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肥満論:からだに纏(まつ)わるオノマトペ

やり投げの北口榛花選手は出身高校が僕と同じということもあり、彼女が高校生の頃からずっと注目していた。お母さんから「笑う門には福来たる」と教えられ、常に笑顔を絶やさず、パリでは念願の五輪での金メダルを獲得することが出来た。そして、和田アキ子さんの曲「あの鐘を鳴らすのはあなた」よろしく、金メダリストしか鳴らせないパリの競技場スタッド・ド・フランスでの鐘を喜びを爆発させて連打した。

やり投げ競技の自分の順番が回って来ない休憩中には、フィールドに寝そばりながらカステラをにこやかにほうばる姿が中継された。猫背になると投擲とうてきにはいけないので、背筋を伸ばすために寝そべるのだそうだけれど、その姿を見て、僕は「まるでトドみたくて可愛いい」と思いながら見ていた。

ところが、僕と同じ感想を抱いたことを自身がメイン司会を務める長寿番組である「アッコにおまかせ!」で和田アキ子さんが話したところ、それが視聴者には不快だったらしく、SNSで大批判を浴びた。

和田アキ子炎上「トドみたい…」金メダル北口榛花が寝そべる姿へのワードにSNS「失礼な言葉」
『パリ五輪陸上女子やり投げで、自身がファンだと公言してきた北口榛花(26)が金メダルを獲得したことを受け「何回見てもだめ。涙腺が弱くなっているから…」と、涙ながらに快挙を喜んだ。』『北口が験担ぎの一環として、昨年の世界陸上で食べていたスポーツカステラを、決勝でも自身の競技の間に口にしていた映像が繰り返し放送されると、和田は「アハハハ…なんか、トドみたいなのが横たわっているみたいな。かわいいなあ」と口にした。』『インターネット上では「和田アキ子」がトレンドワードに。SNSには「トド発言はやばいやろ」「失礼な言葉ですね」「『トドみたい、かわいい』って言ってた気がするけどさすがに『かわいい』付けてもトドは褒め言葉ではないわな」など、和田の発言に疑問を呈するコメントが相次いでいる。』

そこで和田さんは、同じ番組内で翌週に謝罪することになった。

和田アキ子「リスペクト足らなかった」北口榛花「トド」発言を「アッコにおまかせ!」で謝罪
『「先週の放送で、女子やり投げの北口榛花選手に対し、動物に例えるという不適切な発言をしてしまいました。おわびします」と深く頭を下げた。』『続けて「私自身は彼女のことが大好きで、日本で活躍している時も本当に応援していました」と述べた上で、「念願の金メダルを取られ、私は心から、本当に心からうれしく思い、テレビを見て泣いたくらいです」と打ち明けた。』『
さらに「それが先週、彼女の寝そべっている姿を見た時に、かわいい、わあ、かわいいと思った瞬間に出た言葉が、動物に例える言葉だった。リスペクトが足らなかったと思います。すいませんでした」と続けた。「北口榛花選手、関係者のみなさまに心からおわびしたいと思います。申し訳ございませんでした」と述べ、再び頭を下げた。』

確かに、和田さんに関しては、「トド発言」は彼女に対する批判を引き起こす単なる引き金トリガーだったのかも知れない。彼女は出自が”在日朝鮮人"であることで彼女に対する根強い差別感情を抱く日本人が多く、その彼女が”ご意見番”の顔をして毎週、偉そうな振る舞いをし発言をしていることに対して、快く思わない者たちが多々いたことは想像に固くない。

しかし、「『かわいい』付けてもトドは褒め言葉ではないわな」とSNSで指摘されているように、そもそも「トド」は「ぼってり」という人にネガティブな印象を与える動物であるがために、例える動物としては選択を誤った形なのだろう。

トド

”肥満者”に対して”ブタ”と蔑称することはすぐに差別だと判るけれど、”からだに纏(まつ)わるオノパトペ(擬態語)"には、高評価⇄低評価にグラデーション(濃淡)がある。

以下、思いついた限り体型に係るオノマトペを掲げてみよう。

がりがり
体が非常にやせ細っているさま。「―にやせる」

ほっそり
細くて品のいいさま。すらりとしているさま。「―(と)したしなやかな指」

すらり
人の身体や手足が、余分な肉がついたりしないで形よく伸びているさま。「―とした青年」「―と伸びた足」

がっちり
構造・骨組みなどが丈夫で安定しているさま。「―した身体つき」

むちむち
肉づきのよいさま。むっちり。「―(と)よく太った子」「―した肢体」

むっちり
肉づきがよく、締まっていて弾力のあるさま。「―(と)したからだつき」

ふくよか
柔らかそうにふっくらとしているさま。ふくやか。ふくらか。「―な顔」「年とともに―になってきた」

ふっくら
ふくらんでいて、やわらかそうなさま。ふっくり。「―(と)した体つき」「―と暖かそうな布団」

ぷっくり
丸くふくらんでいるさま。「―とふくらむ」

ぽちゃぽちゃ
ふっくらとして愛らしいさま。「色白の―(と)した女性」

ぽっちゃり
ふくよかで、かわいらしいさま。ぽってり。ぽちゃり。「―(と)した女の子」

ぽってり
ふっくらと肉づきがよくて、かわいらしいさま。ぽっちゃり。「―(と)した体つき」

ぼってり
太って重そうなさま。「―(と)太っている人」

むっくり
丸みがあって、弾力に富んでいるさま。角張らず、穏やかなさま。

でっぷり
よく太って貫禄のあるさま。「―(と)肥える」「―(と)した紳士」

でくでく
太っているさま。でぶでぶ。ぶくぶく。 「―肥(ふと) つた男/社会百面相(魯庵)」

ぶくぶく
しまりなく太っているさま。 「―と太る」

でぶでぶ
非常に太っているさま。 「―(と)太っている」

ぼてぼて
軽快さがなく、重たるい感じを与えるさま。「―した布地」

ずんぐり
背が低くて太っているさま。太くて短いさま。「―した胴の長い半身を/あめりか物語(荷風)」

ずんぐり-むっくり
「ずんぐり」を強めていう語。「―(と)した人」

ぶよぶよ
しまりなく太っているさま。「―と太る」(形動)に同じ。「―な巨体」
※「ぷよぷよ」は大辞林第二版には掲載なし。

大辞林第二版

以上、思いついた限りの‘からだ’にまつわるオノマトペ(擬態語)を掲げてみた。これらの言葉は、‘からだ’を構成する骨格・筋肉・脂肪(内臓脂肪・皮下脂肪)・皮膚の分量・割合・状態に対する印象を表現していると言える。総括すると、伝統的価値観においては、骨格・筋肉・脂肪・皮膚が過少にせよ過多にせよ、いずれにしても過剰であると悪印象を与え、中庸であれば好印象を与えていることが判る。

追記:ボンキュッボン
デジタル大辞泉 「ボンキュッボン」の意味・読み・例文・類語
ぼん‐きゅっ‐ぼん
俗に、女性のウエストが締まって、バストとヒップが発達した、肉感的な体形をいう語。ぼんきゅっぽん。「ぼんきゅっぼんのスタイルに憧れる」⇒肥満論:モードとしての体型〜グラマーからウルトラスリムへ

肥満論:序文
肥満論:サイズアクセプタンスの思想
肥満論:社会的価値観の反映としての体型

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