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高齢労働者の転倒災害が急増

人事担当者がいま考えたい「体力の見える化」

 職場での転倒事故が増え続けています。厚生労働省の第14次労働災害防止計画によると、労働者の作業行動に起因する転倒等の労働災害は全体の約37%を占め、死傷者数は増加傾向が続いています。なかでも深刻なのが高齢労働者の状況です。60代以上の女性の転倒災害発生率は、20代と比べて約15倍にのぼります。

いま転倒対策が求められる背景

 背景にあるのは急速な労働力の高齢化です。60歳以上の労働者は現在、雇用者全体の18.4%を占めていますが、休業4日以上の死傷者に占める割合は28.7%と、労働者比率を大きく上回っています。加齢に伴う筋力・バランス能力・骨密度の低下が、転倒リスクを複合的に高めるためです。
 転倒災害の平均休業見込日数は47日。特に50歳以上の女性では骨盤や手首などの骨折につながりやすく、回復に時間を要する傾向があります。一件の転倒事故が、数か月にわたる戦力の喪失と安全衛生コストの増大をもたらす点は、人事担当者として留意しておきたいところです。

転倒災害発生率(年齢・性別別 千人率)

出典:厚生労働省「第14次労働災害防止計画」掲載データをもとに作成

新しい国の指針が示す方向性

 令和8年2月に公示された「高年齢者の労働災害防止のための指針」では、事業者が高年齢労働者の体力状況を客観的に把握し、その結果に基づいた就業上の対応と身体機能維持の取り組みを行うことが求められています。
近年の研究では、ラジオ体操のような比較的軽負荷の運動でも、継続することで歩行能力の維持や友人関係のソーシャルサポート量の増加に一定の効果があることが示されています(植田ら、2024)。しかし、一律の運動施策を全従業員に課すだけでは十分とはいえません。重要なのは「誰に」「どの程度のリスクがあるか」を事前に把握し、支援が必要な人に適切な施策を届けることです。

厚生労働省「第14次労働災害防止計画」掲載データをもとに作成

人事担当者に求められる「リスクの見える化」

第14次労働災害防止計画でも、転倒等リスクチェックの実施と、その結果を踏まえた運動プログラムの導入が事業者に求められています。これは安全対策の枠を超え、健康経営の中核施策として位置づけられています。安全に働き続けられる職場づくりは「コスト」ではなく「人的投資」であり、人材確保や定着率の向上にも直結します。
ALPHA for Bizは、従業員一人ひとりの体力を科学的に評価・解析し、転倒リスクの高い方を早期に特定します。そのうえで個別の身体特性に応じた具体的な施策を提案することで、人事担当者が限られたリソースで効果的な介入を実現できます。「どの部署の誰が」「いつ・どんなリスクを抱えているか」を数値で把握できれば、施策の優先順位づけも格段に明確になります。
転倒による労働災害は、適切な予防措置によって防ぐことができます。まずは自社従業員の体力状況を「見える化」することから始めてみませんか。


参考資料
厚生労働省「第14次労働災害防止計画」
「高年齢者の労働災害防止のための指針」(令和8年2月公示)
植田ら「地域在住高齢者における早朝のラジオ体操会への参加が身体的,精神的,社会的側面に及ぼす効果」日本予防理学療法学会雑誌 第3巻2号(2024)