【漢字楽習室】 日本語教師の方へ_漢字指導のお困りごとを教えてください
<自己紹介>
出身は東京ですが、
今は山口県在住です。
以前は鹿児島にいて、
大学で15年非常勤をしていました。
現在は、週2回日本語学校、
月1回は地域日本語教室の運営
をしています。
日本語を教えていると
漢字指導は必須。
どのレベルの学習者でも、
漢字に全く問題がない人は、
いません。
そこで教師の指導力が問われます。
<漢検2級の受検指導>
20年ほどの教師経験の中で、
忘れられない学習者が何人かいます。
そのうちの一人、
中国人留学生Kさんの話
をしたいと思います。
Kさんは、
JLPTのN1
(外国人のための日本語能力試験の最上級)
に合格してから来日しました。
私は、初級後半から上級までの学生の
自習をサポートするクラス
を担当していました。
授業中、Kさんは、
漢字の部首を一生懸命覚えていました。
聞くと、
漢検2級を受けたい、
とのこと。
そこで、私は伝えました。
「部首の問題は、
200点満点の10点分しか出ないし、
10問のうちの半分は見て分かります。
過去問を解いて、
分からないものだけ
覚えればいいのです」と。
受験まで、3ヶ月ほど
しかありませんでした。
そこで、
・点数配分と学習すべき順番を確認
・漢検2級漢字2,136字のうち
N1漢字2,000字に含まれていないものを抽出
・テキスト・対策問題集の紹介と、辞書の貸し出し
・過去問の全問添削
をしました。
もともと真面目で
優秀なKさんです。
短期集中で、見事、
漢検2級に合格しました。
Kさんは、
スピーチコンテストにも参加し、
みごと、入賞しました。
Kさんを合格へ導いたことで、
漢字指導に自信を持った
私でしたが‥‥
<漢検対策クラス開講>
その後、
漢検2級を受けたい学生が
他にもいるかもしれない、
と、考えました。
そこで、上司の了承を得て、
・放課後の空き教室の使用許可をとりました。
・漢検2級の指導をする旨のポスターを、
留学生センター掲示板に貼りました。
・貸出用に、漢検2級の教本や辞書、
過去問題集を一式購入してもらいました。
さて
漢検対策クラスに、
学生は来たでしょうか。
残念ながら、
一人も来なかった
のでした。
半期ごとに、
日程を差し替えて、
ポスターを貼り直しました。
問い合わせは、
何度か来たのですが、
そのレベルに達していない
(日本語能力試験の最上級N1に合格していない)ために、
受け入れができませんでした。
何年か、
受講生の募集を続けましたが、
漢検対策クラスは
一度も開講できませんでした。
でも、私は、
他に何もせずに待っていた
わけではありません。
<漢検に挑戦>
中国人のKさんが
漢検2級に合格できるなら、
日本人で日本語教師の私が、
準1級に合格できないはずはない、
と思いました。
実は、日本語教師の資格をとったころ、
漢検準1級を何度が受けたのですが、
いつも不合格でした。
その後、
結婚、出産、専業主婦。
主人の仕事の関係で
あちこち引越し。
鹿児島に落ち着いてからも、
日本語教師と薬局薬剤師の仕事を
かけもちしたり、
PTAの役員をしたり、
多忙な日々を送っていたので、
漢検のことはすっかり
忘れていました。
自信を持って、漢字を教えたい。
そうだ、漢検を受けよう。
私は、
漢検準1級を受けることを決意
しました。
念のため、
漢検2級も同時受検
することにしました。
平成22年に常用漢字が196字増えて、
2,136字になっていたからです。
中国人留学生のKさんにさせた
2級問題集は、
自分でも全部やりました。
市販の準1級対策本を全て購入し、
久しぶりに猛勉強しました。
<漢検準1級合格まで>
漢検準1級について
少し説明しますね。
漢検準1級は、
常用漢字を含め約3,000字が範囲です。
漢検2級を持っている私でも、
約1,000字を新たに
覚えなければなりません。
正直言って、とても大変でした。
でも、私には
強い味方、息子K
がいました。
小学1年生のときから高校卒業まで、
リビングのテーブルを
勉強机にしていたK。
Kは中学2年のとき
漢検準1級に
合格していました。
家事の合間に
Kのとなりで勉強しながら、
分からないところは、
Kに教えてもらいました。
そして、当日。
午前に2級、
夕方に準1級を受け、
帰宅しました。
