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1リードを「1顧客」と気付いたら、比較サイトの見え方が変わった話

私はBtoB向けのSaaSで広告担当をしている。
今回はその中でも比較サイトについて2年間担当する中で大変勉強になったことがあった。

そもそも比較サイトとは法人向けサービスを機能や価格で横並びに比較できるWebサイトのことだ。BtoBマーケティングでは、広告やウェビナーと並んでリード獲得の主要チャネルのひとつとされている。すでに課題が顕在化している「今まさに探している」層が流入するため、一般的には商談化率が高いのが特徴である。

その比較サイトはほとんどがリスティング広告(検索広告)がメインの集客経路だ。「〇〇 比較」「〇〇 おすすめ」で検索した顕在層が流入して、記事を読んで、気になった製品に資料請求する。構造的には、どの媒体も同じようなユーザーが訪れているはず。
それなのに、8本並行で運用してみたら、媒体ごとにリードの「質感」が想像以上に違った。媒体差で片付くレンジを超えていて、これは構造の話だった。

数字を並べたら、想像以上に揃わなかった

運用を続けてしばらく経った頃、媒体ごとの数字を並べて見てみたら、これがまあバラバラだった。
リードの数は出ているのに、架電が繋がる率も、商談化する率も、そこから受注に至る率も、媒体ごとに見事に違った。たとえばA媒体は2か月に1回くらい受注がある。一方、B媒体はそもそも商談が発生しない。
当然、受注もゼロ。

最初は「媒体ごとの誤差」だと思っていた。でも、追えば追うほど誤差では説明がつかない。なんでこんなに質の差が出るのか。 

いち読者として、サイトの中身を覗きに行った

数字だけ見れば「B媒体は縮小でいいですね」で話は終わるのだけど、月次の数字だけで判断していいのか、それとも構造的な理由があるのか。
そこが見えないと、社内で意思決定する材料にもならない。
というわけで、ちゃんと自分でサイトを覗きに行くことにした。

各サイトをじっくり眺めて回ると、想像以上に違う世界が広がっていた。
まず目についたのは、1画面に表示される製品レコメンド数がサイトごとに大きく違うこと。同じカテゴリの一覧ページを開いても、5製品しか出さないサイトもあれば、20製品ずらっと並べてくるサイトもある。
後者だと、まあ、普通に埋もれる。自社がどこに置かれているかでクリック率も変わるし、そもそも「比較検討」される候補に入れてもらえるかどうかも違ってきそうだ。

掲載順のロジックも、ユーザー評価重視のところと、広告出稿量重視のところで分かれる。どっちがいい悪いではなく、「読者にどういう順番で見せる設計か」が結構違うという話。

数字の差は、読者層の差だった

媒体別に架電の接続率と商談化率を追っているうちに、これだけハッキリ差が出る理由を考えるようになった。そこで思い当たったのが、媒体ごとに集まっている読者層が、そもそも違うんじゃないか、ということだった。

接続率が低い媒体は、まだ業者選定の前段階の読者が多いから、架電のタイミングが早すぎて繋がりにくい。一方、接続率が高い媒体は、すでに選定モードに入っている読者が落ちてきているから、繋がりやすい。商談化率や受注率の差も、同じ理由でうまく説明がついた。
それを示唆しているのが、各サイトのコンテンツ設計。基礎解説の記事が多いサイトは初期検討の読者を集めていて、製品比較表中心のサイトは選定段階の読者を集めている。

つまり、リード数だけ見ていると同じに見えるのに、その中身の「検討フェーズ」が媒体ごとに違っていた。

「検索広告経由」だけじゃなかった

ここで、もうひとつ気づいたことがある。
「比較サイト=検索広告経由」と思い込んでいたけど、実はそれだけじゃなかった。

各サイトには、提携している外部メディアの存在がある。比較サイトAは大手のITニュースメディアと提携していて、そのメディアの読者から流入が来る。比較サイトBは中堅企業向けの業界メディアと組んでいて、そこから流れてくる。提携メディアの読者属性が、そのまま比較サイトに集まる読者の属性に効いてくる。

つまり、検索広告だけが入口ではなくて、この提携ネットワークも、リードの質感に効いていた。
これに気づいてから、媒体資料の読み方が変わった。
各社が「うちの主力流入元」として大きく書いていない裏チャネル、たとえば提携メディア、自社運営の業界メディア、メルマガリスト、Meta広告などのSNS出稿。こうしたところも、リードの質感を決めている要素になっている。
媒体資料は、書いてあることだけじゃなく、細かく書かれていることも含めてちゃんと読む。当たり前のようで、これがけっこう大事。

