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八雲神社の荒獅子舞(三春町)|歴史と「きゅうり天王」の謎

ふくしまフリップ

福島県田村郡三春町の荒町地区に鎮座する八雲神社(やくもじんじゃ)。ここで毎年7月26日に行われる夏季例大祭では、地域で「荒獅子(あらじし)」と親しまれる迫力満点の長獅子舞が奉納されます。

三春城下の歴史と、民俗的な奇祭の要素が融合したこの伝統芸能の魅力を詳しくご紹介します。


1. 巨大な胴幕に大人10人!県内で最多規模の「荒獅子」

八雲神社の長獅子舞最大の魅力は、その圧倒的なスケールと荒々しさです。

一般的な1人1体の「三匹獅子舞」とは異なり、大きな獅子頭と長い胴幕を使い、中に大人が一丸となって入ります。その人数はなんと約10人。獅子舞の幕に入る人数としては福島県内で最大規模を誇ります。

10人もの男たちが呼吸を合わせ、巨体を躍動させて荒々しく舞う姿から「荒獅子」の名が付きました。

  • 名工の手による獅子頭: かつて小山村(後の御祭村)に、その出来栄えの美しさから「獅子造り」と尊称された名工がおり、現在の獅子頭はその名工によって彫り上げられたものです。

  • 強力な厄除け「白祓」: 荒獅子の髭(ひげ)に使われている麻をひねって作られたお守りは「白祓(しろはらい)」と呼ばれ、悪魔祓いの強いご利益があるとされています。

2. 祭礼の一日の流れ

毎年7月26日(日付固定)に行われる祭礼は、朝から夜まで町中が熱気に包まれます。

  • 【朝】出御: 八雲神社で神事が行われ、悪魔祓いの荒獅子が出発します。

  • 【昼】町内巡行: 神輿の「露払い(先祓い)」として城下を練り歩き、各戸の門口や辻々の要所で無病息災を祈る勇壮な舞を披露します。

  • 【夜】宮入りと境内の舞: 夕方から夜にかけて神輿と荒獅子が神社へ還御(宮入り)。提灯や灯りに照らされた境内にて、1日の締めくくりとなる幻想的で迫力ある奉納舞が行われ、フィナーレを迎えます。

3. 三春城下を疫病から守った歴史と由緒

八雲神社の荒獅子は、三春町に伝わる長獅子舞の中で最も古い歴史を持ちます。

  • 城下に疫病を入れない祈願: 戦国時代の田村氏、江戸時代の秋田藩(三春藩)の時代を通じ、城下へ疫病や厄災が入るのを防ぐため、疾病退散の神である「牛頭天王(現在の八雲神社の祭神)」と荒獅子が町中を巡行したのが始まりです。

  • 領内総鎮守の「露払い」から単独奉納へ: 江戸時代は三春藩領内総鎮守「大元帥明王(現・田村大元神社)」の例大祭で先頭に立つ「露払い」を務めていました。明治の神仏分離を経て、現在は荒町の八雲神社単独の例大祭として受け継がれています。

  • 三春の長獅子の“元祖”: 町内の田村大元神社や八幡神社に伝わる長獅子舞は、いずれも明治期にこの八雲神社の荒獅子から伝授されたものです。

4. 関連トピック:「きゅうり天王」と三春の長獅子めぐり

  • きゅうりを2本捧げる?「きゅうり天王」: 八雲神社は古くから「きゅうり天王」とも呼ばれます。祭礼当日は、疫病退散を祈願して「きゅうりを2本奉納し、1本を持ち帰って食べる」というユニークな風習があり、多くの参拝客で賑わいます。

  • 三春の「3大長獅子」: 三春町には「八雲神社(7月26日)」「田村大元神社(7月第3土日)」「八幡神社(4月第3日曜)」の3つの長獅子が存在します。「三春秋まつり」などでは一堂に会する競演も見どころとなっています。

基本情報

  • 行事名: 八雲神社夏季例大祭(荒獅子奉納)

  • 開催日: 毎年7月26日(固定)

  • 指定: 三春町指定無形民俗文化財


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