答え合わせしてみると、
準1級のほうは
点数が足りない気がして、
少し不安になってきました。
そのとき、息子Kは
「頑張っている人は、ちゃんと
評価してくれるよ。大丈夫」
と励ましてくれました。
息子のサポートと、猛勉強の甲斐あって、
漢検準1級に無事、合格
しました。
もちろん2級も合格でした。
<漢検生涯学習ネットワークに登録>
漢検には、
漢検準1級、1級合格者のための、
「漢検生涯学習ネットワーク」
という会員組織があります。
登録は自由なのですが、
登録すると、
定期的に開催される勉強会に
参加することができます。
私はすぐに、登録しました。
<漢検漢字教育サポーターを目指す>
漢検生涯学習ネットワークからのお知らせで、
「漢検漢字教育サポーター」という
漢字教育を支援する活動を知りました。
たとえば、
漢検を校内で受検できる学校で、
受検前の対策講座をする、
などです。
漢検から派遣されて、
指導しに行きます。
日本人に漢字を教えるのも
面白そう、と
興味を持ちました。
そのサポーターになるには、
「漢字教育士」の養成講座を受け、
試験に合格しなければなりません。
漢検生涯学習ネットワーク会員は
受講料が割引になる、
と聞き、急いで申し込みました。
志望理由を書くページがありました。
中国人留学生Kさんへの
漢検指導の実績を述べ、
漢字教育への思いを
熱く語りました。
<漢字教育士資格認定WEB講座を受講>
「漢字教育士」のカリキュラムは、
漢字の歴史、成り立ち、制度など、
もちろん教え方も、
学ぶことができます。
初めて聞くことばかりで、
目から鱗が
ボロボロ落ちました。
80コマの講義は、
何度も視聴しました。
と言えば、聞こえがいいのですが、
実際は、しょっちゅう寝落ちして、
初めから見直していました。
分野ごとに修了テストがあるのですが、
これが、けっこう難しい。
何度でも再テストを受けられるのですが、
その度に問題が変わるのです。
テキストにそんなこと、
書いてあったっけ?
何度も読み返しました。
漢字の成り立ちを使った教え方は、
すぐに、授業で試してみました。
クイズのようにしてやると、
どのレベルの学生も
目をキラキラさせながら
取り組んでくれました。
1年後、
「漢字教育士」と
「漢検漢字教育サポーター」と
2つの資格を
手に入れることができました。
<漢字教育士と漢検漢字教育サポーター
の違い>
「漢字教育士」は
立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所
が認定する資格です。
「漢字教育士」と
「漢検漢字教育サポーター」は
何が違うのか。
「漢検漢字教育サポーター」
は
まず、漢検あてに講師派遣依頼が来て、
次に、該当者に声がかかり、
選考を通過すると、
初めて、派遣されます。
勝手に活動はできません。
それに対し、
「漢字教育士」
は、
名刺に肩書きとして入れたら、
自ら営業して
仕事を取ってくることができます。
私が漢字教育士になったころは、
全国で500人くらいでしたが、
今では1,000人を超える人が
活躍されています。
<漢字教育士のU先生>
資格の認定後、初めての研修会で、
漢字教育士1期生の
U先生にお会いしました。
その出会いによって
私の教師人生が
大きく変わりました。
漢字教育士としてご活躍中のU先生は、
凛として、とても素敵な方でした。
当時の私は、
自分の勉強のためだけに、
主人と子どもたちを置いて遠出するのが、
とても心苦しくて、
悩んでいました。
その時の研修会は、
京都で行われたのですが、
まさに清水の舞台から飛び降りる
くらいのつもりで
参加していたのでした。
そんな私に、
U先生はおっしゃいました。
「日本語教師は、あなたの仕事です。
研修会でも、学会でも、遠慮なく、
出かけたらよいのですよ」
そのとき、
目の前がパッと
明るくなりました。
日本語教師として生きていく覚悟ができた
と言っても過言ではありません。
その年の5月には、
東京で開催される日本語教育学会に初参加。
もちろん、一人で行きました。
その後は毎回、
学会に行けるようになりました。
翌年の研修会で、
U先生に再会したときは、
本当に感激しました。
その頃は、また別の、
仕事に関する悩みがありました。
そこで、思い切って、
U先生にメールでご相談しました。
