入門電子回路工作 5 AC/DC
交流/直流というと、米国の旧WECとGEの送電方式をめぐる電流戦争を思い浮かべる人も多いと思います。動力発電機しかなかった当時に比べ自然エネルギーによる発電が増えた現在では、双方の長所短所を補間するハイブリッド送電システムが増えるように思います。
今回は送電の話ではなく、「信号処理分野での直流とは?」について説明します。B2の偏見もありますがご容赦ください。
ちなみに自然エネルギー発電(オングリッド)の抱える問題について、以下の記事で説明しています。興味のある方は参考にしてください。
直流と交流を区別する必要があるの?
「交流と直流が同じ? 小学校の理科から学び直しなさい!」みたいに言われるかもしれません。
でも例えば、
1秒間に50回変動する交流50[Hz]に対して、100000秒間に1回(約半日周期)で変動する交流0.00001[Hz]は、10秒間の観察時間で見たら限りなく直流に近くなります。 はたして永遠の直流は存在するのでしょうか?
これは 「人間が勝手に有限観察時間中に現象を閉じ込めて、低周波
成分を直流に近似したほうが便利だからしている所業です。」
無限時間 vs 有限時間
B2の推測ですが、電子計算機のない時代(戦艦大和やゼロ戦の時代)は連続関数公式や関数表をもとに手計算で物理モデルを説いていたようです。大学初等数学で古臭いε-δ論法など学習すると思いますが…
これに対して電子計算機のある時代は関数公式に頼らずデジタル(デルタ関数系列)でダイレクトに計算できるようになりました。
ところがここに落とし穴があり、デジタルの世界では「有限時間で離散サンプリング」のため、アーティファクトや誤差が発生します。観察する物理現象に対してサンプリングが充分であれば…が前提です。 難しくなるので、
後日、学術研究出版「信号処理入門」2026.01出版予定で説明します。
フーリエ変換が成り立つ条件
フーリエ**の概念のおさらいを言葉で説明します。
数学アレルギーの人でも決して難しいものではないと思います。
フーリエ**のおさらい
フーリエ級数:
周波数の異なる正弦波の合成(線形結合)で任意信号波形が近似できます。
フーリエ積分:
周波数成分の重み(係数)を求めるには同じ周波数成分を乗算積分します。
フーリエ変換:
時間領域波形を周波数スペクトラムに変換します。
数学屋さんはフーリエ変換などを厳密に定義し安心して使える道具として提供してくれます。下の式はフーリエ級数と、係数列を求めるフーリエ積分(係数列全部1~Nを求めるのがフーリエ変換と理解してください。)です。

cos/sinで表現したスペクトラムの大きさを表す係数列がan/bnに相当します。
面倒くさいのですが、数学屋の連続域でフーリエ変換成立条件です。
連続領域信号X(t)がフーリエ級数展開できる前提は、X(t)信号振幅が発散しないことと、X(t)をフーリエ変換した信号パワーが発散しないことが大前提になります。下図にフーリエ級数展開できない入力信号例を示します。

(a)はa0(DC成分)が発散しています。(b)は信号振幅が時間とともに増大し発散しています。(c)は、(a)と(b)の両方が同時に発生しています。
このように連続領域・無限時間の制約条件は数学屋の求めるものですが、
フーリエ積分区間を有限期間にすればフーリエ変換は可能です。さらに、
「有限時間であれば波形平均値を、信号のDC成分(係数a0)
として扱うことができます。」
フーリエ変換とラプラス変換
話が脱線しましたが、直流と交流を区別する基準はあるのでしょうか?
絶対基準はありませんが、観察時間自体を仮基準にすることができます。
仮基準(相対基準)
B2は時間や周波数には絶対基準がないと考えています。「時間の場合観察時間窓幅を基準とし、フィルタではカットオフ周波数を基準とします。」
カラクリ探偵団で、計測値のほとんどが相対基準(仮基準)をもとにしているという話をしました。思い出してください。
この考え方を直流にあてはめてみると、観測時間内の平均値を直流(DCオフセット)として扱って問題ないように思います。下図はB2が波乗りをしているところです。月の引力で潮位(水深)が緩やかに変動しますが、1時間程度の波乗り時間では打ち寄せる波に乗るほうが現実的です。

「どこまでが直流でどこまでが交流か?」という話で脱線しましたが、フーリエ変換よりも複素回転子に実数成分を含むラプラス変換というものがあり… 難しくなるので説明を止めます。下図を見てください。
B2の推測ですが、フーリエ変換はラプラス変換演算子「s=δ+iω」から「δ」を除いたものと捉えることができます。国内の信号処理教科書には「s演算子」についてもδを省いたものが多く、δをexp()の外に出すとa0(DC成分)あるいは初期位相となるため、「s=jω」としても交流の周波数領域変換に影響がないため除いたものと考えられます。(なんだ同じじゃないか?)
余談ですが、小中高生向け学術研究出版「入門電子回路工作」でs領域ラプラス変換微分演算子を使ったL成分C成分の代数演算のカラクリの理解に、この考え方は少し役立つかもしれません。
「国内の信号処理分野の学者は、直流成分を交流成分と区別なく
扱っているようです。」
下図にフーリエ変換とラプラス変換と、それらの主な用途を示します。ラプラス変換のexp(-st)は回転子そのものであり、変換の目的(用途)から見ると、フーリエ変換は周波数特性、ラプラス変換はs領域伝達関数(アナログ回路の周波数応答)用途と考えられます。

表紙の画像は一部Google Geminiで作成しました。
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