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【人を支えるということ】 #06 子どもも守りたい、職員も守りたい

『支援は、誰か一人の犠牲の上に成り立ってはいけない。』


その日、一人の職員が静かに職員室へ戻ってきました。

腕には赤い引っかき傷がありました。
服も少し乱れていて、
表情には疲れがにじんでいました。

「大丈夫か?」

そう声を掛けると、
その職員は少し笑いながら言いました。

「大丈夫です。」

私はその言葉を聞くたびに思います。

本当は大丈夫ではない人ほど、
「大丈夫」と言ってしまうことがあるのだと。


児童心理治療施設で働いていると、
暴言を受ける日があります。

叩かれる日もあります。

物を投げられることもあります。

一生懸命考えた支援を拒まれることもあります。

それでも翌日になると、
その職員は子どもの前へ立ちます。

昨日と変わらない笑顔で、

「おはよう。」

と声を掛けています。

私は、その姿を何度も見てきました。

そして、そのたびに思います。

この仕事は、本当に簡単な仕事ではない、と。


子どもたちは、
好きで暴れているわけではありません。
好きで暴言を吐いているわけでもありません。

その背景には、虐待やトラウマ、
安心できなかった毎日があります。

だから私は、子どもの行動だけを見て責めたいとは思いません。

「この子は今、何から自分を守ろうとしているのだろう。」

その視点を持ち続けることが、私たちの支援の出発点だと思っています。

でも、その背景を理解することと、職員が傷つき続けることは違います。

支援者も人です。
怖いものは怖い。
痛いものは痛い。
悔しい日もあります。
心が折れそうになる日もあります。

それでも、

「支援だから仕方ない。」

そんな一言で終わらせてはいけないと思っています。


私は施設長になってから、以前より強く思うようになりました。

子どもを守りたい。

それと同じくらい、

一緒に働く職員も守りたい。

どちらか一方ではありません。

安心して暮らせる子どものそばには、
安心して関われる大人が必要です。

大人が疲れ切ってしまえば、
子どもはその空気を敏感に感じ取ります。

だから、職員を守ることは、決して子どもを後回しにすることではありません。

むしろ、
子どもを守るために必要な支援なのです。

私は、職員に「もっと頑張って」とは言いたくありません。

もう十分頑張っています。

子どものために悩み、迷い、時には自分を責めながらも、毎日子どもの前に立ち続けています。

その積み重ねがあるからこそ、子どもは少しずつ人を信じられるようになります。

「今日も一緒に遊ぼう。」
「施設長、おはよう。」

そんな何気ない一言の裏側には、職員が積み重ねてきた何百回もの関わりがあります。

目立たないけれど、子どもの未来をつくっている仕事です。

私は、その姿を心から誇りに思っています。


『施設長の整理ノート』

◯ 私が大切にしている考え方

- 職員を守ることは、子どもを守ること。-

支援は、誰か一人の我慢や犠牲の上に成り立つものではありません。子どもの安心も、職員の安心も、どちらも大切です。
そのどちらかを選ぶのではなく、両方を守る方法を考え続けること。それが、施設長として私が一番大切にしたいことです。


◯ 明日からできること

もし今日、

「怖かった。」
「苦しかった。」

そんな出来事があったなら、
一人で抱え込まないでください。
仲間に話してください。
上司に相談してください。

そして、隣で働く職員にも、
「今日もお疲れさま。」
その一言を伝えてみてください。
子どもの安心は、
支え合える大人たちの存在から生まれます。

だから、仲間を大切にすることも、
子どもへの支援の一つなのだと思います。

子どもを守りたい。
職員も守りたい。

その二つの願いは、決して反対ではありません。
同じ方向を向いています。

安心して暮らせる子どものそばには、安心して寄り添える大人がいる。

そんな場所をつくるために、私はこれからも、子どもと職員、その両方を大切にしていきたいと思います🌱



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けいさん【児童心理治療施設の施設長】 子どもが変わるとき、先に変わるのは関わりです。もしこの記事に価値を感じていただけたら、その応援がまた次の支援につながっていきます!応援していただけると嬉しいです☺️