無駄になる経験は無い
当時の私は、
また別のことで悩んでいました。
漢字教育士のU先生に、メールで、
ご相談してみました。
2年後に、主人の仕事の関係で、
山口県に移住することが決まりました。
(当時は鹿児島に住んでいました)
大学の非常勤の仕事も
辞めることになります。
でも、
日本語教育、漢字教育に関わる仕事は
続けていきたい。
そのために、あと2年で何をすべきか、
考えているところです。
U先生から
お返事が来ました。
「どんなことでも
無駄になる経験はありませんから
好きな分野に打ち込むと、
個性的な講義ができるかな〜と
いくつになっても思います」
「海外を含め、3年に一度の割で引っ越しが続き、
やっと今のところに落ち着きましたが、
今は、色々な土地でのお話ができて
良かったなと思います」
「漢字を通じて、こんなに色々な方と
お目にかかれるようになり、
つくづく何でもやっておくものだ、と」
「心が豊かになりますし、
老後のハリにもなります」
「積極的にお勉強もされ、
行動力もあり
すばらしいと思います」
私も、U先生のような教師になりたい、
そう思いました。
話は、その1年前に戻ります。
<日本語検定と日本語能力試験の違い>
日本語検定は、
主に日本人が受検する、
日本語の試験です。
漢字だけでなく、
表記、敬語、語彙、言葉の意味、文法、
それに総合問題もあるテストです。
ある調査では、
外国人が受ける日本語能力試験の最上級N1が
日本語検定の4級に相当する、
とされていました。
なぜ、私が
日本語検定のことを
調べ始めたのか。
きっかけは、
漢字教育士の研修会で
お会いしたAさんからの質問です。
日本語教師ではないのですが、
外国人に日本語を教えている、
とのことでした。
Aさんは、
「外国人が受ける日本語の試験って、
小学校4年生程度のレベルなんですよね」
と言いました。
いいえ、いろいろなレベルがありますよ、
と私は答えました。
日本語教師なら、
すぐ気づくと思いますが。
そうです。Aさんは、
外国人が受ける
日本語能力試験(JLPT)
ではなく、
日本人が受ける
日本語検定
のことを言っていたのです。
帰宅後、気になって気になって。
大きなお世話かな、
とも思ったのですが‥‥
事務局経由で
本人に了解をとってもらい、
2つの試験の違い、
お勧めテキストの一覧、
をまとめてお送りしました。
そして、
そのときのメールで、
次のようにお伝えしました。
外国人に日本語を教えるのは
簡単ではありませんが、
自分もいろいろな気づきがあり
面白いです。
相手は大人なので、
子ども扱いは禁物です。
褒めすぎない!
(少しできたくらいで褒められると、
バカにされたように感じる人もいる)
叱らない!
(プライドが高いので、理由を聞いてから、
なぜダメなのかを丁寧に説明する)
文化の違いを理解する!
(日本にいながら、
外国人と日本語で交流
できる貴重な機会)
少しでも参考になったら幸いです。
と。
<日本語検定2級に挑戦>
日本人が受ける日本語検定
について調べているうちに、
日本語検定を
受けてみたくなりました。
当時は、
日本語検定2級に受からないと
1級を受検できないことになっていました。
日本語教師の私ですから、
日本語検定2級は、まあ簡単でした。
6月に受けて、
無事合格
しました。
次に、
1級の問題を見たとき、
絶句しました。
難しい‥‥分からない‥‥
語彙も漢字も、
漢検準1級より
難しい‥‥
受検をやめようかと
思いました。
<日本語検定1級への道>
一度は受検をやめようと思った私でしたが。
思わぬ事件が起こりました。
その当時は、
大学で週2日、日本語を教えながら、
薬局で週3日、薬剤師もしていました。
息子2人が大学へ
進学希望なので、
母の私も
稼がないといけませんから。
ある夕方のこと。
仕事中に自転車に乗っていたところ、
転倒し、
左手の親指を骨折
しました。
全治1ヶ月半でした。
それは大変、
大学も休まないといけない?
いいえ、大学はちょうど
2ヶ月間の夏休みに
入ったところだったので、
全く影響はありませんでした。
でも、手が使えない薬剤師は
役に立ちません。
薬局は1ヶ月半、
休職しました。
ギプスをしている左手は使えないので、
家事は、手抜き。
仕事は、ない。
時間だけが、
たっぷりありました。
あっ、でも、
右手は使える!
