目の前の人はその人しかいないって話
先日、友人が「LGBTQIA+」を覚えようとしていました。
L レズビアン
G ゲイ
B バイセクシュアル
T トランスジェンダー
Q クィアとかクエスチョニング
I インターセックス
A アセクシュアルとか
+ まあ、その他もろもろ
たぶん、そんな感じです。
当事者のお前がそんなにフワフワでいいのかと思われるかもしれませんが、無理だよ。これ、気がつくと増えるし。
僕はゲイとして37年生きてきただけで、LGBTQIA+総合案内所に勤務しているわけではない。そもそも、このアルファベットに並んでいる人たちは、似たような人たちを細かく分類したものではありません。
僕の感覚では、ゲイとレズビアンだけでも野菜農家と花農家くらい違います。
同じ農家なので、天候に振り回されるとか、世間から農業について勝手なことを言われるとか、共通する話はある。
「今週は雨が多くて大変だね」と、天気の愚痴を言い合うことはできるでしょう?でも、野菜農家に冬に咲く育てやすい花を聞いても困ってしまう。
同じ農家だからといって、育てているものも、使う道具も、出荷先も同じじゃないからね。それどころか、同じ野菜農家でも、アスパラガス農家とカボチャ農家では、収穫時期も卸先も抱えている悩みも違と思う。
ゲイ同士ですら、こんな感じ。
男性が好きという部分はあるけど、恋愛観も、生活も、困っていることも全然違う。
ましてやトランスジェンダーとなれば僕の感覚では養蜂農家くらい違います。農業という大きな括りの中で一緒に語られることはあるけれど、そもそも扱っているものがかなり違う。
僕に別のセクシュアリティのすべてを聞かれても、正直わかりません。
僕の中で、人の性のあり方をかなり雑に説明するなら、三つのリールがあるスロットです。
身体はどうか。
自分をどんな性別として感じているか。
誰に、何に、どんなふうに惹かれるか。
たとえば
身体・男
心・男
惹かれる相手・男 なら、ゲイ。
身体・男
心・男
惹かれる相手・女 なら、ノンケ。
ただし、実際のリールは男と女の二択ではありません。
中間に止まることもあるし、複数を指すこともある。時期によって揺れる人もいれば、どこにも止まらない人もいる。三つ目も「好きになる性別」と言ってしまうと狭い範囲。
恋愛的な惹かれと性的な惹かれが別の人もいるし、誰にも惹かれない人もいる。相手の性別があまり関係ない人もいれば、人ではない何かに強い愛着や惹かれを感じる人もいるでしょう。
このへんは、もう本当にその人次第です。
僕が外から勝手に名前をつけたり、踏み込んだりできる話ではありません。
ただし、どんな形であれ全部同じ扱いでいい、という意味でもありません。
相手が同意できない場合や、誰かの安全を損なう可能性がある場合はLGBTQIA+という話とは分けて考える必要がありますけどね。
もちろん、このスロットは学術的に正しい分類表ではありません。
注意です。
僕が37年生きてきて、人の性について理解するために使っている、かなり雑なイメージ。でも、イメージはつきやすいんじゃないかな?
つまり、アルファベットを覚えるより、目の前の人がその人しかいない。
ということを忘れなければそれでいいんじゃないですかね?
もちろん、言葉を覚えようとしてくれることはありがたいですよ。
知らないままより、知ろうとしてくれるほうが嬉しい。
でも、LGBTQIA+を全部暗唱できたからといって、目の前の人を理解したことにはなりません。
野菜農家という言葉を知っていても、その人が何の野菜を育てているのかまではわからない。どんな土を使っているのか。何に困っているのか。そもそも農家と呼ばれたいのか。
そこは本人にしかわかりません。わからない言葉が出てきたら、そのとき調べればいい。本人が話してくれるなら聞けばいいし、話したくなさそうなら踏み込まなければいい。
目の前の人を、アルファベットの答え合わせに使わない。間違えたっていい。
大事なのは、目の前の人とちゃんと会話をしようとすることじゃないですかね?
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