『いま動く制度、ゆれる現場──外国人雇用と在留資格』シリーズ”56”_【2025年12月10日現在】第11回有識者会議【資料1-2】転籍制限期間の設定について――育成就労制度の“根幹”を決める資料
【資料1-2】転籍制限期間の設定について
――育成就労制度の“根幹”を決める資料
みなさま、こんばんは。東城です。
転籍制限期間をどう定めるかは、今回の制度改正で最も議論が難しいポイントです。
資料1-2は、ここを非常に丁寧に整理しています。
■ ① 人材育成の必要性
育成就労制度は名前の通り、「育成」が制度の中心です。
ただ働いてもらうのではなく、一定の教育や経験を積むことで、その分野で長く活躍できる力を身につけてもらう。
その“育てるプロセス”自体が制度の価値であり、日本側の責任でもあります。
資料では次の点が強調されています。
育成には最低1年程度が必要であること、知識・技術を備えた人材を育てるには「一定期間の継続勤務」が不可欠であること、人材育成が済む前に転籍が起きると制度目的が崩れることなど、どれも制度の根幹に関わる視点です。
育成を途中で放棄するような形で転籍が繰り返されれば、本人のキャリア形成も遅れますし、企業側も計画的に育成できなくなり、結果として制度全体が不安定になります。
この“1年”という数字は、今回の議論で最も重要な基準になっています。
なぜ1年なのか。
それは、どの分野でも「最低限の業務理解」「初歩的な技能の定着」「指導者との信頼関係の構築」などが、だいたい1年を通じてやっと形成されるからです。
四季の変化に応じて業務が変わる分野もありますし、繁忙期・閑散期を両方経験しなければ、本当の意味で“独り立ち”したとは言えません。
そうした現場の積み重ねが、この期間設定の根拠になっています。
■ ② 人材確保の必要性
人手不足に悩む分野では、受け入れ企業も「育てた人がすぐ辞める」状態では成り立ちません。
特に地方では、そもそも採用が難しい状況の中で、せっかく受け入れた外国人材が短期間で転職してしまうと、職場だけでなく地域の暮らしそのものに影響が出てしまいます。
資料では、育成計画と雇用の安定はセットであること、地域の人手不足事情も考慮することと書かれています。
つまり、企業と外国人の双方が安心して育成に取り組めるためには、「一定期間は一緒に働く」という前提そのものが欠かせないということです。
雇用が不安定な状態では、業務の教え方も計画しづらく、本人も将来像が描きにくくなってしまいます。
また、企業側の投資という観点も非常に重要です。
教育担当者の配置、研修時間の確保、マニュアル整備、生活支援体制の構築など、受け入れ企業は見えない部分まで多くのコストを負担しています。
こうした努力が“短期間で離職されるリスク”によって無駄になるようでは、制度そのものが持続しません。
「安定した雇用のもとで育成が進むこと」が今回あらためて制度の前提として整理された理由です。
■ ③ その他の要素
本人の希望と人権を尊重しつつ、制度として「育成完了前の早期転籍」を避ける仕組みが必要なのです。
日本で働く外国人にとって、転籍は大きな決断です。職場の環境、給与、人間関係、住環境など、生活そのものが変わる可能性があるためです。
一方で、受け入れ企業も職場を安定して運営するために“急な離職”を避けたいという現実があります。
この二つのバランスをどのように取るのか。
資料では「制度の趣旨を守りながら、本人の尊厳も大切にする」姿勢が前面に出ています。
たとえば、育成がまだ十分に進んでいない段階で転籍が続くと、本人も中途半端な状態のまま次の職場に移ることになり、キャリアが伸びず、評価も上がりづらく、結果として本人にとって不利益になっていく場合があります。
また転籍を繰り返すと、生活基盤が安定しにくく、日本社会に慣れる時間も不足しがちです。
日本語学習が途中で止まってしまうケースも少なくありません。
こうした“生活と成長の両面”を考えると、やはり制度として一定の期間を設ける必要があるという結論は自然な流れなのだろうと思います。
本日も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!
第11回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議
https://www.moj.go.jp/isa/03_00165.html
第11回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議 | 出入国在留管理庁
www.moj.go.jp
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