小学4年生のときに、
右手の人差し指に怪我をして手術。
鉛筆が持てないので
字が書けなくなり、
完治するまで
1ヶ月休学したことがあります。
今の私は、
右手は、使える。
この
与えられた時間を生かして
日本語検定1級に挑戦しよう。
そう思ったのです。
<日本語検定1級への道は続く>
日本語検定1級を
受けることにしたものの、
そうそう甘くはありません。
でも、
動く右手に感謝
しながら、
何とか対策本を仕上げました。
総合問題対策になるものはないか、
本屋へ探しに行きました。
時代小説は面白かったです。
夏目漱石や森鴎外など、
明治期の文豪のものも
勉強になりました。
怪我をした直後は、
無力感に苛まれ、
落ち込んでいましたが。
日本語検定の勉強をすることで、
気持ちも前向きになり、
元気が出てきました。
経験に無駄なことは無い
本当にそう思います。
<日本語検定1級合格>
おかげさまで
日本語検定1級に無事、
一発合格
できました。
<漢字検定1級への道>
そうなると、
あとは漢検1級です。
漢字教育士の方々も、
1級合格者が多いです。
漢検1級を受けることを
決意しました。
敵を知り己を知れば百戦危うからず
『孫子』
対策本があまり無いので、
ネットで情報収集。
良いと思った勉強法は
いろいろ試してみました。
四字熟語を中心に
ノートにまとめると良い、
と聞けば、
やってみました。
まとめ方を改良しながら
3巡したので、
四字熟語だけで、
ノートは8冊になりました。
中国の名言集が良い、
と聞けば、
図書館へ行って
分厚い本を繰ってみました。
その名言集が文庫本で
売られているのを発見し、
買ってみたのですが、
字が小さすぎて
読みにくかったです。
漢検1級の市販の対策本は
だいたい覚えました。
過去問も10年分、
大学図書館でお取り寄せ。
模擬問題も、
まあまあできた。
準備は万全だと
思いました‥‥
そして、受検。
しかし、完敗
しました。
思い出せないくらい、
悪い点数でした。
当時のテレビ番組では
芸能人が漢検受検するのが
流行っていました。
宮崎美子さんとか、
漢検1級に合格した方が
何人もいました。
簡単に受かるだろうと、
甘く見ていました。
その後、
漢検1級を年に3回、
受け続けました。
継続は力なり。
少しずつ点が
上がってきた頃のことです。
東京にいる大学生の息子Kから、
漢検1級に合格したよ!
との知らせが届きました。
大学に入って時間ができたので、
受けてみた、
とのことでした。
Kが使った参考書をちょうだい、
と言ったら、
書き込みが激しいのであげられない、
とのこと。
教科書や問題集に書き込みをしない主義のKが
びっしり書き込みするとは、
相当手強そう。
本屋では買えないものなので、
仕方なくお取り寄せ。
3冊セットの対策本は、
ネット上の合格体験記でも、
大変だからやりたくない本として
紹介されていました。
確かに
気が遠くなるほどの
問題量でした。
間違えた問題は、
ノートに整理。
何度も見返すので、
背表紙が、しょっちゅう
剥がれてしまい、
マスキングテープで
補強していました。
5ヶ月かかって、
やっと、
2冊目の対策本を終えました。
3冊目に取りかかった頃、
5回目の受検で、
200点満点の100点くらいに
なりました。
ところが、
6回目の受検の直前に、
大きな問題が発生しました。
その問題について語る前に、
息子たちについて
お話ししておきたい
と思います。
<息子たちと漢字>
息子が2人います。
兄はR、弟はKです。
次男は、漢検1級ホルダー
Kは中学2年生のときに
漢検準1級(3,000字)に合格し
大学生のときに
漢検1級(6,000字)
に合格しました。
長男は、ものつくり一筋
それに対し、Rは
小さい時から、
勉強よりも、
物を作るのが好きでした。
小学5年生の林間学校で
料理に目覚めたRは、
それ以来、
忙しい私の代わりに
よく食事を作ってくれました。
ある日のこと。
私は、仕事から帰宅し、
洗濯機を回しながら
食事の準備をしていました。
Rが学校から帰ってきたので、
ダメ元で聞いてみました。
悪いけど、
料理するのと、洗濯を干すのと、
どっちか手伝ってくれない?
Rは、即答しました。
じゃ、料理は僕が作るよ!
