「一緒に考える時代」に、当事者はいない──拘禁刑フォーラムの不在という病

今年6月に導入された拘禁刑をテーマにしたフォーラムが開かれた。  
登壇者は法務省幹部、法務教官、社会福祉法人の理事、地域生活定着センターの責任者たち。  
つまり、すべて「支援する側」だ。

そこに「支援される側」――すなわち、元受刑者や服役経験者は一人もいなかった。  
これは象徴的だ。制度を語る会に、制度の対象者が存在しない。  
それは、矯正行政の構造的な「上から目線」がそのまま可視化された瞬間である。

「一人ひとりと一緒に考える時代に来ている」と法務省の審議官は語った。  
だが、いま必要なのは“語る側”の優しい言葉ではなく、“語らせる場”の構築だ。  
沈黙させられた当事者の声をどう取り戻すか。  
それを抜きに「共生」や「再犯防止」を語るのは、ただの自己満足にすぎない。

“一緒に考える時代”に、当事者がいない。  
それこそが、この国の拘禁刑の本質だ。

いいなと思ったら応援しよう!