 家族 / エッセイ / 4コマ漫画 / AIイラスト / 画像生成AI / 創作日記 】
介護の現場では、限られた時間の中で、何を先にするかを選び続けています。
どれも大切だからこそ、正しい答えが見つからないことがあります。
これは、そんな「優先順位」の中に残る、ひとつの問いです。

🕰️「話を聞く」は、何番目ですか?
新人職員が、ベテラン職員に尋ねます。
「何からやればいいですか?」
ベテランは、迷わず答えます。
「転倒しそうな人。薬。トイレ。食事。」
どれも、待つことが難しいものです。
転倒は大きなけがにつながるかもしれない。薬には決められた時間がある。トイレを長く我慢してもらうことはできない。食事にも、時間や体調への配慮が必要です。
介護現場では、限られた人数と時間の中で、職員が何度も優先順位を判断しています。
その判断は、利用者の命と安全、そして生活を守るために欠かせません。
どれも後回しにはできない
そんな二人に、車椅子の利用者が声を掛けます。
「話、聞いて。」
手には、古い写真があります。
昔の家族の話かもしれません。大切な人の思い出かもしれません。あるいは、ただ誰かと少し話したかっただけなのかもしれません。
そこで新人職員は尋ねます。
「話を聞くのは何番目ですか?」
ベテラン職員は、答えることができません。
話を聞くことが大切ではないからではありません。
むしろ、その大切さをよく知っているからこそ、簡単には答えられないのです。
「正しい判断」の中に残るもの
転倒を防ぐ。
薬を間違えずに届ける。
トイレに間に合うように介助する。
安全に食事をしてもらう。
これらを優先することは、決して間違いではありません。
だからといって、利用者の話を後回しにすることを、何とも思っていないわけでもありません。
正しい判断をしている。
それでも、心には何かが残る。
それが、介護現場にあるリアルの一つだと思います。
「もっと話を聞きたかった」
「もう少しゆっくり関わりたかった」
「今日は業務を終えたけれど、十分に介護ができたのだろうか」
そんな思いを抱えながら働いている職員は、少なくありません。
誰かを責めても解決しない
この場面には、悪い人がいません。
利用者は、無理なお願いをしたわけではありません。
新人職員も、現場を理解しようとしています。
ベテラン職員も、利用者を大切に思いながら必要な仕事をしています。
それでも、すべての希望に同時に応えることはできません。
だから、このマンガで描きたかったのは、職員の反省や罪悪感ではなく、**「誰も悪くない。でも、もどかしい」**という現実です。
職員一人の努力だけでは埋められないことがあります。
時間、人員、業務の仕組み、職場全体の連携。そうした環境も含めて考えなければ、「話を聞く時間」はいつまでも後ろへ押し出されてしまいます。
🌱 沈黙の中にある問い
ベテラン職員の「……」は、答えを知らない沈黙ではありません。
答えを知っているのに、現実ではその通りにできない。
そんな沈黙です。
介護は、身体を支える仕事であると同時に、その人の人生や心に関わる仕事でもあります。
命を守ること。
暮らしを支えること。
話を聞くこと。
本当は、どれか一つだけを選ぶ仕事ではありません。
だからこそ、私たちは問い続ける必要があります。
「話を聞くことを、何番目にもできない現場にするには、何が必要なのか。」
このマンガが、誰かを責めるためではなく、介護の時間の使い方を考える小さなきっかけになればと思います。
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