そして、楽しそうに
料理にとりかかりました。
ありがとう。
私は、洗濯を干してくるね。
でも、
ちょっと待ってください。
どちらもやらない、
という選択肢もあったはずです。
私はこれを
『究極のセンタク』
と呼んでいました。
中学校の科目で、
何が好きだったのか、
Rが大学生になってから
聞いてみました。
美術と技術だけが好きだった、
他の科目は
目を大きく開いて聞いていたけど、
あまり好きじゃなかった、
と答えました。
その後、高校、大学、大学院、と
ものづくり一筋です。
大学生のRに、
漢検2級の読みと語構成の問題を
させてみたことがあります。
ちょうど、中国人留学生Kさんに
漢検対策をしていた頃でした。
なんと、読みは完璧。
語構成も、ほぼできていました。
どうして分かるのか、
聞いてみました。
「書けない漢字でも、
読みは分かるよ」
「語構成も、
2つの漢字が同じ意味か、
反対の意味かは、
見れば分かるし」
それなら良かった。
実は、
ちょっと心配していたのです。
今どきの大学生は、
漢字もあまり読めないのでは、と。
さて、漢検1級6回目の受検を前に
起こった大問題に戻ります。
<漢検1級への道は険しい>
漢検1級の第6回めの受検日は、
なんと、私の引越しの直前でした。
ここで少し説明が必要ですね。
主人の転職に伴い、
山口に移住することになり、
3月に鹿児島の家を
引き払わねばなりませんでした。
私は、事前に、
山口での日本語教師の仕事
を探しましたが、
見つからなかったので、
当分の間、
薬局で働くことにしました。
幸い、
仕事はすぐに見つかりました。
3月末まで残務処理がある主人と
3月末に大学院を卒業予定の息子Rを
鹿児島に残し、
3月初めから薬局に勤務するため、
私だけ先に、
山口へ引っ越すことに
なりました。
そういうわけで、
家の中は
私の引越し荷物が山積み。
主人や息子も、
毎日毎日、
家の片付けに
追われていました。
漢検当日の朝、
私は、息子Rに相談しました。
漢検を受けに
行くべきか、
行かざるべきか。
Rの答えは明快でした。
「行かないほうがいい!」
「休日の日中、
母さんが3時間も家を空けたら、
父さんが激怒するよ」
泣く泣く受検を諦めた
のです
そして、私は一人で
山口へやってきました。
落ち着いたら、また、
受ければいいじゃないか。
そう、思っていました。
<漢検1級への道は遠い>
ところが、
山口へ引っ越してきた直後、
大変な事態になりました。
そう、
コロナ禍
です。
勤務先の薬局には、
副業OK
と言われていたので、
日本語学校に
問い合わせを
してみたのですが、
「学生が来日できないので、
非常勤の先生は自宅待機
してもらっている」
「採用の予定は無い」
とのことでした。
薬局の仕事は
どうだったでしょうか?
学校や会社へは行ってはいけないが、
病院へは行ってもいい、
ということで、
通常の2倍以上の患者さんが
毎日来局しました。
2時間ほどあるはずの
昼休みはなくなり、
残業は、当たり前。
終バスに間に合わなくて、
主人に電話して、
車で迎えにきてもらうことも
よくありました。
勤務が休みの日は、
買い物以外、ほとんど
家から出ないで
過ごしました。
漢検の勉強をする元気など、
残っていませんでした‥‥
<フリーランス日本語教師に>
あっという間に
2年経ちました。
薬局薬剤師は、
辞めることにしました。
早期退職と言えば
聞こえはいいのですが、
体力・気力の限界に来ていたのと、
息子Kの就職が決まったからです。
主人に相談すると、
快くOKしてくれました。
これからは、
大好きな日本語教師の仕事だけ
したい。
何にも仕事はないのに、
フリーランス日本語教師
になりました。
やさしい日本語の講座を受けて、
「入門・やさしい日本語」認定講師
になりました。
なぜか、
日本語教師ではない主人も
一緒に講座を受けて、
認定講師になりました。
大学の研究生
になって、
やさしい日本語の研究
をしました。
なぜか、
主人も共同研究者になり、
調査に協力してくれました。
地域の日本語教室で、
地域日本語教育コーディネーター
始めました。
なぜか、主人も、
ときどき
ボランティアとして
参加してくれています。
オンラインスクール
で、
子どもたちに
日本語を教えました。
そして、
2023年の4月から
日本語学校
で教えています。
やはり、
対面で教えるのは、
とても楽しいです。
漢字授業の担当
ではないのですが、
漢字の質問が出たり、
漢字の間違いを発見すると、
ミニ漢字講座を
やったりしています。
そろそろ、
漢検1級の勉強を再開
しようかなと思い始めました。
<インスタで漢字ネタを配信>
日本語学校で教えるのは、
もちろん、
やりがいのある仕事ですし、
楽しいです。
でも、
今後のことを考えると、
オンラインで、
自分の好きなことを教えるのも
いいなと考えています。
その一つが、漢字です。
最近インスタで、
漢字ネタの配信を始めました。
@yorikosensei
興味がある方に
ぜひ見ていただきたいです。
漢字は楽しいな
漢字は面白いな
と思っていただけたら、
嬉しいです。
インスタで私、うっかりと、
漢検1級挑戦中!
