忘れられない10歳の12月~手術編
10歳の12月ほど忘れられない12月はない。
もうあれから20年以上経っているけど、あの年の12月の記憶は、つい先月のことのように、何日分も鮮明に覚えている。
いつも首をかしげている女の子
小さいころからわたしはいつもちょこっと首をかしげている女の子だった。
家族はそれを別におかしいともなんとも思わず、ただの女の子らしいこの子の仕草なのだろうと思っていたそうだ。
でも、小学校4年生の時、親戚の叔母が母に言った。
「それにしてもいつも首かしげてるけど…斜けいじゃない?お医者さんに診てもらったら?」
と。なんとも思っていなかった母たちは、「そうかなぁ~?まぁ一応診てもらいに行ってみるか!」と軽い気持ちで病院に行った。
結果はやはり斜けい〈首が一方に傾いている状態〉だとわかった。
そうとわかれば、早いうちに手術をしなければならない。
わたしはすぐに手術をすることになった。
子ども医療センターという子どもだけの病院。小さいころから眼科で通っていて、子ども専門だからお医者さんも看護師さんもとっても優しかったので、わたしは特に不安に思うこともなく、なぜだかルンルン気分で入院した。
期間は12月の10日ごろから一週間の予定だったが、クリスマス会に出たいというワガママを病院側が聞いてくれ、数日長く入院することになった。
忘れられない手術とギブス装着
そんなルンルン気分で入院したわたしだけど、手術とその後は怖かった記憶がはっきり残っている。
まず、わたしは麻酔がうまくかからなかった。
麻酔を打たれて、手術室に入って、ドラマみたいにお医者さんたちが手術着を着て、わたしの周りを囲ってわたしを抑えている光景…😨
「やめて~!!」
と怖くて震えていたような気がする…。
あとになって話を聞くと、麻酔が全然かからなくて、最初は暴れて大変だったそうだ💦〈普段は暴れるキャラではないので、麻酔がかかってなくて怖くて暴れたそう〉
痛いとかそういうことはなかったので、暴れたあと麻酔がしばらくしてかかって無事に手術をすることができたけど、麻酔が覚めた後泣いていた記憶がある。本当に怖かった。
そして、手術後…首の手術だったので、首を固定するために、頭から顔全体にギブスをつけることになった。
そのギブスのつけ方がものすごい恐怖だった。
まず頭から顔まですっぽりと重たいギブスをかぶった。顔が隠れるようなもの。
そのあと、ドリルのようなもので顔の部分だけガーっ!!とくりぬかれた。
びっくりした😲さすがに現代はあんなやり方はしないのだろうか…?
顔の部分だけドリルでくりぬくなんて…ものすごい音がしたし…怖すぎて終わったあとにポロポロ泣いていた。
初めての手術とギブス装着は、一生忘れられない。
兄たちからの手紙
手術後、兄たちが病院に来た時に、手紙をくれた。
そこには、おいしそうなアイスクリームをニヤリとした顔で食べている兄たちのイラストが描いてあった。
「退院したらたべれるぞ」
と書いてあった気がする。
それが10歳のわたしにとって、なんだかクスクスおかしい気持ちになって、とっても嬉しくて。
元気づけようと描いてくれたあのイラストは、今でも頭に浮かぶ。
きっとわたししか覚えていないと思うけど✨
「そうそう、リコちゃん」
退院日が近づいた12月20日ごろだと思うけど、わたしは祖父母に病院から電話をした。
最後におばあちゃんと電話をした。
「よくがんばったね」
とかそんなようなことを話してくれたと思うけど、最後におばあちゃんは、
「そうそう、リコちゃん!」
と何かを言いかけたが、公衆電話はそこで切れてしまった。
帰ったらまた電話できるから、大丈夫だと思って、そのあとかけなおさなかったけれど、その一週間後に祖母が亡くなった。
退院したあとに、きっと電話をしたと思うし、そのときにその「そうそう、リコちゃん」の続きを聞いたのかもしれない。
それでも、もしかしたらそのあとも聞いていないかもしれないと思うと、あれから何十年経っても、「そうそう、リコちゃん」の続きが気になるのだ。
きっと、「退院したらクリスマスだね💛サンタさん楽しみね」とかそんな他愛のないことだったかもしれないけれど。
病院でのクリスマス、そして退院
その後、本来の退院予定から数日後のクリスマス会にも参加させてもらった。
みんな、ギブスをしていたり、車いすだったり、それぞれ病気やケガや様々な理由で入院していて頑張ってるなかで、楽しいクリスマスにわくわくニコニコしていて子どもながら嬉しかった。
病室で泣き叫ぶ子どもも近くで見たから。その日の子どもたちの楽しそうな笑顔はとっても印象に残っているのだ。
大きな部屋に集まって飾り付けしてあってキラキラしている部屋で、パジャマを着た子どもたちで歌ったり踊ったりゲームをしてクリスマスをお祝いした。
早くみんな退院できるといいなぁって周りの子どもたちを見渡しながら、思ったあの日。
ほんの12月の10日ほどの付き合いだったけど、あそこにいた子どもたちのことは今でもよく覚えているから。
よく泣いていた女の子、竹ノ内豊が好きだったお姉さん、かわいがってくれた高校生たち…
何十年経って、あの子たちはみんな大人になって、元気でいるかなぁ。
***
ルンルン気分で入院した病院、怖かった手術とギブス装着、お兄ちゃんのアイスクリーム、おばあちゃんとの電話、病院でのクリスマス会、ギブスでタクシーに乗って帰った日、先生がお見舞いに来た日、そしておばあちゃんとのお別れ…何十年経っても忘れられない12月の1か月。
毎年12月になると思い出す。
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