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書けないことばかり

世の中、というと規模がでかすぎるが、書けないことばかりである。
今日、何を書こうかと思案したが、昨日起こったとある出来事以外、何も浮かばない。
ただ、その出来事は、身内に関係している出来事であって、私が勝手に書き散らかしていいものとは思えないのだ。

朝日新聞が運営していた、エッセイ投稿サイト『かがみよかがみ』の編集長、伊藤あかりさん。彼女は、一般の投稿者・通称「かがみスト」たちにこう言っていたらしい。
「手首を切るような文章を書いてはいけない」と。
らしい、というのも、私が直接聞いたわけではなく、人から聞いた話だからだ。
書いて血が出るような、自分が傷つくようなエッセイを書いてはいけない。そういう文章を公開することは、命を危険にさらす行為だ。だから、爪や髪の毛といった、切っても血が出ないようなところを切って書きなさい。
よく、そう言っていたらしい。

確かに、と思う。
私は書くことが大好きだが、書き始めのきっかけは、自分が健やかに生きるためだった。正直に言うと、自分の命を危険にさらしてまで書きたいものは、ない。
こういうことを書くと、「物書き失格だ!」なんて批判がくるだろうか。そういう人は勝手に言ってろと思う。人間など、命があってなんぼである。

昨日の出来事は、私的には爪や髪の毛だけれども、私の身内にとっては現在進行形で血が流れるような出来事だった思う。
だからまだ、書けない。
いつか、書くかもしれないし、書かないかもしれない。今は書かない。


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