犯人しか知らない話
昨日も書いた、美容室での話。
初めて担当してくれた美容師さんは、お笑い芸人のYouTubeを見るのが好きだ、と言っていた。狩野英孝さんとか、チョコプラさんとか。
YouTuberやインフルエンサーではなく、テレビで活躍しているような芸人さんを見るのが好きらしい。
「芸人さんの話し方って、めっちゃ参考になるんですよね」
「というと?」
「なんていうか、普通に言ったら下品な言葉とか、ちょっと乱暴に聞こえる言葉とかあるじゃないですか。それが、芸人さんが話すと綺麗に収まるというか。コンビならボケとツッコミでうまく中和して伝えてくれて。
そういう話し方、ものすごく参考になるんですよ」
芸人さんのYouTubeを、そんなふうに考えながら見るのか、と私は彼女のプロ意識の高さに驚いた。
「あと、イメージしやすいんですよね。エピソードトークとか見ると、何があって何が起こったか、すっとイメージできる。それもすごいなあって」
「映像が想像できるってことですか?」
「そうですそうです!」
相手に映像をイメージさせるのは、ライターとしても重要なことだ。
これは、私のライターの師匠の佐藤友美(さとゆみ)さんは著書『書く仕事がしたい』やライティングやエッセイの講座の中でたびたび教えてくれるポイントだ。
相手に映像をイメージさせるには、「犯人しかしらない話」を書く、とさとゆみさんは教えてくれた。元々は島田紳助さんが芸人育成プログラムの中で話していた言葉らしい。
例えば、同じ「1万円を拾った」話でも、「1万円拾ったんだよね」と言ってしまうのと、「昨日雨降ってたじゃない?1万円が落ちているのを見つけったのだけれど、アスファルトにぴたーっとくっついちゃってて。破らないようにそっと剥がしたんだよ」と言われるの、どちらが実際の映像をイメージしやすいかといえば、もちろん後者である。
「犯人しか知らない話」を話に盛り込むことは、話すこと、伝えることを主軸とする仕事をする人全般に必要な力だと思う。
やっぱり美容師とライターって似てるんじゃない?今度、彼女にはその話をしてみよう。
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