【短期集中連載】 楽器業界とわたし④ 完結編
なかなか成績は伸びなかった。営業部長に「お前は能力がないからテリトリーが狭いんだよ」と罵声を浴びた。数ヶ月が過ぎたとき、副社長に呼び出された。「会社に戦いに来ている姿勢が見えない」「君に電話がかかってくるのを聞いたことがない」「周りからも、なんやあのおっさん、みたいな感じで浮いている」「大企業の垢が抜けていない」と冷静な言葉ながらも散々に言われ、解雇を示唆された。
わたしは受け入れた。
「もう一度やらせてください!」と頭を下げる気力はなかった。
それでも、楽器業界の求人を探してBacchusブランドで有名なディバイザーの内定を得た。しかし、一度折れた心は戻らず結局辞退した。
わたしの夢は呆気なく潰えた。いや、夢というより単なる逃避だったのかもしれない。わたしの楽器に対する情熱などその程度だったのだ。あのとき、わたしに解雇を告げたのは副社長の優しさだったのかな…といまは思える。
しかし、挫折は挫折。
楽器店で試奏すると「お仕事用のギターですか?」と訊かれるほどの腕前だったギターは触る気にもなれなくなった。あんなに愛読していたギターマガジンやプレイヤーも辛くて読むのを止めた。
でもいまは、やらなかった後悔より、やった挫折のほうが経験値という財産になったと思っている。
因みに、PREMIUM GUITARS KYOTO予定地はガレージとなり愛車GR86が原寸大の置物として鎮座している。
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