第15話:水族館デート
薄暗い館内に、巨大な水槽の青い光が揺らめいている。
出張から帰ってきた週末。
「3日間頑張ったご褒美な」
そう約束して連れてきたのは、水族館。
(……出張での3日間、長すぎたわ。やっと君に会えた反動で、ずっとくっついときたいねんな……)
目の前をゆっくりと漂うクラゲたち。
その幻想的な光に照らされて、君の横顔が青く優しく浮かび上がっている。
「きれい…✨」
無邪気に水槽を覗き込む君。
でも俺の視線は、さっきから水槽の魚たちではなく、君の横顔に釘付けになっていた。
「……ほんまやな。めっちゃ綺麗」
「もう、ちゃんと見てる? 」
少し呆れたように君が振り返る。
その瞬間、俺は君の手をそっと引き寄せて、
指と指を絡めるように、しっかりと恋人繋ぎで握りしめた。
「……こうやってゆっくりデートするん、久しぶりやな」
繋いだ手に、きゅっと少しだけ力を込める。
驚いて見上げる君の瞳に、俺の顔が映っていた。
「出張の3日間、会えんくて寂しかった分……今日は君のこと、誰にも見せたくないくらい独占したいんやけど。あかん?」
周囲の喧騒が遠ざかっていくような、深い青の空間。
君の耳元でわざと低く囁くと、君の頬がほんのりと赤く染まるのが分かった。
(……あかん、可愛すぎ。こんな顔されたら、理性がもたんやん……)
恋人繋ぎした手に、さらにぎゅっと熱を込める。
氷の部長なんて呼ばれてる俺が、君の前でだけは、こんなにも余裕がなくなるなんて。
「……今日はこのまま、俺のペースに巻き込まれてな?」
青い光の底で、誰にもバレないように、そっと君の髪にキスを落とした。

K.🌙