時期によってリード質が動く、もう一つの理由

運用していて感じたのは、リードの質は時期によってけっこう動くということ。

季節性とか、ターゲット業界の繁忙期・閑散期で揺れる部分はもちろん大きい。でも、それだけでは説明がつかない動きもあったりする。
これにも理由がある。媒体側は時期によって、検索広告だけでなくMeta広告などの別チャネルにも投資して、数を積みに行っている。要は「リード数」をKPIにしているので、足りない月は他のチャネルから引っ張ってきて埋めている。といっても、流入経路の内訳まで正直に教えてくれる媒体は意外と少ない。

だから、気になる媒体については、Meta広告ライブラリ(Metaが出稿中の広告を誰でも見られる公開ツール)で媒体名を検索して、いつどのくらいの広告を出しているかを自分で見にいったりしている。媒体がどの時期に、どんなクリエイティブで集客しているかを覗くと、リード属性の動きの背景が見えてくる。
これは正直、出稿する側としては微妙な話でもある。
検索広告は「〇〇 比較」「〇〇 おすすめ」みたいな顕在ニーズキーワードで顕在層を捕まえているので、温度感が高い。一方、SNS出稿は興味喚起の段階で広告に触れた人が中心になりがちで、検討段階としては浅めになりやすい。媒体側のチャネル構成のなかで、検索広告以外の比率が増えてきているとしたら、リードの質感が以前より下がっている可能性がある。構造として頭の片隅に置いておくと、月次の数字の動きを読むときの解像度は上がる。

目的別に「使い分け」をする

ここまで分かってくると、媒体選定の見方が少し変わってくる。
「なんとなくカテゴリ横断で全部掲載」じゃなくて、目的ベースで使い分けるほうが納得感がある。

量を取りたいなら:流入量が多くて掲載パターンが幅広いメディアが効く。母集団を取りたいフェーズで強いタイプ。
AI検索(LLMO)対策まで狙うなら:つまりChatGPTやGeminiで自社が引っかかるかを狙うなら、検索結果に引用されやすい強いメディアを選ぶ。AIは権威性のあるドメインを優先して引っ張ってくる傾向があるので、掲載先の格そのものが効いてくる。
質の高いリードが欲しいなら:自社サービスとマッチするメディアを探すしかない。ここが一番「目利き」が必要になる。

競合の出稿状況も、自分で見にいく

媒体選定でもう一つ意識しているのは、競合他社がどのくらい出稿しているか。これは契約前に自分でサイトを一通り回って確認している。
どの製品がピックアップ枠に入っているか、比較記事でどのくらい言及があるか、一覧の上位に並ぶ顔ぶれは誰か。実際にサイトを眺めれば、競合の出稿ボリュームはそれなりに見当がつく。
出稿多い=良い、ではないけれど、競合が集まっているサイトは「その領域の検討者が集まっている」ということでもある。出稿状況を把握しておくと、自社をどこに置くべきかの判断の解像度が上がる。

比較サイトに良しあしはない、自社のファネルに効くかどうかだけ

結局、これが一番の学びだったかもしれない。
比較サイトって、契約して、掲載原稿出して、月次のリード数を見て、リードあたりコストや回収期間を試算して……とやっていると、自分が「サービスを選ぶ」としてサイトに触れる機会は意外と少ない。

でも、数字の裏側に何があるかは、数字だけ追っても見えてこない部分がある。成果が良いサイトには良い理由があって、悪いサイトには悪い理由がある。それは、いち読者として触れてみないと、なかなか見えてこない。
どの媒体も、自分たちの読者層と収益モデルに最適化した結果、いまの形になっている。問題は、それがうちの会社のターゲットと合うかどうか、ただそれだけ。比較サイト同士に善悪はない。

だから、「この媒体を続けるかどうか」の判断ではなく、「このサイトを使うと、自社のどのファネルに効くのか」を整理できるかが肝なんだと思う。
その整理ができると、「自分たちにとって最適な比較サイトの選び方」が見えてくる。出稿先を増やすのも、絞り込むのも、どちらも前向きな選択になる。1リード1リードを単なる数字ではなく、その先にいる「顧客」として見て、質感まで追えるようになると、媒体の使い方は変わってくる。

世の中のマーケターが比較サイトごとの受注をどれだけ追って試算しているのか、他社の人に聞いたこともないから分からない。ただ、うちは改めて追ってみたら面白かった、という話だ。


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