絵本・白峰アカネの冒険/2. アカネ、新天地を目指す
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1.アカネ、山を下りる
「魔獣ゾーン」に入り込んだ子どもたちがアカネに助けられてから2週間後の午後、二人が遊んでいるところを、スーツ姿で大きなバックパックを背負ったアカネが通りかかった。

子どもたち:おねぇちゃん、この間は魔獣から守ってくれて、ありがとう。
アカネ:あの魔獣は、イイ子……じゃなくて、弱っちい子……、だったからよかったけど、もっと強いのに出くわしたら大変。結界の外に出ちゃダメよ。
子どもA:そんな恰好で大きな荷物もって、どこ行くの?
アカネ:山を下りて、ふもとの街で「魔獣退治屋」を始めるの。
子どもB:えっ、大丈夫?「魔獣退治屋」は儲からないって、母さんが言ってたよ。
アカネ:大丈夫。わたしがやると儲かるのよ。今度、街にくることがあったら、ご馳走してあげる。
子どもA:うわ、楽しみ。
子どもB:うーん、そうなるとイイね。ともかく、頑張ってください。
アカネ:あなたたちも、元気でね。じゃ、また。
2.アカネの思い
アカネ:(独り言)子どもたちの前では強がってみせたけど、本当は、自信ないんだ。でも、このまま山にいても息が詰まるだけだろうし。

上のキャリア・パスで、アカネは中B級。そのなかでは経験が長く、中A級に手がかかった所にいる。
アカネ:(心の中で)今までは技能試験と学科試験で上がってこられた。中A級への昇級試験にも自信がある。でも、中A級になってから先がねぇ……
中A級になった巫女は、特定の上級巫女に弟子入りして技に磨きをかけ、その上級巫女の推薦で上級巫女になる。もっとも、”腕に磨きをかけ”は建前で、実際には、上級巫女の小間使いにされてしまうことが多い。
アカネ:(心の中で)師匠とか、姉妹弟子とか、同期の弟子仲間とか、縦・斜め・横に、人間関係がゴチャゴチャしてそう。世の中で人間関係ほど面倒なものはないと思っているわたしには、絶対に向いていないと思う。
つまり、面倒くさい人間関係を避けたいというのが、アカネが山を下りて「魔獣退治屋」を始めることにした理由なのだった。
3.フモトノ市・市役所
白峰山のふもとに位置するフモトノ市は、人口10万人。ヤシマ国の他の都市に比べて、民間に対する行政の統制が非常に強く、特に警察の権限が大きい。ヤシマ国の中央政府が白峰山の「魔祓いの巫女ゾーン」を対・魔獣の第一防衛ライン、フモトノ市を第二の、そして最終の防衛ラインと位置付け、フモトノ市に魔獣対策を最優先とする独自行政を認めてきた結果だった。

白峰山を下りたアカネは、「魔獣退治屋」のドアにかける認可証をもらいに、フモトノ市役所にさっそく足を運んだ。

アカネ:「魔獣退治屋」の認可証をいただきに来ました。スマホでミコミコ・ネットに開業申請を出して、認められています。
市の担当者:それ、国のやつね。うちの市は、書類申請が決まりだから。
アカネ:え、ミコミコ・ネットは、全国一律ではないのですか?
市の担当者:このフモトノ市は、他の市町村と違って特別なの。ここの決まりに従って、やってもらわないと困るね。
アカネ:え~、そんなぁ...…

市の担当者:後ろの棚に申請用紙があるから、書いて、もってきて。それから、書類審査に半年かかるからね。
アカネ:ええーっ!!!
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