と発信してしまいました。
有言実行。
漢検1級の勉強、
再開します。
ここで、
私が小学生の頃に
タイムスリップします。
<私の恩師、W先生>
W先生は、
小学校5、6年の担任です。
今考えても、
とてもユニークな先生でした。
給食の配膳:嫌いなものは食べなくていい
大食缶に、
メインのおかずが入っていて、
小食缶にサイドメニュー。
食パン2枚。
三角パックの牛乳。
W先生は、
いつも大食缶の前に立っていて、
おかずを入れる担当でした。
「入れ方が下手だと、
足りなくなったりするので、
私が入れます」
とおっしゃいました。
少ししか食べない人は
「少しにしてください」と言えば、
減らしてくださいました。
「残したら、もったいない。
食べたい人がお代わりすればいい」
というのが先生のお考えでした。
嫌いな食べ物があったら、
もらわなくてもいいのです。
「私も好き嫌いが多いから、
嫌いな物は、食べなくてよろしい」
そう、おっしゃいました。
(息子が小学生の時、
給食が食べきれなくて
昼休みも掃除の時間も
食べさせられている子がいる、
と聞いた時には、驚きました)
休み時間の過ごし方:漫画本、ゲームもOK
20分休みと昼休みは、
校庭へ出て遊びました。
ゴム段とか、ドッヂボールが
流行っていました。
それ以外の短い休み時間は、
教室で
過ごさなければなりません。
雨の日は、もちろん、
ずっと室内で過ごします。
でも、
私たちは退屈することは
ありませんでした。
なぜでしょうか。
学級文庫には、
各自が持ち寄った本が
ずらりと並んでいました。
なんと、W先生は、
漫画本もOKなのでした。
なぜか少女漫画が
あまり好きではなかったので、
私は時々、他の子が持ってきた
ホラー漫画を読んでいました。
楳図かずお、怖かったけど、
病みつきになりました。
トランプを持ってきてもいい、
と言われたので、
よく、「スピード」という
対戦型のトランプゲームをして
遊びました。
運動が苦手な私は、
室内で過ごす、
この時間が大好きでした。
(高校生になったときの昼休み。
教室でトランプ遊びをしていたら、
通りかかった先生に没収されてしまい、
驚きました)
帰りの会:報告・連絡・相談と反省
W先生のクラスでは、
全員に、なんらかの
係の仕事が与えられていました。
学級委員、
飼育係、
図書係、
給食係
などはすぐ
思いつくと思いますが、
国語係、
算数係、
‥‥のように
各科目の係もありました。
帰りの会が始まり、
W先生が
「何か連絡がある人?」
というと、
みんながハイ、ハイ、と
手を挙げるのでした。
そして2人ずつ前へ出て、
「算数係から連絡します。
明日は、教科書とノートを
持ってきてください。
宿題は△△ページです」
のように言って、
ペコリとお辞儀をして
下がります。
6時間授業なら、
少なくとも
6科目の係が
出てきますね。
それだけではありません。
さらに先生が
「何か言いたいことがある人?」
というと、
数人が手を挙げます。
これは、その日にあった
嫌な出来事の訴えです。
たとえば、
「〇〇くんは、
私のことを叩くので、
やめてください」
のような、
些細なことなのですが、
W先生は、
真面目な顔で、
「もう、そんなことは
しないように」と
注意してくださいました。
そうすると、
訴えた人は、
ほっとした顔で
着席しました。
実は、
私も1回だけ
訴えられたことが
ありました。
謝りました。
そして次からは
気をつけるようにしました。
その後は
同じ訴えを起こされることは
ありませんでした。
人の前で話すこと
自分の意見をはっきり言うこと
過ちを認めて反省すること
帰りの会では、毎日
いろいろなことを
教わりました。
<W先生の漢字指導法>
W先生は、小学5年生の最初に、
こう、おっしゃいました。
「毎朝、漢字のテストをします。
国語の教科書の2ページ分です。
書く問題9問、読む問題1問。
10点満点です」
