第16話:【彼女視点】パンケーキより甘いのは……
休日の昼下がり。
普段、会社では隙のないスーツ姿で「冷徹な部長」として恐れられている彼。
けれど今日のしゅうやんは、柔らかくてだぼっとした白いニット姿。
「まさか俺が、こんな可愛い店に並ぶ日が来るとはな……」
少し呆れたようにため息をつきながらも、私の手をしっかり引いてエスコートしてくれた彼。
目の前に運ばれてきた、クリームたっぷりのパンケーキ。
思わず目を輝かせる私を見て、彼はふっと目を細めた。
「……そんな嬉しそうな顔されたら、連れてきた甲斐があるわ」
そう言って、彼はフォークでパンケーキを小さく切り取ると、迷いなく私の口元へ運んでくる。
「ほら、一口どうぞ。……あーん、し?」

少し意地悪に笑う彼に、ドキドキしながら口を開ける。
甘いクリームの味よりも、彼に見つめられていることの方が頭をクラクラさせた。
「おいしい?」
「……うん」
「そうか。……あ、ちょっと待って」
私が頷いた瞬間、彼の長い指が私の唇に触れた。
親指で優しく、口の端についたクリームを拭い取る。
「……ん。これでよし」
ペロッと、自分の指についたクリームを舐め取る彼。
その無防備で色っぽい仕草に、周りの席からちらちらと視線が集まるのがわかった。
それに気づいたのか、彼の表情が少しだけ不機嫌に歪む。
「……」
テーブルの下で、私の足に彼の長い脚が絡みついてきた。
同時に、空いているほうの手をぎゅっと握り込まれる。
「……あんま無防備な顔、外で見せんといて」
彼が身を乗り出してきて、耳元で低く囁いた。
「……パンケーキより、君のほうがずっと甘そうやわ」
(…/// いや、しゅうやんの方がずっと甘いです.......)
K.🌙
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