そして、
本当に、
毎朝テスト
をなさいました。
教科書に載っていれば、
既習か未習か関係なしです。
私たちは、
教科書のすみずみまでチェックして、
しっかり覚えてテストに臨みました。
あまり勉強が得意でない子でも、
その朝だけ勉強すれば、
満点をとることができました。
そんなとき、
W先生は、
その子をあだ名で呼んで、
「やればできるじゃないか」
とおっしゃるのでした。
その子は頭を掻きながら、
照れていました。
成績は、
記録係の私が、
教室に貼られている表に
記入しました。
誰でも全員の成績を
見ることができました。
毎日10点という人が2人いて、
みんなに尊敬されていました。
国語の教科書に出てきた
漢字を2年間で、全部マスター
できたので、
その後の人生で、
漢字で困ることは
ほとんどありませんでした。
(息子たちが小学生のとき、
毎日漢字を100字書く
宿題が出ていました。
見ていて大変そうでした)
<W先生からの言葉>
私は、みんなとは違う中学校へ
進学することになっていました。
卒業式を間近に控えたある日のこと。
友達に頼んで、
ノートに一言ずつ
書いてもらっていました。
W先生にも、
メッセージを書いていただきました。
先日、実家に寄ったとき、
無くしたと思っていた
卒業記念ノートを発見しました!
人間はすべて100%ではない
小学校卒業を前にして、
W先生が私に書いてくださった言葉は、
こうでした(原文のまま)
「いろいろと よくがんばったね。
先生も 実にうれしいですね。
人間は すべて100%ではないね。
気持を らくにもって
これから勉強にがんばってね」
12歳の私に、
先生が伝えたかったこと。
その後の人生の中で、
ときどき、思い返しています。
・・・・・・・・・・
現在に戻ります。
<理想の人の特徴>
最近、あるセミナーを受講したら、
こんなワークがありました。
「あなたの理想の人は誰ですか?
その人の特徴を、挙げてください」
私は、W先生を思い浮かべながら、
書いてみました。
明るい、
楽しい、
楽観的、
視座が高い、
慈悲深い、
行動力がある、
アイディアがいっぱい、
他の先生がやらないことをやる‥‥
そして、
解説の時間になりました。
「それは全部、
あなた自身の能力ですよ」
と言われました。
目から鱗、でした。
日本語の授業でも毎回、
何か一つ新しいことを
企んでいる私。
他の先生がやらないことをやる‥‥
なるほど。
理想の人の特徴=自分の能力
納得しました。
<当たり前をやめてみたら>
週2日、
日本語学校に行く日は、
朝5時に起きます。
そして、
6時過ぎに家を出て、
始発電車に乗るため
駅に向かいます。
最近、やめてみたことが
いくつかあります。
その1つは
日本語学校に行く日は、
家で朝ごはんを食べない
ことにしました。
5時に食べると
昼までもたないのです。
(もちろん、主人の朝ごはんは作ります)
その代わり、
朝食の分を弁当箱に詰めておき、
7時ごろに行きの電車内で食べます。
それが、なぜか
とっても美味しい❤️
最寄り駅に早めに着くので、
職場の近くの喫茶店で
コーヒーを飲みながら
30分の手帳タイム。

朝、リラックスできると、
一日ゆったりとした気分で過ごせます。
授業準備や授業でも
当たり前と思っていることを
いろいろやめてみたら
時短になるだけでなく
気持ちに余裕ができて
毎日がますます楽しく
なってきました。
どんなことをしたの?
それは、また改めて。
<メルマガ登録はこちら>
日本語教師ならではのお悩みには、
メルマガでお答えしています。
メルマガ登録は
こちらから
※登録確認メールを必ず確認してください。
確認メールのリンクをクリックして
初めて登録となります。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします!いただいたチップは、活動費として大切に使わせていただきます!